【滋賀県知事選】「きわめて大きな結果。与党も謙虚に受け止めると思う」 ~三日月大造氏 当選報告記者会見 2014.7.14

記事公開日:2014.7.18取材地: テキスト
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(IWJテキストスタッフ・関根かんじ/奥松)

 「集団的自衛権の行使容認で、原発銀座の若狭湾が、ミサイルやテロ攻撃の標的にされる可能性がますます高まった。京丹後市には米軍のXバンドレーダーも設置される。原発を抱えたまま戦争リスクを高める安倍政権を、どう考えているのか?」――。

 2014年7月14日(月)10時30分より行われた、三日月大造新滋賀県知事の記者会見で、IWJ柏原記者が、同氏の「集団的自衛権の閣議決定反対」、「卒原発」などの政策をふまえて聞いた。

 この質問に対し、三日月新知事は表情を引き締め、「私は、県民の命と暮らしを守るという観点で、あらゆるリスクに向き合い、備えていきたい。その一念で行動していく」と答えた。

 会見は、滋賀県大津市の政策集団「 チームしが」事務所において行われた。滋賀県知事選挙で初当選を果たした三日月大造氏が、今期で引退を表明し、三日月氏を後継に指名していた嘉田由紀子知事同席のもと、当選報告を行った。

 三日月氏は、近江聖人と称えられた江戸時代の儒学者、中江藤樹(なかえとうじゅ)の「五事を正す」の教えを挙げ、「包容力と決断力、実行力を兼ね備えた信頼される知事になりたい」と意気込みを語った。そして、

 7月13日に行われた滋賀県知事選挙の開票結果は、三日月大造候補(前民主党衆議院議員・無所属)当選、25万3728票。小鑓隆史候補(元内閣参事官・無所属・自民党、公明党、日本維新の会推薦)24万652票。坪田五久男候補(政党役員・無所属・共産党推薦)5万3280票。有権者数110万4765、投票数 55万4078、投票率50.15%だった。

■三日月氏の掲げる政策はこちら

■動画はございません。ご了承ください

  • 場所 政策集団「チームしが」事務所(滋賀県大津市)
  • 日時 2014年7月14日(月)10:30~

琵琶湖を放射能汚染から守り、卒原発へ

 はじめに、三日月氏が挨拶を述べた。「25万3728票を獲得できた。滋賀県知事という大変重い職責を、しっかり担っていきたい。政党の垣根を越え、草の根自治を守ろう、作ろうという流れ。人と人、人と自然との共生。これらに取り組んでいく。そして、3.11を教訓に、琵琶湖を放射能汚染から守り、卒原発を進めていきたい」。

 「他の候補者に投票した人や、知事選に行かなかった人たちの意見も考慮し、嘉田県政で弱いと指摘された経済再生、経済活性化にもきっちりと手を打って、滋賀をより元気にしていく」。

知事の政策、政務を支えるのが「チームしが」

 続いて、質疑応答に移った。NHK記者が「今後、『チームしが』の枠組みは、どのように活かしていくのか」と質問。三日月氏は「『チームしが』は、選挙活動、県民への広報機能、政策形成集団の機能という、3つの目的で結成した。今後は、さらに充実させ、県民運動を推進させていきたい」と答えた。

 嘉田知事が「県知事のもとには1万9000人の県職員がいる。しかし、政治家としての知事を支える母体が、公の制度としてない。知事の政策、政務を支えるのが『チームしが』だ」と話し、「自分は、知事を終えても『チームしが』の共同代表を務める。三日月氏が政治家としての活動を続けるための母体になる。今回、政党争いが全面に出ていたが、『チームしが』は、政党ではなく県民の声を伝えるローカルな政策決定集団だ」と説明した。

追い風になった集団的自衛権の閣議決定

 別の記者が「7月1日に、集団的自衛権の行使容認が閣議決定された。その直後の選挙で、全国的にも注目を集めたが」と訊くと、三日月氏は「自分は、それほど意識していなかったが、7月1日以降、急に自民党幹部が大挙して滋賀にやって来たことに、違和感や不安を感じた県民が増えたという。確かに、追い風にはなった。しかし、『チームしが』の動きも注目されたと思っている」と応じた。

 「政策面でのこだわりは?」と尋ねられると、「歩いて暮らせる滋賀作り。公共交通の活性化。嘉田ビジョンの議論を、新駅の問題も含めて早急に進めたい。原発の安全体勢の確認。原子力規制委員会を見据えながら、滋賀県のメッセージは発信していきたい」と答えた。

 嘉田知事はそれに補足し、「交通に関しては、住民参加の共同制も検討する。税金投入だけではなく、NPO参加なども考えたい。『チームしが』の取り組みを、新しい県政のモデルにしていきたい」と話した。

経済再生は中小規模事業者への支援から

 「知事就任後、経済再生には、どこから手をつけるつもりか」との質問に、三日月氏は「選挙戦で各地を回って感じたことは、消費増税の影響がまだまだ強いということ。ガソリン価格、原材料の値上げもある。まず、中小規模事業者への具体的な支援づくりだ。駆け込み需要が喧伝されているが、実態は相当厳しい」との認識を示し「物流、もの作りでの人材確保の問題。1次産業の6次産業化、ビジネスマッチングも加速させる」と続けた。

 「滋賀県は2次産業が多い。産業構造の改革については、どう考えるか」と訊かれると、「強みは活かし、内需型産業の活性化へつなげていきたい。医療、福祉、介護の分野は、産・官・学の連携で、すでに動き始めている。観光、教育の新たな3次産業への取り組みも重要だ」とした。

原発のリスクから県民を守る

 「今回の知事選は、集団的自衛権の閣議決定への審判選挙だったのか。自身は、安倍政権批判の選挙と考えているか」という問いには、「県民には、集団的自衛権に関する政府の拙速な議論への不安があった。原発リスクも解決されないうちに、という思いや、エネルギーシフトが明確に示されないことに、怒りもあったのではないか」とした。

 「電力会社との、原子力安全協定の改定作業は求めていくのか」と質問されると、「求めていく。滋賀県の自治は、滋賀県民が作り、守るという願いが、自分への票につながった。ゆえに、原発のリスクから県民を守るのは、知事の仕事だ」と明言した。

 嘉田知事は「原発と集団的自衛権に対する国民の不安が、選挙結果に反映されているが、僅差の勝利だった。その原因は(自分に)環境派というイメージが強すぎるため、経済政策への不満があったのだと思う」と分析した。

 関西テレビ記者が「与党に影響を与えたと思うか」と質問。三日月氏は「被害地元である滋賀県民が、国のエネルギー政策に対して出した選択。そして、一地方での結果とはいえ、集団的自衛権の閣議決定のあとに下された判断で、きわめて大きな結果だ。当然、政権与党も、この結果を謙虚に受け止められると思う」と答えた。

嘉田知事「新駅すべて否定ではない」

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「【滋賀県知事選】「きわめて大きな結果。与党も謙虚に受け止めると思う」 ~三日月大造氏 当選報告記者会見」への2件のフィードバック

  1. @arataka_lie_genさん(ツイッターのご意見より) より:

    滋賀県は琵琶湖を守れ、他の県もゾーンディフェンスを徹底しろ、原発だけのことではないぞ

  2. コンノユキオ より:

    議員や首長目指す人など信用できないのは私だけででしょうか?

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