日本記者クラブ主催 民主党代表選 公開討論会 2010.9.2

記事公開日:2010.9.2取材地: テキスト
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2010年9月2日(木)に行われた、日本記者クラブ主催による民主党代表選の公開討論会の模様。

そのすべてをテキストに起こして公開する。

進行係「はじめに主催者を代表して、理事長の斎藤史郎がご挨拶申し上げます。」

斎藤「日本記者クラブ理事長斎藤でございます。
菅総理、小沢前幹事長、本日は、大変お忙しい中、日本記者クラブ主催の、民主党代表選討論会にご参加いただきまして、大変ありがとうございます。

この代表選は、昨日の記者会見でも、お二方とも言っておられたように、まさに、次の総理大臣を選ぶ選挙でもあります。日本の国のかたちをどうするのか、停滞している日本経済をどう復活させるのか、あるいは、失われかけている政治への信頼をどう取り戻すのか、どのような外交を展開しようとしてるのか。

政策の違いだけではなくて、政治の手法についても、お二人の間では、だいぶ開きがあるように見受けられます。国民の多くは、長く続いている政治のモヤモヤ、経済のモヤモヤ、これに相当いらだちを感じ始めております。

これから2時間、ぜひ、激しいバトルを闘わせて、民主党党員のみならずですね、多くの国民が、すっきりするような明解な主張を、展開していただければと思います。

今回の代表戦が、歴史に残る、意味のある代表選になることを期待して、私の挨拶といたします。

ありがとうございました」

進行係「ありがとうございました。
今日の討論会は二部構成でおこないます。全体で2時間を予定しております。途中の休憩時間はございません。

第一部は、候補者による主張と討論です。企画委員のカシナヤスヒロが司会を務めます。第二部では、会場の皆さんから寄せられた質問に基づき、クラブの企画委員が、候補者に代表質問をいたします。

それでは、開始までの、ほんの少々の時間ですが、スチール写真の撮影の時間とさせていただきます。カメラマンの方、どうぞ。

もしよろしければ、お二人近づいていただけますでしょうか。
カメラマンの皆さん、よろしゅうございますでしょうか。
会場の皆さんのお手元には、質問カードをお配りしております。どうぞそれに質問をお書きください。手を挙げていただけば、係の者が取りにうかがいます。

民主党の代表選での、日本記者クラブでの討論会は、99年9月、2002年9月、2009年5月についで4回目となりますが、今回はきわめて関心度の高い代表選候補者討論会となっております。みなさまのご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。

ただいまから、日本記者クラブ主催の民主党代表選立候補者討論会をはじめます。
私は、進行をつとめます、企画委員のイダユミです。それではまず、候補者の方々を紹介いたします。

皆さんから見て左から、小沢一郎さん、菅直人さん、今日の討論会は、第一部と第二部の二部構成でおこないます。

第一部では、私どもから候補者にお知らせしたテーマに沿って、候補者同士で討論していただきます。第二部は会場の皆さんから寄せられた質問に基づき、4人の企画委員が候補を指名し、代表質問をいたします。
それでは、カシナヤスヒロ企画委員の司会で、第一部を始めます。」

司会「カシナです、よろしくお願いします。
第一部は3つのパートに分けておこないます。
最初が基本的な主張、続いて候補者同士による討論、最後にしめくくりの発言といたします。最初の基本的な主張は、代表選で最も訴えたいことについて、お一人3分ずつでおこなっていただきます。続いて候補者同士の討論では、2つのテーマに分けて、議論をしてもらいます。

1つは民主党の主要政策、何を重点に取り組むのか、2つ目は政権運営をどのようにおこなうのか、政治主導やねじれ国会への対応、それぞれのテーマについて、お一人の持ち時間10分以内で、相手の候補者に対する、疑問点や問題点などを質して、討論をしていただきます。最後にしめくくりの発言、お一人2分でおこなっていただきます。

発言の時間管理は、皆様の前のランプを使っておこないます。
ランプが点滅をしはじめたら時間ですので、発言をしめくくるようにお願いをいたします。

それでは第一のパート、基本的な主張、代表選で最も訴えたい点から始めます。

届け出順に、最初は小沢さんからお願いいたします。」

小沢「この度の民主党の代表選に立候補することになりました、小沢一郎でございます。

先ほどお話ありましたように、民主党の代表は、今日では、政権運営での最高責任者を選ぶということになります。したがいまして、私自身、今日のような、大変きびしい困難な時期にトップリーダーとして、その責任を果たすことが出来るのかどうか、今回の代表選に出馬すべきかどうか、思い悩みました。

しかし一方で、今日の日本の社会を見るときに、毎日毎日、人殺しの話し、親殺し、子殺しに始まりまして、そういう本当に信じられないような、報道がなされております。

また、自ら命を絶つ自殺者も、一向に減る気配がありませんし、高齢者の行方もわからないという問題も、出てまいりました。

こういう状況はまさに日本社会、日本人の精神的な崩壊が始まりつつあるということのシンボリックな状況ではないかというふうに考えております。

加えて、今日の経済の停滞が学校を卒業しても就職できないという若者たち。これがたくさん増えております。そして、最近その経済がさらに一層、不透明感を増し、景気の後退が進むのではないかということが言われております。

私どもはそういう中にあって、昨年の総選挙でこういう経済をはじめとする政治経済、そして社会全体の停滞を打破するためにマニフェストを掲げ、官僚任せの政治行政ではなくて、国民主導、すなわち国民の選んだ代表が、政治家が主導する政治を実現するんだということを訴えて政権を委ねられたと思います。

この今日の困難を乗り越えて、そして本当に私たちが掲げた国民の生活が第一と。国民の生活を守ると。そういう政策を実行していく。そのためには国民の代表である政治家が自分自身で決断し、そして自分自身の責任をもって実行していく。こういう政治を作り上げることが、いろいろな施策を実行する上において、まず最大の前提だと思っております。私はそのことを最大の主眼としつつ、経済の再生、国民生活の再生、そして地域の再生。そういった問題を主眼として取り組んでまいりたい。そのように考えております」

司会者「続きまして、菅さん、お願いします」

菅「菅直人でございます。総理大臣に就任して3カ月に達しようとしております。こういう経済の厳しい中ですので、この代表選挙の間も総理大臣としての仕事は一切手を抜かないで、あわせて選挙戦を戦いたいと思っております。

きょう午前中にも規制改革について、これはまさに政治主導でやらなければならない分野でありますが、副大臣会議の中で大胆にやってくれということの指示をいたしておきました。私は大きな点で2つの変革を行わなければならないと思っております。

ひとつは行政、役所の文化であります。つまりは、今までのお役人は、お役所のために働くけれども、国民のためにちゃんと働いていない。私の取り組んだ薬害エイズも患者さんや国民よりも、自分たちの天下り先のために行動したために大変被害が拡大した。それを根本から変えなければならないと思っております。そしてもうひとつは、お金にまみれた政治。政治文化を変えなければならない。このふたつの文化を変えられるかどうか。私はこの選挙戦を通して、国民のみなさんに訴えていきたい。クリーンでオープンな政治を目指していきたいと思っております」

連日、「政治とカネ」のネガティブ・キャンペーンを張る記者クラブマスコミと、
足並みをそろえるかのように
「お金にまみれた政治、政治文化を変えなければならない」
「クリーンでオープンな政治を目指していきたい」と強調する菅直人総理。
暗黙の合意(?)による共同戦線。

菅「特に難しい時代であるからこそ、多くのみなさんが政治に参加をする。政党というのは、国民が政治に参加するための、いわば土俵だと。公共財だと。そういう意味で多くのみなさんの声を政党が受け止めて、それを政策に変えていく。全員参加の政治、熟議の民主主義が必要だと。こういった新しい政治文化を作っていきたいと思っております。

その上で、やるべき政策課題。私は1に雇用、2に雇用、3に雇用と、このように申し上げております。

つまり、雇用こそが今の経済のこの低迷、あるいは社会の不安感、あるいはある意味での社会保障の問題点を変えていくキーになる。鍵になると考えるからであります。つまりは、雇用というのは仕事ですから、仕事が増えれば経済が大きくなり、あるいは税収が増えていく。介護や医療、あるいは保育といった分野の雇用は、社会保障の充実にもつながってくる。そして雇用こそが人間の尊厳、将来の不安に対して、最も必要最小限の必要なものでありまして、そういう意味では不安の解消にもつながってくると思います。そういった観点から、この日本を元気な日本に立て直し、そしてまさに生活が第一の日本にしていくためにがんばってまいりたい。このように思っているところであります」

