【岩上安身のツイ録】冤罪の防止、必要なのは取り調べの全面可視化と弁護士の立ち会い 「モーニングバード!」で岩上安身がコメント 2014.4.29

記事公開日:2014.4.29 テキスト
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※4月29日の岩上安身の連投ツイートをリライトして再掲します。

 4月29日(火)放送のテレビ朝日「モーニングバード!」で、レギュラーコメンテーターとして出演している岩上安身は、札幌で発生した連続ボンベ爆発事件、71歳夫による78歳妻への傷害致死事件、韓国旅客船「セウォル号」沈没事故、京都東本願寺での米国籍の男による落書きという4つのニュースについてコメントした。

札幌ガスボンベ事件、冤罪を防ぐには取り調べでの弁護士立ち会いを

 札幌市北区の警察関連施設や大型店などで、カセットこんろ用ガスボンベの爆発が5件相次ぐという事件が発生した。北海道警札幌北署捜査本部は4月26日、札幌市内に住む50代の女性から任意で聴取を行った。女性は関与を否定しているが、聴取は26日から28日まで、3日連続で行われた。

岩上安身(以下・岩上)「疑いをかけられた人が、実際に犯人であると断定することは当然できない訳ですから、間違えていた時には、『また冤罪事件か』ということになりかねません。

 先日、元死刑囚の袴田巖さんの再審が決定して、何十年かぶりにシャバの世界に出てきたということがありました。この件について取材したのですが、袴田さんの弁護団長をやられている西嶋勝彦弁護士は、こういう悲劇を繰り返さないためには、まず、取り調べの全面可視化が必要だ、とおっしゃいました。これは、既にあらゆる所で言われていることですよね。

 さらに西嶋弁護士は、それに付け加えて、いちばん最初の取り調べの段階から、弁護士の立ち会いを認めろ、と。付き添いではないです。立ち会い、ということです。これがすごく必要だとおっしゃっていました。

 取り調べの最初の時点で、事実上の軟禁状態に置かれ、自白を強要されるようなことがある、と。最初のそのつまづきから、ずーっといってしまう、と。これを絶対に変えなくてはいけないんだ、ということを力説されていましたね」

71歳夫が78歳妻を暴行、激増する高齢DV

 4月27日、埼玉県秩父市で、71歳の夫が78歳の妻に暴行をふるって死亡させたとして、秩父署は傷害致死の容疑で夫を逮捕した。夫婦は二人暮らしで、夫は「妻が朝に起きられないなどして腹がたった」などと容疑を認めているという。

岩上「叩いたということであればDV(ドメスティック・バイオレンス)ですよね。高齢者DV(※)が今、どれくらい増えているのかというと、激増しているらしんです。この5年程度の間に、2,3倍の認知件数になっています。

 お年寄りになったらおだやかになるかと思いきや、必ずしもそうではない、ということです。さらに腑分けすると、老々介護がゆえに、そのストレスが溜まってというケースもあるのですが、実はフタを開けてみたら、若い頃からずーっとDVをしている人がいて、こういう歳になってもそれを続けているということもあるのではないでしょうか。本当に、根深い問題ですよ」

(※)警察庁によると2012年のDV(ドメスティッック・バイオレンス)被害の認知件数4万3950件のうち、60代は3008件、70代以上が1871件に及び、最近5年間で60代は2.5倍、70代以上は3.3倍に激増している。

韓国旅客船事故は朴政権への打撃になるのか

 事故発生から2週間近くが経過した、韓国の旅客船「セウォル号」沈没事故。これまでに188人の死亡が確認され、いまなお114人の安否が不明となっている。今回、修学旅行で船に乗っていた高校生が録音した事故当時の音声を家族が公開。船内では、「船にとどまるように」とのアナウンスが流れていたことが改めて明らかとなった。

