岡田外務大臣会見 2010.2.26

記事公開日:2010.2.26取材地: テキスト動画
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ハーグ条約への加盟
【NHK 禰津記者】ハーグ条約の加盟についてお伺いします。鳩山総理大臣が昨日、岡田大臣と千葉法務大 臣に、ハーグ条約に対して今後日本の加盟などを含めて早期に調整を急ぐように指示をされたということですが、大臣のご認識として、ハーグ条約加盟に向けて の課題等について改めてお伺いしたいのと、外務省として今後どのような対応をとっていくのかについてお伺いします。

  • 外務大臣会見記録(平成22年2月26日(金曜日)15時00分~ 於:本省会見室)

【大臣】ハーグ条約に関しては、外務省としても従来から努力を重ねてきたところであります。大きく言って、問題は二つあるかと思います。一つは条約 そのものの加盟の問題と、もう一つは、現に生じている問題です。例えば、離婚されて母親と共に子供が日本に帰ってきて、父親が面会したいと、しかし、でき ないと(いうケース)。あるいは、逆のケースもあります。日本で生まれた子供が、父親が自分の国に子供を連れ帰ってしまって、母親が取り残されて、面会で きないというような様々なケースについて、外務省としては努力をして、なるべく、直接親が会えなくても、領事面会等もできないかということで、各国大使館 と連絡を取りながら努力をさせていただいております。ただ、残念ながら、実際に会うに至るということは非常に少ないというのが現実であります。ここをまず しっかりと実効性をあげていかなければいけないと思っております。在京の各国大使館とは、日本の現状などを説明する、日本の制度などを説明する機会を設け たり、あるいは具体的な問題について連携を取りながら、機会を作ろうとしたり、いろいろな努力を外務省としてはしてきているところであります。

  最初のハーグ条約への加盟の問題については、「加盟するために何が障害となるのか」ということについて、外務省と法務省が中心になって、今までも局長 レベル、あるいは政務官レベルで協議を重ねてきておりますけれども、先般、先週の金曜日、私(大臣)が法務省に出向いて法務大臣に協力をお願いしたところ であります。それを受けて、官邸での総理の下での打ち合わせと言いますか、勉強会ということになりました。総理からは「この問題は早く解決すべきだ」と、 「ハーグ条約の加盟についても、加盟に向けて何が問題かよく検討すべきだ」という前向きのお話をいただきましたので、法務省と協力しながらしっかりと検討 したいと思っております。

【時事通信 水島記者】これまでの法務省とのいろいろな協議の中で、何らかの国内法の整備は必要だという認識に至りつつあるのかどうかということと、最終的に加盟ができるとすると、どれくらいのスケジュール感覚でご覧になっているか、この2点についてお願いします。

【大臣】まだ「具体的にどうすべきか」ということは検討中でありますので、あまり今、先取って申し上げない方がいいと思いますが、多少、法的手当が 必要になる可能性があるということだと思います。スケジュール感というのは、この国会にということは、あり得ないことだと思いますので、その上で、なるべ く早く論点を詰めていかなければいけないと思っています。

【共同通信 西野記者】大臣が二つ言われた中の後半の部分ですが、今、目の前にある問題に対応していかないと、諸外国、特に欧米が多いと思います が、理解が得られない。昨日総理も言われましたが、そういった背景に日本に対する異質論が広がりかねないという懸念があると考えてもよろしいでしょうか。

【大臣】実は、ハーグ条約に加盟していない国は、特にアジアにたくさんありますので、必ずしも日本だけの問題だけではないと思います。ただ、子供に 会うことすらできないということになると、何らかの手当をすべきではないかと、私(大臣)には思えます。もちろん、様々な事情があるということは分かりま すけれども、会う道すら閉ざされているということは、それは何とかすべき話ではないかと思っております。

【朝日新聞 鶴岡記者】法的手当が必要とのご認識を伺いましたが、どの部分で法的手当が必要とお考えでしょうか。例えば、条約は原則として元の居住国に戻すことを原則としていますが、戻すといったところで法的手当が必要ということでしょうか。

【大臣】中身はあまり申し上げない方がいいと思います。どのぐらい必要なのかということも、いろいろな考え方があります。現時点ではまだ政府の中で検討しているわけですから、それ以上のことは、私(大臣)は申し上げるつもりはありません。

選択的夫婦別姓

【フリーランス 岩上氏】国際結婚関連でもよろしいでしょうか。国際的な結婚が非常に増えているわけです けれども、それに伴う問題が、今話されている問題の一つだと思います。それに関連して、「選択的な夫婦の別姓」を認めるか否かというのが非常に大きな政治 課題になりつつあるわけですけれども、本日も亀井大臣が「これは認められない」ということを強く仰っていました。連立を組んでいる与党の中で温度差がある ようですけれども、これについて大臣の見解を教えていただきたいと思います。

【大臣】これはハーグ条約とは直接関係のない話だと思いますが、選択的夫婦別姓を採用するかどうかということは、今、内閣の中で議論されている、政 府の中で議論されている問題ですから、あまり私(大臣)自身の意見を申し上げない方がいいと思います。そういうことを自由に各閣僚が言うというのも一つの 道だと思いますが、すっかり私(大臣)は懲りておりますので、また「閣僚がバラバラである」というような報道がされることを避けるために、申し上げない方 がいいと思っています。

オバマ政権の支持率

【フリーランス 岩上氏】少しずつの変化ではありますけれども、米国においてオバマ政権の支持率が低下し ております。ジリジリと下がっているので、どこからもって突然下がったということは言えないのですが、各社の世論調査の中にはかなりショッキングなものも あって、7~8割が不支持というような数字が出ているものもあります。こうしたオバマ政権の支持率低下が、日本との関係において、外交・安全保障等でどの ような影響をもたらし得るのか、もちろん米国内部での力関係の変化ということを踏まえて、分析などご見解を聞かせて頂ければと思います。

【大臣】オバマ政権の支持率がこれからどうなるかということは分かりませんので、あまりそういった仮定に基づいてお話しをしない方がいいと思いま す。私(大臣)としては、オバマ大統領の誕生を大変期待感をもって、拍手で迎えた一人でありますので、オバマ大統領の基本的考え方というものに対して、私 (大臣)は共感をするところが大変多い訳です。先般の通常国会が始まるにあたっての外交演説の中でも、オバマ大統領の名前が確か二回登場したというように 思います。ですから是非、大統領が自らの信念に基づいて、大統領としての職責を果たし、そして米国民がそれを支持をするということ、更に支持が増えるとい うことを強く期待しているところです。

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