「同じ思いをする自衛隊員を増やしたくない」 米軍と自衛隊が意図的に隠蔽? クウェートで米軍車両にはねられた元自衛官・池田頼将氏が告発 2014.3.20

記事公開日:2014.7.11取材地: テキスト動画
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(IWJ・ぎぎまき)

特集 中東|特集 集団的自衛権

 イラク戦争の開戦から11年がたった3月20日、衆議院第二議員会館で、「イラク戦争の検証を求めるネットワーク」主催による集会が開かれ、かつてイラク戦争の際、クウェートに派遣された元航空自衛隊員の池田頼将氏が講演した。

 池田氏は、米国の独立記念日にあたる2006年7月4日、クウェートのアリ・アル・サレム基地において、米軍主催のマラソン大会に参加。トップを走る米兵2人を追い抜き、先頭に躍りでた直後、米軍関係の大型バスに跳ねられ、数メートル先の砂漠まで弾き飛ばされた。

 重篤な後遺症を負った池田氏はその後、依願退職を強いられた。現在は1日のうち約20時間を横たわって過ごすなど、働くこともできず、生活保護を受給して生活している。「同じ思いをする自衛隊員を増やしたくない」という一心から池田氏は、2012年9月、適切な治療を受けられなかったことなどを理由に、国家賠償請求訴訟を名古屋地方裁判所に提訴した。

■ハイライト

  • ゲスト 池田頼将氏(元イラク派遣空自隊員)、川口創氏(自衛隊イラク派兵違憲訴訟弁護団)

顎が動かず、食事は流動食のみ

 「左目の眼球の奥がガンガンする。一番ひどいのは頭痛、次に頚椎の痛み。雨の日は最悪な身体になる。ろれつも回らずうまく話せない」

 池田氏の口は、1ミリ程度しか開かず、食事を咀嚼することもできない。話すことも思うようにいかず、食事は流動食のみだ。呼吸が困難になるため睡眠薬を服用しなければ眠れないといい、右手に残った神経症から震えも生じる。症状をあげればきりがないほど、多くの障害を抱えている。集会が開かれたこの日、天候は雨。池田氏は、自身の身体の不調を訴えながらも、ゆっくりとした口調で、自身の経験談を続けた。

米軍から4錠、自衛隊から1錠の精神安定剤のみ

 「私は通信隊員だったので分かるが、通常、事故が起きるとただちに防衛省に連絡が行く。テコンドーの練習で男性がアキレス腱を切った時は、市ヶ谷にFAXが送られた。私の事故に関しては、一切、報告がなされなかった」

 アキレス腱を怪我したというその男性は即、帰国させられたというが、池田氏の場合はなぜか1ヶ月以上も現地に留め置かれた。

 池田氏が受けた治療といえば、事故直後に米軍から投与された錠剤4錠と、航空自衛隊の衛生隊から処方された精神安定剤1錠のみ。レントゲン設備もなく、バスに跳ねられたにも関わらず、ろくな治療を受けられなかった。症状も一向に改善せず、不安ばかりが募っていく池田氏は、日本への帰国を再三求めた。しかし、部隊は池田さんの帰国を許さなかったのである。それはなぜかーー。

帰国を許されなかった理由は事故の隠蔽?

 池田氏の国賠訴訟の弁護団を務める川口創弁護士は、その理由を次のように語る。

 「池田さんが事故にあったのは2006年7月。日本では、自衛隊は完全に撤退したと宣伝されていた時期。しかし、池田さんが所属していた航空自衛隊は、日本国民に隠すようにして、それまで危険だとして活動が禁止されていたバグダットに、密かに米軍兵士の輸送活動を始めていた。

 後に、名古屋高裁はこの活動を違憲だと断罪しているが、政府も事前にそれは分かっていたはず。もし、怪我を負った状態で池田さんが帰国すれば、国内から反発が出ることは必至だった。米軍との関係にも問題が生じることを危惧し、池田さんの事故を隠そうという配慮があったと思われる」

 当時、石破茂自民党議員や原口一博民主党議員が自衛隊員激励のため、イラクを訪問した際、池田氏はコルセットを外してパーティーに出席するよう部隊から指示を受けていたという。やはり、池田氏の負傷を終始隠蔽しようとしていたのだろうか。その可能性の高さを裏付ける話である。

憲法の箍(たが)がはまっている今こそ、抗うべき

 池田氏のような犠牲者を今後、出さないためにはどうすればいいのか。今後もし、自衛隊が派兵されることになれば、世論の反対により隊員を守ることができるのか。参加者のこうした問いかけに対し、川口弁護士が回答した。

