川内原発1、2号炉、新規制基準適合性審査の審査書案が承認される~2014年度 第17回原子力規制委員会 2014.7.16

記事公開日:2014.7.17取材地: テキスト動画
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 2014年7月16日10時30分より、2014年度第17回原子力規制委員会が開催された。九州電力川内原発1、2号炉に対する、新規制基準適合性審査の、設置変更許可申請書に関する審査書案が了承され、今後1か月の期限で科学的・技術意見募集いわゆるパブコメの募集が行われる。

■全編動画

議題1:九州電力株式会社川内原子力発電所1号炉及び2号炉の発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査書案に対する意見募集等について

 九州電力川内原発1、2号炉に対する新規制基準適合性審査に関して、設置変更許可申請書に関する審査結果をとりまとめた審査書の案が了承された。今後1ヶ月の期間で科学的・技術的意見の募集を行うとともに、原子力委員会および経済産業大臣の意見を聴くプロセスに移る。

 昨年2013年7月8日に公布・施行された実用発電用原子炉に係る新規制基準に基づき、原子力発電所の審査が行われている。原子力規制委員会は、2013年7月8日に九州電力川内原発1、2号炉の設置変更許可申請書を受理し、審査を行っていた。

 各電力会社の多くの原子力発電所の適合性審査を進める中で、審査状況が進んでいる川内原発1、2号炉について、「先行して今後のひな形となる審査書案を作成する」ことが2014年3月13日の第46回原子力規制委員会で承認された。その後、原子力規制委員会と規制庁は川内原発を優先審査対象とし、人員等リソースを集中して審査の結果をとりまとめる”審査書”を作成していた。

 本日16日の委員会で審査書の案がまとまり、承認を受けた。7月17日から1ヶ月間で科学的・技術的意見の募集を行い、原子力委員会および経済産業大臣の意見を聴いたのちに正式版として決定される。

審査書案の特徴

 審査書案では、新規制基準の要求事項に対し、事業者(九州電力)が示した対策・方策および規制委員会が確認・判断した結果が、項目ごとにまとめられている。主要な箇所には”審査過程における主要な論点”が書かれ、どのようなプロセスで審査が行われたかが記載されていることが特徴だ。

 今回の審査書案は設置変更許可申請に対するものであり、工事計画認可、保安規定(変更)認可の審査が残っている。さらに、川内原発1、2号炉はそれぞれ2011年5月、9月から定期検査中であり、その完了と稼働前検査を行うとともに、地元の了承を得た後、再稼働に進むことになる。

パブコメに期待することは何か?

 原子力の安全は、「安全規制」「安全文化」「防災、避難計画」の三輪が「きちんと機能することが不可欠だ」と大島賢三委員は言う。さらに、福島原発事故はこの三つの車輪それぞれの不具合だったということが反省であり、教訓だとコメントした。

 その上で、審査書に対して科学的・技術的意見を募集するパブコメに「何を期待するのか」。桜田道夫・原子力規制部長は、「今日示したのはまだ審査書の”案”だ」と前置きし、「福島第一の事故後、大幅に規制基準を変えている。最善を尽くして審査したが、見落としや不足する所があるかもしれない。そのため広く科学的・技術的意見を求める」と答えた。

 本日承認されたのはまだ「案」の段階であり、パブコメの内容を検討し、必要があれば改善して正式版を決定する考えだ。ただし、あくまでも「審査書案に対する科学的・技術的意見」であり、それらと関係のないパブコメは却下されると思われる。

安全文化の責任は事業者にある

 本日承認された審査書案には、品質保証体制として、事業者の社長は、「社内の品質保証に関する実施、評価、改善などを行う」ことが特記されている。大島賢三委員は、この背景について質問した。

大島委員 :「あれは東電が起こした事故で(わが社とは)関係ないという意識が他の事業者にあってはならない」
田中俊一委員長 :「今回の審査とは関係ないが、規制庁内の議論を求めます」

事業者の自主的対策は重要な特徴だ

中村佳代子委員 :「他の原発の審査においても、自主的審査を要求されるものか」
中村委員 :「自主的対策はあくまで紙上のもの、改変や中止が起きる可能性は」
更田豊志委員 :「自主的対策は、各社各プラントに特化した対策。発電所ごとに異なっているのが自然だ。他社へは義務ではない」
島崎邦彦委員 :「原発立地敷地内という非常に限定的部位、そこに科学的知見をどうあてはめるか。そういう発展を科学はしてきていないし、いまだ適した知見は用意できていない」
島崎委員 :「カルデラ噴火の時間解析、実証的な検証は一つとしてない。しかし、審査書は十分評価できる?」

大規模損壊は事前の対応設定ができない、なんとかできることを行う

 大規模な自然災害や故意の航空機衝突、テロ等の「大規模損壊」の対応は、事故発生時に原子炉設備が受ける被害範囲は不確定性が大きく、あらかじめシナリオを設定した対応が困難であるとして、「できることを柔軟に考えるという方針で審査」した結果で、要求を満たしていると規制委員会は判断している。

議題2:国際アドバイザーからの助言について

 2014年6月9日、10日に国際アドバイザーの3名が原子力規制委員と個別に面談し、率直な意見交換ができるよう非公開で行われれた。その後、書面による助言を受け取り、原文と仮訳を報告した。

 原発再稼働について、福島第一の廃炉作業、オフサイトの緊急時対応、JANSI、輸出に当たって規制委員会の役割についての助言を受け取ったという。

田中俊一委員長が報道記者向けにブリーフィングを行う

 定例の規制委員会終了後、12時30分から、田中委員長により審査書案にまとめられた新規制基準適合性審査のポイントについて、報道向けにプレゼン説明が行われた。別途記事を掲載するので参照されたい。

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■jaikoman氏によるツイート

「川内原発1、2号炉、新規制基準適合性審査の審査書案が承認される~2014年度 第17回原子力規制委員会」への1件のフィードバック

  1. @maccrosskeさん(ツイッターのご意見より) より:

    え!と思わせるほど大勢の役員?らしき面々がズラリ、ひたすら早口で読み上げ通り一遍の会見!田中委員長の眠たげな話し方しか印象に残らない!

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