「防衛省よ、カネで地権者を陥落させる前にやることがあるはず!」 ~Xバンド反対集会で怒り 2014.3.21

記事公開日:2014.3.21取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)

 2014年3月21日、京都市の東山生き生き市民活動センターで開かれた「Xバンドレーダー基地着工反対3.21京都集会」では、北朝鮮などからの弾道ミサイルを探知、追尾する米軍の高性能レーダー「Xバンドレーダー」の基地建設予定地である、京丹後市丹後町宇川地区の現状報告などが行われた。

 冒頭、司会役の白井美喜子氏から「宇川地区の住民はみな、米軍基地の建設に反対しているのに、国は『これは国策だからしょうがない』と大きな力でねじ伏せようとしている。基地用地の地権者らは、昨年の末に、(防衛省から)個別でプレッシャーをかけられ、賃貸借契約を結ばされた」との訴えがあり、基地建設の工事は、早ければ、この4月中に始まることが示された。

 基地完成後の安心・安全面を不安視する住民からの質問に、国は十分な回答を出しておらず、その強引なやり方への地元の怒りは、相当なものに達しているという。市民有志らによるこれまでの「反対運動」が実を結んでいないようにも映るが、メインスピーカーとして登壇した2人の市民活動家は、「あきらめるには、まだ早い」との認識を力強い論議で示した。

■Ustream録画
・1/3(14:01~ 13分間)集会 主催あいさつ

・2/3(14:15~ 2時間2分)集会 永井氏/大湾氏ほか

・3/3(16:27~ 48分間)デモ行進

  • 集会
    主催あいさつ 瀧川順朗氏(米軍Xバンドレーダー基地反対・京都連絡会 共同代表)
    連帯メッセージ/基地予定地スライド
    京丹後現地報告 永井友昭氏(米軍基地建設を憂う宇川有志の会)
    基調提起 大湾宗則氏(米軍Xバンドレーダー基地反対・京都連絡会 共同代表)/今後の行動提起ほか
  • デモ行進

 Xバンドレーダー基地が建設されようとしている、丹後町宇川地区の現状報告に先立ち、主催者共同代表の瀧川順朗氏(米軍Xバンドレーダー基地反対・京都連絡会共同代表)がマイクを握った。

 「昨年2月の日米首脳会談で、Xバンドレーダーを、京丹後市の航空自衛隊経ヶ岬分屯基地に配備することが決まった」──。事態の発端を、こう紹介した滝川氏は、「われわれの市民グループは、それにすぐに反応し、昨年4月以降、署名活動や京都府への申し入れといった反対活動を、ほかの市民グループと連携して行ってきたが、京都府の山田啓二府知事と京丹後市の中山泰市長は、9月に、配備の受け入れに協力すると表明してしまった」と続けた。

 そして瀧川氏は「その後は、府民への説明はなく、環境影響調査も行われていない。にもかかわらず、防衛省は(賃貸借契約による)用地の取得をどんどん進めている」と言葉を重ね、「用地取得は12月末のこと」と指摘。12月15日に、市民有志ら約1200人が京丹後市役所前で行った「基地建設反対」の意思表示は完全に無視されたと、怒りをあらわにした。

子どもだましの環境調査

 その後、画像による基地建設予定地の紹介を挟み、永井友昭氏(米軍基地建設を憂う宇川有志の会)が登壇。「宇川地区の予定地には、この1月から『立ち入り禁止』の看板が立てられており、工事に入るための基礎準備的な作業が着々と進められている。こうしている間にも、NTTの電柱の地中からの引き抜きが行われているはずだ」などと報告した。

 工事開始の具体的な時期については、「現時点では『4月以降』ということしかわからない」と説明。地元住民がかねて不安材料としていた、基地完成に由来する騒音、電磁波、排水の問題に関する防衛省の調査が、ここに来てようやく実施されたものの、それらは概して儀式のようなものだったとも述べ、「騒音では、自衛隊の小松基地からの部隊が、電磁波と排水については、いずれも民間企業のエンジニアが調査に従事した模様だが、それは日本環境管理基準(JEGS)に則った、厳格な環境評価にはほど遠い水準だった」とした。

 永井氏は、昨年12月25日の外務省の発表で、在日米軍施設については、JEGSが適用される旨が明記されていることを強調。「日米両政府に対し、『しっかりした環境評価をやってほしい』と迫っていく」と意気込んでみせた。

地元有権者の半数以上が基地建設に反対

 レーダー配備に伴い、米軍が計画している基地の規模は約5ヘクタール。そこに約160人の軍人や軍属を配属する予定だ。Xバンドレーダー基地に関する安心安全面での質問状(米兵の犯罪・事故への日本政府の関与が、どこまで可能かなどを問うもの)を、京都府、京丹後市、そして現地の市民グループが、それぞれに防衛省に出していることに言及した永井氏は、「これまでに、防衛省から納得のいく回答は得られていない」と伝えた。