すでに指摘しているが、改めて指摘しておく。
雇用が増えたら、仕事が増え、経済が大きくなる、などという菅氏の「理論」はまったくの間違い。
経済が成長してこそ、仕事が増え、雇用が増える。これほど間違った話を堂々と開陳している
総理は見たことがない。新聞はじめマスメディアはなぜ批判しないのか。

司会「それでは、ディベートに移ります。2つのテーマを設定しています。お一人の持ち時間は1つのテーマで10分です。相手候補の考えを正したり、疑問点・問題点を指摘したりして、討論をお願いします。相手の答弁の時間も持ち時間に入ります。したがって、質問、答弁ともに簡潔にテンポよくお願いしたいと思います。

最初のテーマは民主党の主要政策、何を重点に取り組むのか。国民の多くは民主党政権ができてまもなく1年、これからどんな政策を重点に取り組もうとしているのかに関心があると思われます。幅広い政策課題の中から、自ら重視している政策問題を選んで、質問・討論をしていただきます。今度は発言の順番を入れ替えて、菅さんからお願いします」

菅「今、申し上げましたが、私は今の日本社会の多くの矛盾を解決していくキーになるのは雇用だと考えております。特に近年、大卒、高卒の新卒者の雇用が大変厳しい。しかし一方ではですね、中小企業などは、もっと若い人を採りたいという人もあります。こういったことを解決するために、今、雇用に対する、特に若年雇用に対する特命チームをつくって全力をあげているところであります。これについて小沢さんとしても重視をされていると思いますが、どのようなかたちで雇用をとらえられているのか、お尋ねをしたいと思います」

小沢「雇用の問題は、もちろん、基本的に大変大事なわれわれの政治テーマだと思います。ただ、先程来、菅さんも雇用を中心にしていろいろ申し上げ、お話しなされておりますけれど、何の政策を実行し、実現していくためにも、今までの役所に丸投げ、官僚依存の政策決定をやっていたのでは、何も有効な手だてはできないと思います。私どもは、そういう意味で、国民主導の、国民の生活が第一と、生活に目を向けた政策を実行するためには、国民主導・政治主導の政治の実現が第一であるというふうに訴えてきたゆえんだと思っております。特に雇用につきましては、私は日本経済の体質としては、1つは外需に頼らないで済む.

最低、内需でもって最低の経済成長をやっていけると、そういう経済の体質にしなくてはいけないと思っております。アメリカや中国、その他の外国の経済が上下するたびに、日本の経済、昔から『アメリカがくしゃみすると日本が風邪をひく』といわれておりますが、いまなお、その体質が変わっておらないのではないかと思います。従いまして、菅さんもおっしゃったように、社会福祉関係の事業というのは、非常にこれからの大きな成長産業だと思いますし、それを育てていく、支援するということが1つ大事だと思います。

それからもう1つは、自民党政権下で非常に格差が広がっております。雇用の格差もその1つであります。従いまして、私は、特に大企業につきましては、その収益の再配分をきちんと社員のみなさん、雇用の、いわゆる従業員・社員のみなさんにもっと手厚く配分することによって、私は雇用を確保することがもっともっと有効にできるのではないかと思っております。

それからもう1つは、やはり地方が非常にさびれて衰退しております。そういう意味で、私が申し上げておりますのは、補助金と呼ばれるような政策経費、あるいは裁量的経費と呼ばれるものが、ほぼ30兆円、22年度の予算でもございます。その中で、私は全部、地方へ移せとは言いませんけれども、 かなりの部分を地方へ交付金として交付できると思っております。ま、公共事業なんか例にとると簡単に分かるんですけれども、そういうことによって、地方の経済の活性化、地方での雇用の創出、地場産業の育成、そういうことを実現できるのではないか、というふうに思っております。

ですから、このことに、思い切って、こういったことに切り込んでメスを入れないといけないし、官僚の既得権のところに大ナタをふるう勇気を持たなければならないというふうに考えておりまして、そういう意味で、単なる雇用に対するいろいろな補助とかそういうものだけではなくして、全体のトータルとしての日本経済の活性化と雇用の安定というものを図っていくべきであると考えております」

菅「まあ、私も8月後半からずっと全国を回って、地方の疲弊を実感してまいりました。しかし、中には日本で立地をしようか、外国に出ようかというときに、日本で立地をしてくれれば、低酸素型の産業については最初のリスクマネー、一部応援しますという、それによって、北九州などでリチウムの電池の会社とかですね、国内立地を選んでくださった方もあります。ま、そういったことで、内需にもつながる、雇用にもつながる、その点では私も小沢さんと同じようなかたちのことを今、内閣として実施をしているところであります」

(社会保障と財源)

菅「そこで第2点に移りたいと思いますが、私は社会保障のあり方については、大きく2つの考え方があるのではないかと。つまりは、ある程度、負担をしてでも将来が安心できる社会を目指していくのか。負担はできるだけ小さくして、あとのことは、ま、自己責任でやっていくという社会を選ぶのか。

私はやはり、前者の、ある程度負担をしても、将来安心できる、老後も安心できる社会をつくることが、国民のみなさんの多くの願いだと思っております。まあ、そういった意味で、社会保障とその財源の問題については、一体として議論をしていく必要があるだろうと、こう思っております。これに対して小沢さんとしてはどのようなお考えをお持ちか、お聞かせをください」

小沢「あのー、負担と福祉の問題につきましては、私は何割まで負担していいのか、とかいう議論ではなくて、それは相対的な問題だと思っております。日本社会において北欧型のような非常〜に大きな負担をするという福祉のあり方というのは、私はちょっと無理ではないかと思っております。ですから、もちろん一定の負担をしていくということは当然でありますけれども、その意味においては、私は、お互いの負担とその効果と結果ということを勘案して決めていかなくてはならないと、そのように思っております。

まあ、具体的な話として言えば、私、この、代表選にあたってのメモにも申し上げておきましたが、年金は一元化して新しい制度をスタートさせたいということが1つでありますが、そのほかの老人医療、あるいは国保、あるいは介護、あるいは生活保護といったものは、トータルで13兆円、14兆円という規模になっておりますが、これは地方へのほとんど補助といいますか、不足分の補填であります。実体は全部、地方自治体が、市町村がやっているわけです。

ですから、これも、私は、例えば介護や老人の医療やケアについても、厚生省でいろんな、あのかたちのものを全部、特養がどうだ、いや、どうだこうだということをいろいろ決めたものを、市町村に、押しつけるという言葉はいけませんが、やってその通りやれ、と、こういう話になっています。私はそれぞれの地域、それぞれの市町村でみんな事情が違うと思います。ですから、本当に国保も全く黒字のところも中にはあります。それで、医療も、病院にかかる老人も本当に少ないというような施策をきちんと自分たちで行っているところもあります。それは特例ですけれども、そういった十数兆円の経費もですね、実体として市町村がやっているならば、私は、これは今すぐとはいえないですけれども、市町村にむしろそのお金と権限を任せて、それぞれその市町村で老人医療はどうする、介護はどうする、というような知恵を出して、お金を有効に使い、自分たちの郷土を、ふるさとを作り上げていくと。こういうやり方が、私は将来、いいのではないかと思っております」

「地方のことは地方に任せる」という小沢氏の「地方主権論」。その理念自体には異論はないが、

地域・地方の政治・行政すべてが、善意の、知性のある人物で占められているとは限ら
ない。地域に予算と権限とが移されるということは、その地域内で利権が発生する可能性が
ある、ということである。築地市場の移設問題を見ていると、そのことを痛感する。
都は、汚染された豊洲への移転を強行しようとしている。もし、国(市場の開設許可は農林水産省
が下す)が歯止めをかけていなかったら、この世紀の愚行は、もっと早く強行されていたので
はないか。
国と地方との、予算と権限のバランスこそ肝要。そして、有権者が適切な判断を下してゆく
基盤となる公正な情報の開示と流通も。地方紙や地方局が地域の情報を牛耳ったままで、
閉鎖的な記者クラブが温存されている状態では、地方行政に明るい未来はない。

