上程間近!? 「共謀罪法」で破壊される「刑法の原則」 2014.2.12

記事公開日:2014.2.12取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJ・原佑介)

 過去3度、国会に提出され、その都度、廃案となってきた「共謀罪法」。この法案の危険性を考えるため、日弁連は2月12日、衆議院議員会館で「共謀罪創設反対を求める院内学習会」を開催した。

 日弁連副会長の房川樹芳氏は、「共謀罪は、既存の600以上もの犯罪が、『合意』しただけで犯罪成立となる内容」と紹介。「過去三回も廃案になったということは、この法律が危険だからだ」と指摘し、「今回の通常国会には上程されないと報じられているが、秋の臨時国会に上程される可能性は非常に高い」と危機感をあらわにした。

■ハイライト

  • 報告 山下幸夫氏(日弁連 共謀罪等立法対策ワーキンググループ副座長)
  • 講演「共謀罪法案の危険性について 特定秘密保護法の成立を踏まえて」―足立昌勝氏(関東学院大学法学部法学科教授)
  • 日時 2014年2月12日(水)
  • 場所 衆議院議員会館(東京都千代田区)
  • 主催 日本弁護士連合会

「未遂」「予備」で処罰不可にも関わらず「共謀」で処罰可能という矛盾

 この日、講師として招かれたのは、関東学院大学の足立昌勝教授。足立氏は、共謀罪法について、「今の政治状況では、一度国会に出れば成立する可能性は高い」と分析する。

 共謀罪法とは、長期4年以上の禁錮刑に該当する犯罪について、「共謀」した段階で処罰しようとするものだ。1764年、イタリアの法学者チェーザレ・ベッカリーアは、自身の著書『犯罪と刑罰』の中で「犯罪の尺度は、社会に与えた損害である」と定義したが、共謀罪法は、この近代刑法の原則を覆す危険性があるという。

 現状、「未遂」や「予備」などの段階で処罰対象となるのは、「殺人罪」などの重大犯罪だけである。しかし、共謀罪法がそのまま導入されれば、例えば、「未遂」も「予備」も処罰対象ではない「建造物損害罪(5年以下)」において、「共謀」が処罰対象になるという矛盾が生じてしまう。

 これについて足立氏は、「未遂も予備も処罰できないのに、なぜ処罰できるのか。その根拠はどこにあるのか。根拠があるとは思えない。深く、強く反対しなければいけない」と非難する。

ファシズム政権で日本が戦争国家となる懸念

 手続き面でも危険性はある。共謀段階で摘発することは至難であり、国家による「盗聴」が認められることになりかねないのだ。

(…会員ページにつづく)

アーカイブの全編は、下記会員ページまたは単品購入より御覧になれます。

一般・サポート 新規会員登録単品購入 330円 (会員以外)

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です