岩上「(船内にとどまるよう指示した)アナウンスを聞いていると、ものすごく既視感があるんですよね。というのは、こういう事故に遭遇した訳ではなくても、公共交通機関、たとえば飛行機に乗った時など、『乗務員の指示に従ってください』『止まるまで動かないでください』といったことが言われますね。そういうことを徹底してアナウンスされながら、私たちは社会生活を送っているわけです。

 こういうことをずーっと言われ続けていると、とにかくパニック時とか事故時は『動いちゃいけないんだ』と思い込んでしまう。ところが、後でこういう問題が起きた時には、『自己責任でしたね』と言われてしまったりします。

 なぜ逆に、『皆さん、各自判断してください』『自己責任でご避難ください』ということが言われないのだろうか、ものすごく疑問に思いますね。人を動かさないようにしておきながら、各人の現場判断で、我先に逃げ出そうが何をしようが、その結果として命が助かるのであれば、それでいいじゃないですか。だから、こういった一律の、とにかく動かないようにさせるアナウンスのあり方が、はたしてこれでいいのかということを、考える必要があると思いますね」

 「セウォル号」乗客の救出作業が難航するなか、初動の遅さなど、政府の対応に韓国内から強い批判の声があがっている。4月27日、鄭烘原(チョン・ホンウォン)首相は、事故後の対応に不手際があったことを認め、引責辞任する意向を表明した。今回の事故は、朴槿恵政権への打撃になるのだろうか。

岩上「朴槿恵大統領は事故直後から、行政に対して厳しい姿勢を見せてきました。ご自身が大統領ですから、行政の長です。その行政の長が、行政を厳しく批判するというスタンスを取ることで、自分が悪を処断するヒーローのポジションを得る、ということだと思います。

 ちょっと例えとしてふさわしいか分かりませんが、小泉純一郎さんに似ているなと思います。小泉さんは現役時代、『自民党をぶっ壊す』と言って人気を博しました。そういう手法と少し似ているかな、と。

 自分がトップでその当事者でありながら、そこから少し身を離して批判者のポーズを取る、と。朴槿恵大統領の支持率は、下がっても50%台で、これはすごい高さですよ。オバマ大統領よりも上ですからね。

 この背景には朴槿恵大統領のうまいやり方というのもあるのですが、彼女が元々持っている、父親の代からの人気があり、支持層の固さというものがあると思います。政権がひっくり返るような大きなスキャンダルにはならないと思います」

東本願寺に今も生きる親鸞の教え

 京都市下京区、東本願寺の別邸で国の名勝に指定されている渉成園の外壁にスプレーで落書きをしたとして、米国籍のカーペンター・マルク・ブルース容疑者が器物損壊の容疑で現行犯逮捕された。ブルース容疑者は、「ストレス発散でやった」と、容疑を認めているという。

 岩上安身は、東本願寺で過去に実際にあったあるエピソードを紹介した。

岩上「東本願寺は、これまでも多難な目にあっていて、1977年には大師堂という建物が爆破されています。爆破した人間は18年の刑に服して、2005年に28年ぶりに謝りに来たそうです。本当に申し訳なかったと、一万円を出して謝った、と。すると東本願寺のお坊さんは、その謝罪を受入れました。

 東本願寺は浄土真宗ですから、親鸞の教えを守っているわけですね。それは、『人間は皆愚かなもので、誰でも条件次第では悪事をなしうるのだから、我々はあなたを憎んでもいないし、恐れてもいない』というもの(※)。宗教の底深さを感じますね」

(※)浄土真宗の開祖・親鸞の『歎異鈔』に、「善人なおもて往生をとぐ、いはんや悪人をや」(善人が悟りを開いて往生することができるのに、どうして悪人が往生できないことがあるだろうか)という文言がある。これは、親鸞の根本思想である、「悪人正機説」を表現したものであると言われる。「悪人正機説」とは、阿弥陀如来が本来の救済の対象としているのは、善人ではなく悪人である、というもの。(参照:コトバンク

★岩上安身がレギュラーコメンテーターとして出演中のテレビ朝日「情報ライブショー モーニングバード!」は、毎週火曜日午前8時から放送中! ぜひ、ごらんください。

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