司会者「では時間がまいりましたので、続いて小沢さんのほうから質問をお願いします」

 

(予算編成)

小沢「あの私は、先ほども、最初のあいさつの時に申し上げました、われわれの最大の主張は、官僚の行政から、官僚の政治から、国民主導、国民の代表の政治家主導の政治に改めないと、何事もわれわれの言っていることは実現できないということを訴えてきたはずであります。その中で、例えば予算編成、今、来年度の予算編成、進行しております。これはまさに、最初から民主党がつくる予算の最初の予算でございます。

この予算編成にあたってですね、このあいだ、いわゆる一律にシーリングと、10%カットという決定がなされました。これではまったく今までの自民党政権下と同じ手法、同じ結果しか出てこないのではないかと私は思っております。

ん〜、役所の中でもって、政策の優劣、あるいは予算配分についての優劣を、お役所自身が財務省といえどもつけることはできない。従って、結局は全部一律削減だ、ということになってしまってきたのが、従来の自民党政権下での予算編成でありました。今回もこの一律10%削減というシーリングのことを聞きましたときに、結局、同じようなことをやっているのではないかと。これではちょっと、国民に約束したことと、現実の民主党政権のやっていることと違うんじゃないかという感じが、私、個人的に持ちました。この点について最高の責任者である菅総理のご意見をうかがいたいと思います」

菅「まあ、昨年9月、これは小沢、当時の幹事長とともにですね、政権交代を実現をして、最初にやったことは事務次官会議の廃止、そして副大臣・政務官を含めた政務三役会議を設立いたしました。私も長年、自民党の政治も見てまいりましたけども、また私も厚生大臣をやって経験がありますけども、そういう政治の中では、ほとんどの役所のことは、官僚がおぜん立てをして、ある意味では大臣はそれを『わかりました』といえば全部が動くという、そういう形でありました。それを根本的に変える、まさにこれこそが国民主導の政治ということでスタートしたわけであります。この1年間、試行錯誤がありました。

しかし、例えば前原国交大臣はこれまでの公共事業、18%を大きく切り込みました。一方では、福祉や教育はプラスをさせました。つまりこれこそが政治主導なんですね。基本的にはそういうやり方を今後も続けていこうということで、予算編成も進めているわけであります。ですから、この部分を前と同じにして、この部分は新たにどうしていこうといういろんなやり方については、これは小沢さんの方がいろんな時代のことをご存じですからおわかりでしょうけれども、私は政治主導になったかどうかというのは、ちゃんと予算編成が終わったところで評価されるべきものであって、何か個々のプロセスのこの段階だけで、物事を見るというのは、それは木を見て森を見ないやり方だと。

さきほど、規制緩和のことも申し上げました。そして、小沢さんご自身も言われましたが、地方主権の問題、まさにこういう国の形の本丸にどこまで踏み込めるか。私は政権交代の選挙などを通して、明治維新の逆の改革をやるんだと。つまり明治維新というのは、分権国家であった幕藩体制をですね、そのままでは外国の植民地になるから、中央集権国家にして、そして近代化を急ぐ。当時のあり方としてはそうせざるを得なかったわけですけども、それから140年経った今日の日本は、そういう中央集権国家の、霞が関縦割り中央集権国家の、そのマイナスが今の日本の停滞につながっているわけですから。その国の形をまさに根本から変えて、地方主権の国家に変えていくんだ。

これは私が、初出馬以来、言い続けたことでありまして、そのことの本格的な作業に入っていると、このようにご理解をいただければありがたいと思っております」

小沢「あのー、今、菅総理のお話をお聞きしましたが、菅総理は最初から、副総理として、そしてまた財務大臣として、そして今は総理大臣としておられるわけであります。私はその経過を垣間見る立場でしかありませんけれども、どうしてもこの手法、やり方というのは、旧態依然として同じようなやり方をしているのではないかという気がしてなりません、心配でなりません。

それからさっきから言っておりますけども、いわゆる地方主権、地域主権、これを確立するためにはやはり、地方の身の回りのことについては、霞が関から権限と財源を地方に移す以外に方法はないんです。ですから、これをやりきれるかどうかということが、私は根本の、政策の根本にかかわる問題だと思っておりますので、そういう意味でちょっと今の流れは、昔と、自民党政権下と同じような官僚主導の予算編成のやり方ではないかと、そう感じたもんですから、質問をさせていただきました。違う質問に移っていいですか?」

司会者「はい、どうぞ」

小沢「えー、2番目には、沖縄の普天間の問題でございましたが、私は別に昨日も言いましたが、白紙に返せと言っているわけではありません。日米間の合意は、それは、きちんとそれなりに尊重されなければならないと思っております。しかし、地元沖縄では『絶対反対』という声が県民の大多数と思います。そうしますと、日米合意を現実に実行に移していくことが、非常に難しい状況ではないかと思います。

そういう現状をみて、私としては、沖縄県も、またアメリカ政府も、納得のいけるような、何か知恵を出すために、もう一度県民みなさんやアメリカ政府のみなさんとも、いい知恵を出しうる、そういうための話し合いをしたらどうかなと、そういうふうに考えているということでございますが、総理大臣としてこの点いかがお考えでしょうか」

菅「この普天間をめぐる問題、鳩山前総理が本当に苦労されたことはみなさんもご承知の通りです。そういう中で、最初は県外、国外ということをいろいろ模索をされ、いろいろな案を検討された中で、5月の段階で日米合意という形で、沖縄の中に代替施設を設けるということを合意をされました。私はこのことが、沖縄のみなさんにとってなかなか受け入れ難い合意であるということは、重々承知をいたしております。しかし、1年にも及ぶこの議論、ま、ある意味で迷走した議論をですね、このまま続けておくことは、単に日米関係だけではなくて、日本のいろいろな政策決定に障害を起こしてきた。ま、そういう中で鳩山総理はいわば、政治とカネの問題に加えて、この問題での責任を取って辞任をされたわけであります。

それを引き継ぐ私としては、まずは鳩山前総理が合意をされたところを原点として、そこからスタートすることが、日米間においても、あるいはこれからの政治運営においても、必要だろうということで、それを踏まえて、という言い方で今日まで来ております。しかし同時に、沖縄における負担の軽減、これは普天間の移転にかかわる問題が多いわけですけども、それだけではありません。北部の訓練場の半分が返ってくる、これも10年間止まっております。また、普天間との関連で言われている嘉手納以南の返還の問題もあります。また、これと並行してグアムへの海兵隊の移転、大規模な移転も予定されているわけでありまして、私はそういう沖縄の軽減につながることは、まず優先的に進めることができないかということで、今話し合いを進めております。そして、将来、それが遠い将来になるのか、近い将来なるのかわかりませんけども、さらなる沖縄の負担軽減を考える、そういう時に歴史のあり方ということは当然ながら、あらゆる問題を考えなければいけない、考えるべきときもくると思っております。

私は小沢さんが昨日の会見でも、日本、沖縄とアメリカの両方が納得できる知恵があるという趣旨のことを言われました。 本当にそういう知恵、私もぜひ教えていただきたいと思うんですね。まあ、鳩山さんもそういう知恵を求めて、たいへん苦労されたわけでありますので…」

司会者「(割り込んで)では時間が来ましたので、短めにまとめてください」

菅「ぜひこの場でですね、この場で、その知恵の一部でも国民の前でお披瀝(ひれき)をいただければと思っております」

小沢「あの、私は、鳩山内閣で日米合意された、そのことを原点として尊重していくということには変わりありません。ただ、このまんまでは進まないんじゃないかと、だから何か知恵を出さなくては、両方が納得する知恵を出さなくてはいけないんじゃないかということを申しているだけでございます」

司会者「はい、この点については後ほどの第2部でも質問等出ると思いますので、補足してお願いしたいと思います。それでは、2つめのテーマ、政権運営をどういう風に行っていくのか。ねじれ国会への対応など含めて討論をしていただきたいと思います。今度は小沢さんから、質問をお願いします」

