豊洲新市場建設協議会が大荒れ 多くの課題を先送りにしてきた東京都に対し、業界が怒り心頭 2014.2.21

記事公開日:2014.2.21取材地: テキスト動画
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(IWJ 石川優)

 東京都の中央卸売市場職員や卸売業界関係者で構成される豊洲新市場建設協議会が2014年2月21日、築地市場講堂で行われ、前回2012年11月27日の協議会開催から、約1年以上が経っての開催となった。

 20日に行なわれた新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議と同様、今回の協議会の取材は、冒頭2分ほどしかカメラ撮影を許可されず、豊洲新市場建設をめぐって、推進派が厳戒態勢を敷いていることがうかがわれる。各社の報道でも、新市場建設に懐疑的な意見があることは、ほとんど伝えられていないのが現状だ。

 豊洲新市場の施設工事を請け負う入札公告が2月13日に行われ、5街区の青果棟、6街区の水産仲卸棟、7街区の水産卸棟の3件が落札されている。会議では、まずこの3件の入札結果について報告がなされ、大手ゼネコンの鹿島・西松・清水・大林・竹中等が工事を担うことになったと報告された。

■全編動画

  • 日時 2014年2月21日(金)
  • 場所 築地市場講堂(東京都中央区)

業界委員の伊藤裕康氏が東京都と対立 市場計画案に厳しいダメ出し

 この協議会は、東京都の職員である東京都委員と、卸売業界関係者である業界委員とで構成されている。議題がひと通り報告され、意見交換・質疑のやりとりが開始されると、業界委員の一人で、東京都水産物卸売業者協会会長の伊藤裕康氏は、東京都が説明する豊洲新市場計画を現場の立場から厳しい意見で非難した。

▲2月24日、都庁で開催された「第5回土壌汚染対策工事と地下水管理に関する協議会」での伊藤裕康氏

▲2月24日、都庁で開催された「第5回土壌汚染対策工事と地下水管理に関する協議会」での伊藤裕康氏

 伊藤氏は、まず中央卸売市場の責任者で、協議会の会長兼東京都委員も務める塚本直之市場長への不満をぶちまけた。協議会の開催について、「頻繁に開くよう再三お願いしてきた」と、これまでの経緯を述べ、それに対し東京都は、「(協議会開催が)必要なのか」と拒否してきたと話し、東京都が業界関係者との信頼関係の構築に消極的な姿勢であることを批判した。

 この協議会開催までに、伊藤氏は塚本市場長との面会を要望してきたが、何度も拒否されてきたことも暴露。「歴代の市場長に接触してきたが、こんなことは初めてだ」と怒りを露わにした。傍聴人が入る公開の会議の場で、厳しい意見がぶつけられた塚本市場長は、「誠に申し訳ない」と答えるのが精一杯の様子だった。

土壌汚染だけではない豊洲新市場の問題点

 豊洲新市場予定地は、東京ガスの跡地として知られ、東京都も土壌汚染対策工事に関する会議を設置するなどし、豊洲新市場への移転計画を進めてきた。しかし、伊藤氏は、計画案の物流効率、荷物を運ぶ運送車の経路、駐車場のキャパなど10年以上前に立てた計画案のままで、現在の流通事情が反映されていないことに強い憤りを見せた。

 荷物を運ぶ垂直搬送機の負担をめぐっては、「民の負担になっている。どういう事なのか。荷物を運ぶだけの場合と、人も乗れるものを作る場合で、どうして負担する人が変わるんだ」と糾弾。運送車の流れについても、「我々の調査では、午前3時以降、600台ぐらい行き来する。豊洲新市場では、車の回転はどうするのか」と、東京都が先送りにしてきたいくつもの問題点を炙り出し、運用面の課題について、何ら対策を講じていないことにも不満をぶつけた。

 他の業界委員からも、環状2号線と315号線によって市場が3分割されるため、物流効率の悪さが懸念される点や、駐車場のキャパが観光バス等で足りなくなるなど、運用面での不満の声が多数挙がった。

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