【文化】雅楽の危機と可能性─芸術は「歪んだ空間」を変えられるか?~安冨歩と平智之のWトンチ Live 第2回 2014.2.25

記事公開日:2014.2.25取材地: テキスト動画
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(IWJ・松井信篤)

 東京大学教授の安冨歩氏と前衆議院議員の平智之氏の「Wトンチ・ライブヴァージョン」第2弾が、2月25日(火)に渋谷・ラストワルツで行われた。

 今回は、日本でただ一人、笙(しょう)を一人で制作できる職人であり演奏者でもある鈴木治夫氏が招かれ、鈴木氏の演奏とともに開演し、安冨氏と平氏のトークは鈴木氏を交えて行われた。

■ハイライト

「歪んだ空間」と音楽の可能性

 安冨氏は、雅楽の主旋律を奏でる篳篥(ひちりき)の危機について語った。篳篥のリード部分にはヨシ(葦)が使われているが、良質のヨシは大阪府高槻市の淀川沿いの「上牧鵜殿」にわずかにしか存在していない。ところが、その希少なヨシ原の上に、現在高速道路を建設中であり、巨大な高速道路の橋げたによってヨシが絶滅しかねない状態にさらされている。そうなれば、雅楽には欠かすことのできない篳篥が失われてしまうと、安冨氏は危惧を示した。また、鈴木氏は、NEXCO(高速道路株式会社)が当初ヨシを守ると言っていたにもかかわらず、現在強引に高速道路建設が進められていると話した。

 平塚市議会議員の江口友子氏は、神奈川県の中央部の寒川町における新幹線新駅の建設計画について述べた。この開発計画は、決定済みの事項であるかのように議員に報告されるという。

 安冨氏は、こうした計画を「決定済み事項」として、問答無用で推し進める社会構造を「歪んだ空間」と表現し、「歪んだ空間の中で自由にやっても歪んだまま。空間が歪んでるということが根本的な問題」と述べた。平氏は、「歪んでいる社会にいる人たちも歪んでいるので、その社会が歪んでいるように見えない」と発言し、それが原発や年金や医療における問題に関わっていることを指摘した。

 安冨氏は、「それがおかしいと感じるためには、何らかの変化が起きなければいけない。音楽や芸術がその変化の契機を気付かせてくれると思う」と語った。

雅楽と宇宙

 続けてライブが行われ、バンドによる音楽をバックにして、来客者がイギリス発祥の言論の自由の象徴「スピーカーズ・コーナー」を行った。また、安冨歩作詞作曲・原田敬子作編曲の『サリエリの歌(または、立場の音楽)』や、前回お披露目された『同じ道』のクラシックヴァージョンとロックヴァージョンが演奏された。演奏者や作曲家から音楽や芸術に関する活発な議論が行なわれる中、鈴木氏は、日本の雅楽は宇宙を自分の中に取り込むという意味合いを含んでいることから、「音楽という媒体を通して宇宙と一体化して表現しようとする」と説明した。

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