(政権運営、ねじれ国会への対応)

小沢「国会運営ですか?」

司会者「ええ。政権運営です」

小沢「はい。この間の選挙で44議席という、参議院大敗を喫してしまいました。従って、何を、政策を法律化して通そうと思っても、数だけでは到底できません。そして今、野党各党とも、菅政権にいろいろな政策で協力することはできないという趣旨の話を各党ともしております。それがまあ、現実だと思います。そうしますと、衆議院で圧倒的な多数で、言うまでもないですが、参議院の国会運営、自分たちの主張を通すためには、やはり野党の賛同を得なければならないと思っておりますけども、野党のみなさんがそういう趣旨の政治スタンスをとっていることについて、菅総理としてどのようにこれを打開していかれるか、お聞きしたいと思います」

菅「まあ私はですね、先の参議院選挙で大きく議席を減らし、敗退したことについて、その責任を痛感をいたしております。しかしこのことで、何かもうこれで政治が進まなくなったと、このようには思ってはおりません。ある意味では新しい局面が生まれる可能性がある。つまり、自民党が参議院が少数でねじれた時期もありました。今回逆の時期もあります。つまりは、自民党もあるいは他の野党も、自分たちが全部反対すれば法案が通らない。しかし、本当に国民のためにどうすればいいかということをですね、考えたときに、私は謙虚に話し合いをすればですね、大きい問題であればあるほど、共に責任を感じて何らかの合意形成を目指すということはありうると思っております。

私がよく例に出しますあの金融国会の時、当時自民党が過半数割れを起こして、野党、私が代表する民主党、そして小沢さんが代表された自由党、公明党で金融再生法案を出しました。この法案が通らなければ、明日にも、長銀、日債銀が破綻をして金融恐慌になるのではないか。そういう中でありましたので、私は徹底的な議論をいたしまして、そして、わが党、野党の案に自民党が全面的に賛成されるならば、それを政局としては扱わないで、政策合意をしてもいいと申し上げましたが、100%野党案そのものを賛成するという形で成立をし、金融恐慌を避けることができました。それについて、小沢さんからは『政局にしないなんていうことを言うのはおかしい』と言われましたけども、私は今でも日本のため、世界のためにはその選択は間違っていなかったと思います。これからの政権運営においても、そういう真摯な姿勢で臨めば、野党のみなさんもですね、必ず応えてくださると、このように考えております」

(ねじれ国会への対応)

小沢「あのもちろん、今、総理のおっしゃったように、私どもが本当に国民のための政策だ、法律案だということでもって、野党のみなさんと合意することができるものもたくさんあると思います。ただ、今、お話があったように、あのときも野党案を丸飲みしたというのが現実でありました。本当の危機的な状況の中では、そういうことも、当然、お互いにあり得ることではございますけれども、自分の政策主張を、自民党や野党と違う、基本的に考え方の違う政策、主張というのは現実にはできなくなってしまうわけでございますので、その意味についての国会運営というのは大変厳しいものではないかと思っております。

もちろん、僕はこの選挙の結果のいかんにかかわらず、一兵卒として協力することは党員として当然でありますが、なかなか、わが党が野党で過半数をもっておったときの、自民党政権下でわが党がもっておったときの、国会の状況を見てもおわかりの通りだと思いまして、そういう意味では私はここがリーダーとしての手腕を問われるところであって、本当に真摯に一生懸命、野党に対して話をすれば、一定限度の理解は得られるということは、そう思いますけれども、本当に、主張、政治的な考え方の違う問題については、まったく動かないということになりますので、そういう意味で大変、厳しい国会運営になっていくのではないかということを心配しておりまして、この、リーダーとしては打開策をきちんと考えておかなくてはならないだろうというふうに思っておりますものですから、そういう質問をさせていただきました」

菅「私は先ほど申しあげましたようにですね、今、日本の行き詰まりは、この1年、2年の行き詰まりではありません。約20年間にわたる行き詰まりです。それは景気対策をやっても、一時的に良くなっても、成長には戻りませんでした。あるいは社会保障についても、少子高齢化がなかなか止まらなくて不安感が高まってます。財政の状況は、いろいろな見方はありますけども、いずれにしても膨大な借金が積み上がっていることは事実であります。こういう大きな課題、まさに金融国会の時の金融破綻に匹敵する、あるいはそれを超える大きな課題であるからこそ、私は、たとえば二大政党の一方が多少力を持っていても、それを超えてこれなかったために、それが今日のこの行き詰まりがあると私は思っております。

ですから、この大きな行き詰まりを超えるためには、ある意味では、党を超えた合意形成、国民の合意形成が必要になる。熟議の民主主義ということを言ってまいりましたけれども、この間、私たちが野党でねじれ国会のときには、やや率直に申しあげて『政権交代を目指す』という政治的な目的のためにかなり行動したことも事実でありますから、そういう意味ではそれぞれがそういう行動をとった上で今日の状況を迎えて、ある意味の新しい局面にきたわけですから。そういうより大きな課題こそが、私は“天の配剤”だと申しあげているんですけれども、こういう中で合意形成ができると、私も30年間国会におりますので、自社さ政権、いろいろな政権、ご一緒した方もあります。

たとえば、子供手当ては公明党が賛成をしていただいて、現在の法案もできているということもありますし、財政健全化についても、自民党も中期目標等ではわが党と一致をした目標も出されておりますので。もちろん、簡単だとは思っておりませんけれども、まさに真摯に、政局ではなくて、国民のことを考えて話し合おうという、その呼びかけをきちっと。ま、既に多少の努力はしておりますけれども、させていただいたときには、私は、他の野党の皆さんもですね、国民の皆さんのことを考えて、そういう話し合いに参加をしていただけるものと、このように思っております」

小沢「あの、国会運営について、特別これ以上何もありません。ただ、今、繰り返しますが、自分たちが国民に約束した政策を、主張を実行していくためには、やはり参議院でも過半数を有するということは、本当に大事なことだと思っております。このままですと、仮に民主党政権が続くとしても、もう最低でも6年、とても6年じゃ無理とは思いますが、9年、12年の歳月をかけないと、過半数というのはなかなか難しいという結果が現実だと思っておりますし、また、われわれが政権をめざしておったからというお話がありましたが、今、自民党は政権の奪還を目指して頑張っていることだと思いますので、状況は、立場は変わりましたけれども、同じことだと思います」

(政策調査会)

司会者「じゃあ、時間がまいりましたので、続いて菅さんの質問、お願いします」

菅「まあ、私は冒頭にも申しあげたように、クリーンでオープンな政治、クリーンでオープンな民主党というものを実現し、発展させたいと思っております。昨年、9月に政権が発足するときに、小沢、当時の幹事長の強い主張もあって、政策調査会が廃止をされました。当時私は『調査会を残すべきだ』と申しあげたんですけれども、代表、幹事長がこれを「廃止だ」ということで廃止になりました。今回、6月の代表選に立候補するにあたって、政策調査会を復活するということを、お約束をし、そして現実に復活をすると同時に、政調会長の玄葉さんに閣内に入っていただく、閣僚になっていただくというかたちで、党と内閣の政策の一元化、つまり党は提言というかたちではありますけれども、政調会長が内閣に入るというかたちで、よりその影響がしっかりと政府に及ぶようにということで、ひとつの、一元化の一つのありかたとしてそういう選択をさせていただきました。

私は多くの党内の皆さん、あるいは国民の皆さんがですね、政策を民主党にいろいろ提言する窓口が、すべての国会議員に広がったことを喜んでいただいていると思っております。そこで、小沢さんにお聞きしたいんですが、小沢さんが代表になられたときにはまた政調会を廃止をされるのか、それとも今の形で存続を認められるのか、お聞かせを下さい」

小沢「はい。あのー、私が政調会というものをやめるべきだと言ったことは、事実ではありますし、いまなお、そう思っております。それに代えて、政府与党一体という観点で、政策会議というのを設けました。その政策会議には、部署別に、各省庁別に、誰でも参加できると。ある意味でその政調部会の役割も果たしていくということで設けられたものであります。その運営がですね、副大臣や政務官が大変忙しいということもあったやに聞いておりますけれども、ただ単に形式的な形に終わってしまって、本当に政策論議が全員参加でやれるという状況じゃなかったということは実態のようでございます。ですから、最終的にその政策会議を副大臣、政務官だけじゃなくて、各委員会の理事の人も一緒に入って、そして党と政府の両方がその運営について相談し合いながらやろうということに、私、たぶんまだ、幹事長のときに提案をいたしまして、それが軌道に乗り始めた矢先であったように思っております。

