防災計画の評価はしない~田中俊一原子力規制委員長定例会見 2014.6.25

記事公開日:2014.6.25取材地: テキスト動画
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 2014年6月25日14時30分より、東京・六本木の原子力規制庁で田中俊一・原子力規制委員会委員長による定例会見が行われた。防災計画の評価について、田中委員長は、「法的な枠組みとして、規制委員会の仕事として位置付けられていない」ことから、評価はしないという見解を示した。

■全編動画

  • 日時 2014年6月25日(水)
  • 場所 原子力規制庁(東京都港区)

安全の確保は事業者自らが努力すること

 午前に行われた第14回委員会の最後に、更田豊志委員、島崎邦彦委員から、事業者の審査に対する臨み方や姿勢について指摘が出た。

 田中俊一委員長は、事業者自らが安全を確保するために最大限の努力をして、十分に考えた上で申請し、審査会合や評価会合が行われるべきだとしている。したがって、どんな安全対策を実施したらいいかを、委員会にうかがうような態度は、「事業者としてはあってはいけない」と考えている。

 事業者に対しては、「委員会での発言を聞いて対応してもらいたい」が、「それ以上規制側でできることは何もない」という。

事業者トップとの面談は未定

 田中委員長は東京電力の廣瀬直己社長と面談し、トップ・コミットメントを求めている。他事業者とも同様に、面談する意向を表明していた。

 JANSI(一般社団法人原子力安全推進協会)とは1回面談を行ったが、他事業者とはまだ実現していない。「個々の事業者とも、適切に意見を交わす機会は持っていきたいと思っています」と答えた。

防災計画自体の評価はしない

 補正書を再申請した川内原発における地元自治体の避難計画、防災計画について、規制委員会、規制庁が評価会合を開くべきだという声が挙がっているが、開催する考えはないという。その理由について田中委員長は、「それが規制委員会の仕事として位置付けられていないから」だと説明。

 原子力規制庁が防災計画を評価するような「その手の仕事は法的な枠組みの下で行うべきだと思っております。今の日本の法体系上、そういう枠組みはない」と片山長官官房審議官が答え、「法的な枠組みから、防災計画は内閣府が支援して各自治体が作っており、要請があれば、原子力規制庁も必要な協力は惜しまない」との見解を示した。

深層防護第5層は新規制基準の評価範囲外

 新しい規制基準には深層防護という考え方を取り入れているが、新規制基準は1から4層までをカバーしている。深層防護に当たる5層は、指針を規制委で書いているが、具体的な方策については評価していない。

 5層は、事故が起きたときの防災避難等もあり、法的に内閣府が担当して地方自治体が策定することになっている。規制委員会・規制庁としては、できるだけ相談にのる等、できるだけのことをやっているということだ。

6月21日開催原電敦賀の審査会合で、事業者が呼んだ専門家が出席できなかった理由

 6月21日に日本原子力発電敦賀原発の審査会合が開催された。その際、原電側が専門家2名を会場に呼び、出席を求めたが、規制庁は許可しなかった。

 その理由について田中委員長は、「どういう立場なのか分からなかったというのがありますので、たぶんそのことで御遠慮願ったのではないかと思います」と答えた。事業者が呼んだ専門家に自分達のサポートを依頼するなら、事業者側に座ればいいわけで、評価会合を他の人に評価してもらうのは「考えられない」という見解だ。

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