 「ただの民主主義ではない、日本は立憲民主主義の国だ。憲法の箍(たが)がはまっているから、自衛隊は海外で戦争をしていない。もし、これから派遣されることになって、世論がそれに抵抗したとしても、行けと言われたら行くのが自衛隊だ」

 自衛隊員に拒否権はない。服従義務があるのだ。川口弁護士は続ける。

 「安倍首相や石破議員は、国民に選ばれたから何をやってもいいという発想。憲法の箍(たが)を外して戦争ができる国にしようとしている。池田さんのような犠牲者を今後、生まないためには、私たちが解釈改憲の動きに抗わなければ。憲法を壊されようとしている今こそ、そういう闘いをしていく必要がある」

イラク戦争を検証したイギリス、シリア侵攻を思い留まる

 主催者の一人、「イラク戦争の検証を求めるネットワーク」の谷山博史氏は、この日、池田氏を招き集会を開いた意義を語った。

 「イラク戦争は、人類の歴史における、世紀の大失敗。戦争の理由とされていた大量破壊兵器はなく、イラク政府とアルカイダに繋がりもなかった。最大の失敗は、イラクに平和をもたらさなかったことだ。日本はどこの国よりも早く、復興支援と称して紛争地に自衛隊を派遣した。アメリカと共にイラク侵攻を推進したイギリスは戦後、独立した検証委員会を設置し、このことが2013年8月のシリアへの攻撃を思い留まらせた決定的な要因になっている」

 谷山氏は、イラク戦争を検証しないまま今に至る日本社会が、集団的自衛権の行使容認へ進む政府を許してしまうのではないかと懸念する。

 この日、司会を務めたジャーナリストの志葉玲氏も、「集団的『自衛権』ではない。これは『アメリカの戦争に巻き込まれ権』だ。アメリカは太平洋戦争以降からずっと紛争が絶えない国。日本が戦争に巻き込まれるのは火を見るよりも明らか。誰が最初に危険にさらされるのか? それは、自衛隊員ですよ」と話し、「誇りを持って任務にあたる自衛隊員を、政府は裏切る。池田さんは裏切られたのだ」、と池田氏の取材を続けてきた志葉氏は述べた。

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“「同じ思いをする自衛隊員を増やしたくない」 米軍と自衛隊が意図的に隠蔽? クウェートで米軍車両にはねられた元自衛官・池田頼将氏が告発” への 5 件のフィードバック

  1. @megumegu1085さん(ツイッターのご意見より) より:

    大切な事よ。安倍首相の会見に騙されないで。

  2. あのねあのね より:

     この話は相当酷く信じ難いことだが、交通事故の場合には日本国内の自衛隊以外の職場の管理者もワリとよく起こす過ちである。日本国内でも企業経営者が従業員に対してよくやる対応と同じなので、大げさな話では決してない。交通事故に対して素人の判断は禁物なのだ。自衛隊の階級が上の人間や米軍の事故当事者やその上の階級の人間も罪悪感は全く無いだろう。普通の無知な人がやる、交通事故負傷者にとってはとても迷惑なよくある話だ。
     軍用車両は装甲が厚い為に重く、人間の重量に対しては衝突の衝撃は少なく車体の変形も無い。それは、武器ではない車両も同じである。重くて硬いために車体は傷つかず、衝撃は感じず人間が余計に傷つくというニュートンの運動の法則を知っていれば理解できることではある。
     被害者は日本の自衛隊が関係無い病院で診察と治療を無料で受ける必要が有る。これは勤務中なので労働災害でもある。この事故に対して保証しない限り安倍晋三氏“念願”の集団自衛権に対する国民の合意は絶対煮えられないだろう。ネットで政府の方針に必ず賛同の文章を書き込む人はサクラなので国民の合意とは一切関係ないから要注意だ。

  3. 森艶子 より:

    結局、裏でアメリカと繋がっていて私達はアリん子のように踏み潰されるのですねえ。アリもまさか上から踏まれるとは思わないで一所懸命生きているのです。全く同じ。

  4. @wakuwakuchizuruさん(ツイッターのご意見より) より:

    「誇りを持って任務にあたる自衛隊員を、政府は裏切る。」

  5. 会社役員 より:

     元自衛隊員の方 心より お見舞い申し上げます
     昨年まで即応予備自衛官をしておりましたが 無理な指導に心不全をおこして たおれた隊員を組織ぐるみで隠蔽した事ありました、 他にもパワハラ横行 隠蔽体質ありますね
      

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