私はその意味では、政策会議が、みんなが参加し、そして十分に議論が尽くされ、政府と与党と、政府と国会と、それぞれの部署の人たちがきちんと話し合える形をとれればそれが一番いいと思っております。政調部会、復活いたしましたけれども、結局2つできてしまいまして、どちらがどうなのかと、いまだ有効に機能しているという声をあまり聞いておりません。それからもう一つは、政調部会というのは、自民党政権の下で党と政府、ま、政府といっても中身は官僚ですけれども、それとの、お互いの、ある意味で『これだけ党が主張して、これだけ予算を変えたとか予算を取った』とかいうたぐいの、お互い出来レースのようなかたちでの存在だったものですから、どうしても政調というと、そういうイメージが強く働いてしまいますので、これは党と政府が異質なものだと、どちらかというと対立するものだという意識の中で私は、作られてきた自民党の政調部会だと思ってます。

いわゆる明治以来の超然内閣的な感覚の下で、政府、これは大臣やなんかいますけれどもバックはすべて官僚、お上と。それに対して党がいろいろと意見を言えるようにするという発想がどうしても見え隠れしてきたのが、政調会じゃなかったかと思っておりまして、私はそういう意味で本当の政府与党一体化ということであれば、政策会議を効果的に、効率的に運用することによって、私は、政調その他の部会に代わる、あるいは全員参加の議論が十分できるというふうに考えております」

菅「今小沢さんが言われた、まさに、かつての自民党はですね、内閣のほうは大臣はいるけれども、副大臣、政務官がいませんでしたから、ほとんどが官僚でコントロールされ、閣議も事務次官会議でコントロールされ、つまりまさに内閣の側は官僚内閣だったわけです。それに対して、自民党の政調は、党という立場でありましたが、それが族議員化することによって、逆に官僚と族議員が直接結び付くと。これが一番の問題点であるということで、私たち民主党がまさに政治主導の内閣をつくろう、それは内閣の側も事務次官会議をなくし、そして政務三役会議をつくって政治主導にすると同時に、党のほうも族議員的なやり方はとらないで、政策提言という形で政調を復活するという形で進めてきているわけです。

特にその中でもう一つ小沢さんにお聞きしたいのは、本来この議院内閣制の下で内閣を運営するには、100人を越える国会議員が内閣に入る方が望ましい、事業仕分けなどでももう少し党のほうから人を参加をさせてもらいたい。現在、出されている政治主導法案もそういう内容になっております。しかしどちらかというと小沢さんは、事業仕分けでもいったん決まっていた議員が参加するのは、それは1年生議員はまだそういうことに出すのは早いといってですね、止められて、非常に率直に言って、内閣の側は、政治家が、数も含めてですね、不足をして苦労したこともですね、いろんなものが進んでいない一つの大きな原因になっております。そういった意味で私は、今、小沢さんが言われたことは、もっと内閣の中にも、国会法などを変えてですね、国会議員が参加できるようにすべきだと私は思っているんですけれども、それについてのお考えも合わせて聞いておきたいと思います」

小沢「私がもう10年、20年前からそういう主張をしてまいりました。そして副大臣、政務官という仕組みを、メディアの皆さんからもからかわれながら、なんとしてもこれは成立させたいといって自自連立のときに作ったものでございます。そういう意味で私は、非常に、これが有効に働けば、本当に政治主導の成果をあげることができると思っております。まあ100人とか200人とかいう数字は別ですけれども、ブレアさんのときには いろんなのをいっぱい作って200人以上になってヒンシュクを買ったといわれておりますけれども、もっと充実させるということについては、私は大賛成でございます。

それから、幹事長のときに、増員するのに文句を言ったとおっしゃいましたけれども、別にそれについて文句を言ったわけではありません。全部、それぞれの国会やら党やらなんだの全部、ポストが決まってからまた、こう引き抜くという話になると、またその、玉突きやらなんやら、あっちやらそっちやらということになっちゃうんで、それは困るから、この時点では最小限にしてくれということを申しあげただけであります。ですから、政府の人事と、副大臣以下の、そして党や国会の人事というものは、本来は一緒に、同時並行的に統一して進めていくべきだというのが私の持論でありまして、それぞれがみんな好きなようにやってしまいますと、そういう、後で問題が生じてくるということであります。基本的に、政治主導のためにこの副大臣、政務官、これをもっと増員していいと、すべきだという点については賛成でございます」

(締めくくり発言)

司会者「では時間がまいりましたので、最後に締めくくりの発言をお願いしたいと思います。言い残した点、あるいは強調したい点、あるかと思いますので、お一人2分以内でお願いします。今度は菅さん、続いて小沢さんの順番でお願いします」

菅「まあ、政権担当から3カ月、この間にサミットに出掛け、また11月にはAPECを迎えることになっております。私にとっては財務大臣時代からのこういった外交の場での議論をさせていただきまして、幸い多くの首脳と理解が深まる関係をつくることができました。そういう中では、昨日もサパテロ・スペイン首相ともお話を致しましたけれども、あの方も、もう4、5年は首相をやっておられますけれども、もう、日本の首相の名前なかなか覚えられないというような趣旨のことも言われまして、大変これは私個人のことというよりも、恥ずかしい思いを致しました。

そういった意味で、ま、3カ月といえば、もう十分だといわれる方もあるかもしれませんが、まだ3カ月でありますので、ぜひですね、この立場で、しっかりした行政を継続させていただきたい。その上でまた、判断するときは当然、国民の皆さん、党の皆さんに判断をいただくことは当然あるわけでありますので、どうか、そういう観点からも、私も全力を挙げて、国内の問題ばかりではなく、国際的な問題にも力を尽くして参りたいということを最後に申し上げさせていただきます」

小沢「私が一番申し上げたいことは、やはり、国民の代表である政治家が、官僚任せではなくて、政策決定、予算編成、それも政治家自身の決断と責任によって行うと。これの政治を実現するということが、国民のわれわれに対する期待だったと思います。今の状況を見ると、従来の予算編成と変わらぬような状態でありまして、その点について、私は非常に心配しておりまして、それが、言いたい第一であります。

それから個別の話としては、今、経済の問題が深刻です。ですから、この経済の再生、景気対策ということに、まずは当面全力をあげるべきだと思っております。それから、それと関連しますけれども、国民生活がいろんな所得の格差、雇用の格差、地域の格差、いろんな問題が自民党政権下の中で、非常に大きくなりました。ひずみ、ゆがみが出てきております。この問題を、さっき言った、地方への税財源、あ〜財源と権限の交付とか、いろんな形、セーフティーネットをつくるとか、いう形でやっていかなくてはならない、そのように思っております。その中で特にまた、地域の疲弊が著しいので、地域経済ということの振興ということが日本経済全体の振興に結びつくのではないかとそう思っております。

今日のテーマにちょっとならなかったんですが、行政あるいは政治改革の問題であります。私は、国家公務員の天下りは全面的に禁止すべきだと思っております。また、独法や特殊法人等々も原則廃止、あるいは民営化すべきだと思っております。また、外交については、日米同盟を主軸としながら近隣諸国との関係をさらに深めていきたいと、そう思っております。また、『新しい公共』という鳩山総理が打ち出したこの考え方も、私は継承してまいりたい、そう思っております」

司会者「えー、ご協力、ありがとうございました。

それでは引き続き第2部に入ります。まず代表質問者を紹介します。いずれも当クラブの企画委員です。左から原田亮介さん、倉重篤郎さん、橋本五郎さん、星 浩さんです。質問に対するお答えは原則として一分でお願いします。限られた時間を有効に使うためですのでご理解いただければと思います。それでは代表質問をお願いします。」
(挙党体制)