 国の対応にまるで誠意が感じられない中、思い悩んだ永井氏は、改めて「署名活動」を行うことに活路を見い出そうとした。「われわれは、昨年9月に府と市が受け入れ協力を表明する前に、基地建設反対の署名活動を行っているが、今度は、受け入れ表明の撤回を求める署名活動を実施することに決めた」。

 永井氏は、基地用地を抱える村を狙い撃ちし、札束で頬を叩くようにして賃貸の契約を結ぶ防衛省のやり方に、地元住民は不信感を募らせていると訴え、この2月16日に、永井氏のグループを中心に約40人の有志が地元で署名を集めたところ、わずか1日で300筆近くに達したと強調した。「宇川地区の住民の多くが、同じ思いであることを強く確信した」とした永井氏からは、すでに同地区の有権者数の半数以上から、署名が集まる勢いであることが示された。

 京丹後市への署名の提出は、3月27日に行われる予定。永井氏は「市民局の会議室で行う。中山市長には、ぜひ出てきてほしいのだが、すでに『忙しいから無理』との返事が届いている」と苦笑を交えて話した。

沖縄に「成果」あり!

 続いてのスピーカー、大湾宗則氏(米軍Xバンドレーダー基地反対・京都連絡会共同代表)は、「こういう時こそ、沖縄の市民運動に学ぼう」との立場で必死に呼びかけた。

 「京都府と京丹後市は『経ヶ岬のXバンドレーダーを配備するのは、国の専権事項である』ことに鑑み、防衛省が安心・安全面の確保さえしっかりやってくれれば、基地建設に協力するという考え方だ。しかし、過去の事例を振り返れば、地元住民の反対の意思表明は無駄に終わるということにはならない」。

 大湾氏は、昨年末に、沖縄の仲井眞弘多知事が埋め立てを承認したとはいえ、自民党が推し進めようとした名護市辺野古への米軍の新基地建設は、地元住民の反対を受け、18年もの間、杭1本打つことができない状態であり続けた、と力説した。「住民が粘り強く反対運動を続ければ、国の専権事項が執行されずに済む事例が、現に沖縄に存在する」。

 大湾氏は、本土に「反基地」の声がもっと広がれば、「基地なき沖縄」の実現も夢ではない、と力を込めた上で、経ヶ岬へのXバンド基地建設を阻止するには、京丹後市民が頑張るだけでは力不足とし、「京都全体、大阪全体で、市民による反対の声が沸き上がるのが望ましい」と訴えた。その上で、この4月20日に予定されている、全国各地から反基地を掲げる市民グループの代表者が集う京丹後現地集会では、「大いに気勢を上げよう」と、客席に向かって重ねて呼びかけた。

 国にプレッシャーを与える具体策で、大湾氏は、永井氏も指摘するJEGS仕様の、厳格な環境評価の実施を迫ることが有効とした。防衛省に対し、安心・安全に関する情報開示を執拗に求めていくことも肝要と語り、「このことが、特定秘密保護法の廃止にもつながる」と力説した。

「レーダー基地が作られるだけでは済まない」

 終盤で大湾氏は、このまま経ヶ岬にXバンド基地が作られてしまえば、それが突破口となり、周辺地区を巻き込みながらの、巨大な米軍基地建設が始まる公算が大きいと警鐘を鳴らした。

 「実戦的な軍事基地は、ひとつの基地が単独で完成するものではない」とし、米軍が名護市辺野古への新基地建設にこだわる理由として、近くにある2つの米海兵隊基地、キャンプシュワブとキャンプハンセンの存在と、米軍が辺野古に整備したい、新型軍用輸送機(オスプレイ)用のV字滑走路には、全長約260メートルの、オスプレイを搭載して遠隔地に運ぶ強襲揚陸艦ボノム・リシャール(現在は米軍佐世保基地所属)が接岸可能な、約270メートルもの護岸を作ることが可能である点を指摘した。

 経ヶ岬のXバンド基地については、「隣には、強襲揚陸艦が接岸可能な舞鶴基地(海上自衛隊)があり、福知山には陸上自衛隊の駐屯地がある。その間(碇高原)に、オスプレイが訓練できる場所の確保が可能だ」とし、京都に米軍の「軍事要塞」が作られる可能性は十分ある、との認識を示した。「実際にそうなれば、東アジアの緊張はいっそう高まるだろう」。

 最後に大湾氏は、つい先だって、基地建設予定地の宇川地区を視察したことを話題にし、「私が会った地元の人たちはみな、米軍基地建設に反対していたが、ことに印象的だったのは、女性陣に反対の意思が強かったこと」と報告。「市民運動で女性が本気になるのは、実に喜ばしいこと」と付け足し、会場の笑いを誘った。

 その後、何人かの市民有志が代わる代わるマイクを握り、それぞれ「基地建設反対」を手短に主張して、集会は終了。

 それからほどなくして、会場前からスタートした「デモ行進」では、集会への参加者が一団を形成。「京丹後での米軍レーダー基地建設反対!」と記された横断幕を先頭に、「Xバンドレーダー基地反対」「米軍基地はいらない」といったシュプレヒコールを伴いながら、ゆっくりと前進していった。

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