質問者「最初は総論的なことを聞きたい。届け出順にまずは小沢さんにお聞きしたいんですけれども。確認しておかなければいけないことがあります。今度の代表選に出るか出ないかということで、挙党一致、挙党体制、 トロイカ体制といろんな言葉が出たが、これは誰が考えても、小沢さんが要職に就くということ以外に考えられません。一体、何のポストを要求したんですか。どのポストになれば挙党体制になると考えていたんですか」

小沢「メディアの方はすぐにポストの話をなさいますけれども、菅総理もブリーフでお話ししたとおり、ポストの話は一切出ておりません。また、挙党態勢というのは、この選挙の結果はどうであれ、お互いにがんばりましょうということで、菅総理とも会談で最後に話を、握手をして別れました。ですから、 このことは、この選挙の結果であれ、何であれ、私は挙党態勢ちゅうのは、当然のことだと思っております」

質問者「それなら、何でそれほど迷走したのかと非常に不思議に思っちゃうんですねこれは」

小沢「は?」

質問者「どうして迷走したのかが、不思議に思われちゃう、っていうんです」

小沢「私どもは、迷走しておりません。話し合いをしたいと、俗にトロイカとか、トロイカ・プラス1とか、いう形で話し合いをしたいというふうに、私自身もそうしたいと思っておりました。それで、鳩山前総理が非常に骨を折っていただきまして、挙党体制をつくりあげるために、話し合いをしようということで、菅総理もいったんご了承いただいたやに聞いておりますけれども、やはり、それは、密室の談合のような形になる、という菅総理の側の方のお話から、その話し合いちゅうのは、できずに終わったということでございます」

質問者「もう一つ確認しておかなければいけないこと一つ。それは小沢さんが代表に選ばれても、ひょっとしたら総理大臣は他の人がやるのではないか、総理大臣と代表を分離するのではないかという人もいる、見方もある」
小沢「ああ、そうですか」

質問者「そういうことは絶対ないと、ここで言い切れるか」

小沢「それは私個人レベルの話ではなくて、議院内閣制ですから、議院内閣制では、最大与党の党首が内閣を、総理大臣を務めるというのは当たり前のことでありまして、自民党時代も総総分離なんて言う話ありましたけど、それはもってのほかだと思ってます。ですから、私も思い悩んで、この代表選にあたっては、それで最終決断したということでございます」

質問者「菅さんに聞きたい。先ほどの、ポストの問題。トロイカというには、3頭立てなんだから、それぞれが重要ポストに就かなければトロイカでもなんでもない。その点についてどう思うか。それからもう一つ。昨日の会見ですけども、古い政治からの脱却と、要するに小沢さんが出てくることは古い政治なんだから、それはいけないこと、ふさわしくないという意味なんですね、あれは」

菅「まず、挙党態勢という言葉がいろいろに言われていますが、私は一貫して言っておりました。適材適所で全員が参加できる、そういう体制と。そういう意味で、挙党体制を私は一度もそれを拒否したことはありません。鳩山前総理の方から、トロイカ・プラス1というお話もありまして、つまりは 過去の経緯も含めて、その3人、4人が協力してやってきたんだから、これからも協力してやっていこうと、そういう精神的な確認をしたいということでありましたので、それなら喜んで、私、選挙終わってから、小沢さんにお会いしたいといっても会えませんでしたので、いい機会でもありますので、お会いしたいとい うことで、お会いしたわけです。

ですから、私が感じたのはですね、小沢さんは、やはりこれまでの民主党の場合も、小沢さんがこれまで重要な役割を占められた他の政党の場合も、実質的な最高権力者である形がほとんどでありますので、私としては、いろんな周辺的なことも考えますと、実質的な最高権力者ということについて、了解をしろということでもしあったとすれば、それはそんなことをですね、密室で決めるわけにはいきませんということで、そういう意味で密室でやることはお断りをしました。お会いをすることは私もお願いをしたわけです。

それから、古い政治という言い方は、私は2つあると思っております。一つはやはり、お金の問題です。私が初出馬をしたのは、ロッキード選挙といわれた選挙で、金がなければ政治ができないんだといわれたものをですね、変えなきゃいけないと思ったことが最初です。それから、もう一つはやはり数の力というもの、もちろん民主主義は最終的に、多数決で決めることは当然かもしれませんけども、それまでに、まさにいろいろ話し合う、政策でもって話し合うというプロセスがあることが重要だと思っております。

ですから私は、金と数ということを、あまりにも重視する政治こそが古い政治だと。そうではなくて、お金がなくても、志と努力と能力のある人はどんどん国会議員にも、政治にも参加できると。そして、数の前に中身の議論をしっかりすると。その中で合意形成ができてくるという、そういう政治こそが新しい政治で、今、日本に必要となっている政治は、その新しい政治だと、こう思ってます」

質問者「それは、小沢氏に体現されているということか」

菅「小沢さんの政治のあり方は、どちらかといえばですね、やはりまあ、資金的な強さ、あるいは仲間の数の多さ、そういう『お金と数の原理』が色濃くあるというのは、これは私だけが感じていることではないんではないでしょうか」

質問者「分かりました」

(政治とカネ)

質問者「小沢さんに。その点もそうなんですけども、やはり国民が非常に関心のあるのは、『政治とカネ』だ。世論調査をやると、小沢さんが十分に説明していないという人が8、9割いる。 昨日の会見でも、自分は十分に説明したんだと、でも国民は思っていない。ということは、マスコミが悪いんですか、国民が悪いんですか、どっちなんですか。そこは謙虚に受け止めなければいけないと私は思うんですが」

この愚問はいったい誰が発したのか。記者クラブメディアは、言いがかりはいい加減にすべきだ。
これまでも、小沢氏に何度も同じ質問を浴びせてきた。しかしそのたびに小沢氏の回答の一部しか報じない。
回答すべてを紙面にのせたり、オンエアしたりはしないのである。
そして何度も「説明が足りない」とだけ繰り返す。「政治とカネ」の中身について、具体的な質問はほとんどない。
そして灰色のイメージだけどなすり続ける。
私もまた、メディアの片隅で仕事をしてきた人間の一人であるが、心の底から恥ずかしいと感じる。「謙虚に受け止めるべき」はマスコミである。

小沢「僕も、そう思ってます。どっちが悪いとかって言っておりません。それは謙虚に受け止めております。ただ、調査といっても、いろいろな調査がございまして、私のことについて支持をしてくれている調査も大変多くありますので、そういったいろいろな新聞、テレビの調査だけでありません。今、いろんなコンピューター・ネットワークの時代ですから、そういうものを通じた調査もありますし、いろんな調査の結果を、それが国民の声として謙虚に受け止めたいと思っております」
質問者「やはり最も影響力のある人はノブレス・オブリージュというが、高いポストにある人はやっぱりとりわけ誰よりも説明する責任がある、そう思うんですね。その説明責任を果たしていないのではないか、と思う人が多くいるということは、謙虚に受け止めなければいけないことではないのか、とそう思うんですね。」

小沢「ですから、繰り返します。謙虚に受け止めております。それで、機会がある度に、メディアの前でも、私は何度も何度も説明を致しております。 それから、もう一つは同じような政治とカネの問題で、いろいろとメディアで報道された方々があります。最近もあります。しかし私は、一度、問題になったときに事務所の経費、これもすべて公開いたしました。記者さんたちが来て、全部、領収書から何から全部閲覧していったと思います。

今まで法律上、公開 する必要のない事務所費を公開したのは、なぜか私一人でございます。クリーンというならば、全員、みんなそれを公開すべきではないだろうかというふうに 思っておりますし、私自身、検察の、事務所が捜査を受けました。秘書やその他の皆さんにも大変ご迷惑をかけましたけれども、1年有余の捜査の結果も、実質的に不正な犯罪事実は何らないということが、むしろ結果として証明されたものと思っておりますんで、そういう意味では大変厳しい、きつい辛い1年だったですけれども、結果的にそういうことが、明らかになったことで、今としては、まあまあ迷惑かけたけどよかったなと思っております」

ここで一言、「菅さんは事務所費をすべて公開させていますか?」と小沢氏がたずねたら、どうだっただろうか?
同じようなやりとりが、何度も繰り返されてきたが、小沢氏は一度も菅氏に対してそうした質問を投げなかった。

(政治とカネ)

質問者「各論に移ります。まずは政治とカネの問題からいかざるを得ません。小沢さんご覚悟下さい。一番、現実に起こりそうな話からお聞きします。検察審査会の問題です。第一回の議決が出ました。起訴相当。2度目の議決が近く出ます。その場合制度として、強制起訴となります。しかし憲法では、時の閣僚についてはですね、総理大臣の同意が必要だというしくみになっております。こういう場合が生じた場合、小沢さんがもし総理大臣になった場合ですね、首相になった場合、同意するのか不同意なのか、その辺を明らかにしてください」

小沢「まだ代表選が始まったばかりで、選挙に勝つかどうか、総理大臣になるかどうかも全く分からない中でのご質問ですので、答えようがありませんけれども、私は今、申し上げましたように1年有余の強制捜査、私自身も捜査に協力を致しました。その中で実質的な不正、犯罪というのはなかったという結論を得ておりますので、審査会の皆さんもそのことをよく理解していただいてくれるものと信じております」

質問者「この問題についてなぜ聞くかというと非常に現実的にあり得ることで、日本の政治にとって停滞を招きかねない話で、そういう話については事前に明確な意思を確認しておきたい。例えば、鳩山さんならかつて国会で『自分がそうなれば逃げない』と明確に起訴に同意すると言っているし、海江田万里さんですね、小沢陣営の1人ですけども、『小沢さんは明確に、事前にね、同意する旨を話した方がいい』というようなこともおっしゃっております。で、あえて我々の一番聞きたいことについて、もうちょっと小沢さんがはっきり路線を示してくれることを期待します」
小沢「今、鳩山さんの言葉を引用してお話になりました。私も逃げません

質問者「政治とカネの問題の続きでありますが、検察審査会と別に、小沢さんの場合は秘書経験者3人の方が起訴、立件されて公判が始まろうとしております。この3人の方、もちろん公設秘書の方もいらっしゃいますが、彼らご自身の政治資金を集めたのではなくて小沢一郎さんの政治資金を集めて起訴立件されたわけですね。虚偽記載額は計算の仕方にもよりますが、18億に上るわけですが、分身でもある秘書が立件起訴されて公判が始まっている。この部分については、小沢さんは捜査は公平公正だったか、適正だったか、それについてどう考えているのか、管理責任についてはどう考えていらっしゃいますか」

小沢「あの、捜査は本来、公正に行われているものだと思っております。従いまして私が捜査についてとやかく言うつもりはありません。そう信じております。ただ、今お話のとおり、虚偽記載というものが何か実質的に犯罪を隠蔽(いんぺい)するためとか何とかということでなされたものでは決してないわけですね、これは捜査の結果分かっているわけでございます。ですから、その意味で、報告の形式、手続きに間違いがあったのではないかという意味で、責任を問われているわけであります。

私もその責任を問われるということ自体について私自身も責任を感じておりますけれども、先ほどから申し上げております通り、強制捜査で国家権力によって強制捜査を1年有余やって、しかし不正な実質的な犯罪の事実はなかったということで検察当局から2度の不起訴の結論が出たわけでありますので、あとは報告書の事実関係あるいは認識の問題等についてのことだと思っております。ですから私はその意味では、事実上、何の1点のやましいことはありません。

ただ、秘書がそのような嫌疑をかけられて、そのようなことになったことについては私の不徳のいたすところ、責任であるということを否定するつもりはありません」
質問者「国会との関係で、小沢さんも、かつて自民党の幹事長などを務めて疑惑があれば中曽根(元)首相、故竹下(元)首相ら含めて国会の予算委員会で証人喚問に応じることをやってきたが、小沢さんの場合、鳩山さんの問題も含めてですね、国会での証人喚問や政治倫理審査会で釈明などについては行われていないわけです。それについては、いかがお考えになっていますか。」

小沢「全然、別個の問題で、あなたもご記憶かと思うけど、証人喚問で証人に応じたこともございます。ですから、証人や政治倫理審査会で申し述べることについて私、何も躊躇(ちゅうちょ)しておりません。ただ、国会は、あるいは政治倫理審査会も強制捜査権があるわけではありません。特に、政治倫理審査会は疑惑をかけられた場合に、その疑惑を趣旨弁明する機会として、私が議運委員長の時に手がけたものでございます。ですから、その趣旨についても十分に知っております。ただ、私はそのことを忌避しているわけではありませんけれども、それ以上の、国会での証言や政治倫理審査会以上の、強制的な捜査を全部受けてそれで何の不正もないということでありますので、そのことで国民皆さんにご理解を頂きたいと思います」

質問者「国会との関係で菅さんにお尋ねしますが、総理大臣として国会での証人喚問うんぬんは発言しにくい立場だと思いますが、今回は代表選挙でありますので小沢さん、鳩山さんのような疑惑が生じた場合、政治家として国会で説明する責任があるのかどうか、この点についてはいかがでしょうか」

菅「私は先の国会でも野党から、そういう質問を頂きまして、幹事長を辞するという形でけじめをつけられたと、そういう風に申し上げてきました。今回、改めて代表選に小沢さんが立候補されましたので、そういう意味ではですね、より国民の皆さんが納得できる形での説明はされなければならないと思っております。国会での手続きは、まさに国会でお決め頂くことですから、そういう国民の皆さんのいわば常識というものが今回において もきちっと受け入れられなければならないだろうと思っています」

質問者「政治とカネの問題、まだ続きます。小沢さん、口では『検察の公正な捜査』と言っているが、どうしてもですね、どうも口ぶりだけ聞くと『何でオレだけがこんなにやられるんだ、もっとみんな公平にやってくれと』いうニュアンスに聞き取れなくもないご発言なんですね。それで過去を振り返るとね、田中角栄さんや金丸信さんにしても小沢さんの系脈につながる一番、数を集めて、お金を使う組織が捜査対象になっていると。このことについてね、やはり一つね、宿命論みたいなものを感じているのか、そのことをお聞きしたいのと、このことがあると必ずですね、法務省に圧力をかけるというかですね、法務大臣を自派で取るとか、そういうことが過去に行われて来ましたよね。法務省関係者も小沢さんの逆襲が始まるんじゃないかと懸念してないこともないです。その辺、どう考えられているのか」

小沢「田中先生、金丸先生、私にとりましては政治の指導者であり、大変私は敬意を表し、尊敬をしております。ただ、政治家としてそれぞれの人間ですから、考え方の相違やいろいろなものがあるのは当然でございます。私は田中先生も金丸先生も、こよなく好きですし、尊敬しておりますけれども、それをそのまま継承する部分とそうでない部分と当然あるわけでございまして、継承すべきではない点は反面教師として、これは政治資金の問題だけじゃなくて政治思想、政治哲学の問題でございますが、そういうものは自分自身のものとして貫いているつもりでございます」

質問者「これまではいつもカネの集め方が問われていた。しかし政治はカネがかかるのが実態なんですよね。それについてもっといこういう事にかかるんだ、ともっと具体的な事例は別にして、その辺を説明責任として訴えられたらどうですか。その辺がまったく見えてこないんですよ」

小沢「いや、全部、報告書を見れば書いてあるはずなんですけど。誰でも政治資金報告書は閲覧できますから、今度11月ですか。たぶん公表になりますよね。どうぞ、ごらんになってください。私は隠し立て何もしておりません。それから、あのー、こういうことが起きると法務大臣うんぬんというお話があったけれども、そんなことはまったく考えておりませんし、それは公正に行われたものと思っております」

(円高対策)

質問者「話題を政策に変えたいのですが、菅総理からまずうかがいたいのですが、先ほど『1に雇用、2に雇用、3に雇用』とおっしゃっています。雇用を作り、あるいは雇用を維持するというのは一義的には企業だと思うんですけれど、経済産業省のこないだの調査で、日本の製造業の4割が85円の水準が続くとですね、工場を海外に移すとそういう風に言っているわけです。この間、代表選をめぐるゴタゴタがあったせいか、政府・日銀の対応が遅い、あるいは無策であるという批判が多かったわけですが、これについて菅さんはどう考えておられるんでしょうか。

菅「今回の急激な円高の背景には、アメリカ経済が期待されたほどの回復にいたっていないという、(米連邦準備制度理事会議長の)バーナンキーさんなんかの自らの発言もあって、ある意味ドル安という形で円高になってきている。それに対して、日銀と政府で協議をいろんな形で実はしてまいりまして、この30日に日銀もさらなる資金供給を決められ、政府としてもより活用の経済対策を決めて、実行に移す段階になっております。そういう意味で時間が早い、遅いということで言いますと、少なくとも円高に対する危機感というものは、かなり早い段階から持っておりました。それに効果的にどういう形が対応できるのか。やはり日銀との共同歩調、そういったことも念頭に置いて、まずこうした対策を打ち出したと。こういうことです」

質問者「これからもさらに円高が進んだりですね、株価も9千円を割る水準できていたが、そうした場合、日銀にばかり政策を追加的に求めるわけにもいかないと思うのですが、政府としてはどのように対応されるおつもりですか」
菅「まさにそのことをですね、今申し上げたつもりなんです。どういうことかといいますと、円高という問題と、もう1つ根っこにはデフレという問題があります。デフレはもちろん、需給ギャップから来ておりますが、1つには雇用が弱いとですね、どうしても賃金が上がりませんので、デフレ状況からなかなか脱却できません。そういった意味で、雇用を生み出すということは、そういった意味からもデフレ脱却に近づくことになりますし、デフレが脱却されれば、財政の面でもですね、かなりプラスになりますし、逆に金融政策も効いてくるわけであります。先ほど海外への移転という言葉を私も非常に危機感を持っております。

そういった意味も含めてですね、このような経済成長と財政再建と社会保障という、3つの歯車を好循環で前に向けて進めていく上で、私は雇用にまず力を徹底的に入れる。来年度予算も雇用拡大につながるものには優先的に予算をつける。制度改革もですね、たとえば、中国からのビザを緩和したのも、たくさんのお客さんが来てくれれば国内雇用が増えるわけですから、そういうことも含めて規制緩和もですね、雇用を拡大し、そこから経済の立て直しをしていくと。そういうことを最優先で政策を進めることがこの状況を打開していく上での大きな道だと。それを進めて、今いる真っ最中です」

質問者「先ほど、雇用を維持したり拡大するのは企業そのものだと申し上げましたけれど、今、海外に出ようかどうか逡巡(しゅんじゅん)している企業をサポートする必要は、これはないんでしょうか」

菅「雇用は、そういう製造業のような企業と、実は、介護や保育といった、そういう分野にもかなり潜在的な雇用の機会があります。今、中小企業は、求人倍率は0.4ぐらいです。大企業は0.5ぐらいです。そういった意味では、私たちは先ほど、北九州を見たところもですね、できるだけ低炭素という概念でくくっておりますが、国内で新たな投資をしていただけるところについての支援もいたしております」

それから特に私、経済界のみなさんに申し上げてい るのは、約200兆円近いお金を、経済界、大企業のみなさんは、いろんなところに保有されております。今の段階では国内で投資するよりも、お金のままで持っていたい。実は機械の設備の更新時期がかつては7年ぐらいの平均のところがですね、今14年ぐらいになっているんです。ですから、そういう企業のみなさんにもお金がないわけではないんですから、国内で思い切って新たな分野に、それこそ脱炭素社会といった分野にですね、どんどん投資をして、やってもらいたいと。こういうことを申し上げております。

企業が国内投資を控えている。それが経済の冷え込みの大きな原因である、と考えるなら、とるべき政策は法人税ではなく、投資減税である。
なぜ分析と政策がちぐはぐなのだろうか。
正直なところ、理解に苦しむ。

菅「また、介護や保育の分野は、潜在需要がたくさんあります。これは介護保険制度、お年寄りが独りで住む方が大変増えておりますので、そういうみなさんが施設に入らないでも独りで住み続けることができるような、そういうサービスのために力を入れていく。すべてが雇用拡大につながる道でありまして、そういう中から先ほど申し上げた経済再生という方向ににつなげていきたいと思っています」

質問者「小沢氏にうかがいます。きのう出された政見メモの中に、円高対策として為替介入に言及されてましたよね。どういった場合に為替介入をするという風にお考えですか」

小沢「まずは先ほど中小企業の話をなさいましたけど、さっきも申し上げましたように、日本経済の体質を基本的に内需型の、内需でもって最低の成長を維持していけるという体質に変えていく必要があると思います。そうでないともう、外国が、アメリカや中国が…。一喜一憂して、そのたびにいろんな雇用やいろんな問題に影響を及ぼすということになると思いますので。まず第1点そう思います。それから、円の評価が上がること自体は、長期的に見て悪いことではないと思います。ただ、急激な円高というのは、それはもう弱いものにしわ寄せが来ますから、大企業より中小零細企業のほうに来るわけでございますし、また、社員の雇用にも影響してきます。ですから、そういう意味では、急激な円高は何とかして止めなきゃならないと思いますが、日銀の単なる金融政策だけで、それを円高なりなんなりをする。金融政策だけでの余地というのは非常に狭まっているんじゃないかと思います。それから市場介入と言っても、日本1人では、協調介入ということなら別ですけれども、日本だけで、世界が円高を容認しているっちゅう中では、それはなかなか効果は上がりませんけれども、しかしそのぐらいの覚悟で今、やるべき急激な速度での円高じゃないかと思います。で、また市場介入つっても、それ以外にもですね、たとえば海外の資源への投資を大幅にするとか、いろいろな形での、単なる円売りというだけの話じゃない。いろんな形での円高阻止の方策というのはあるんじゃないかと。私はそう思っておりますので、その意味で、市場介入っちゅうのを枕詞(まくらことば)に起きましたけども、あらゆる形でやるべきではないかと、そう思っているっちゅうことです」

(財源)

質問者「次に、マニフェストの位置付けと財源の問題についてうかがいたいのですけれども。昨年の予算編成を振り返りますと、事業仕分けで捻出されたのはざっと7千億円。公益法人の基金の取り崩し、あるいは小沢さんが自らおやりになられた土地改良区の予算の削減などがあって、2兆円ほどの一種の新規財源が生まれた。当初7兆円の埋蔵金を発掘すると言っていたのに大変出てきた財源は乏しかったと。

そういう意味で、新規財源を見いだすというのは昨年の予算編成で勝負があったのではないかという見方がある。これに対して小沢さんの政見メモで、地方へのひも付きの補助金を一括交付金にすれば、これを5割ぐらい減らしても大丈夫だという地方があると市長さん、おっしゃっているという話があったが、果たしてそんなに財源が生まれるものかどうか、その点小沢さんいかがですか」

小沢「私は昨年の予算編成にも、今年の今までの予算編成にも携わっておりませんですので、そういう立場での発言はできませんけれども、私一個人としての考え方から言えば、いわゆる義務的経費、22年度の予算の中でも、義務的経費と人件費を除いたいわゆる裁量的経費、政策経費とも呼ばれますけれども、これがほぼ20兆円弱あります。それからさっきも申し上げましたが、介護や国保(国民健康保険)やその他でもって、地方に交付しているお金が12、13兆円あります。すなわち30兆円以上の政策的な経費があるということであります。これを全部、別に半分にしろといっているわけではありません。

ものすごくわかりやすくいえば、旧建設省、国交省の関係でいいますと、公共事業費だけで5兆円あります。それに地方財源といわれている消費税の2兆何千億っちゅうのは、地方財源とは名ばかりで、3千億は市町村のいわゆる自主的な財源になっていますけれども、あとの部分は全部直轄の裏負担として取り上げちゃってるんです。ですから、全然これ、地方で自由に使えないお金なんですよ。ですから、そういうのを加えるとさらに大きくなります。農林省でも6千億以上の公共事業だけでもあります。そして、私は半分にしていいと言っている人も親しい中にはいると言いましたが、民主党の調査、かつてやったときも、首長さんたちは自由に使えるお金をもらえるんならば、今の補助金のトータルの7割で、今以上の仕事を十分やれるという答えが出ております。で、また私の親しい首長は本当に自由に使えるんなら、半分でも今以上にいい行政ができると言っています」
(地方主権)

質問者「で、そのときに地方に落ちる総額が減ることになる。いくら国についているものを地方に移しても、移す分が減るわけですから」

小沢「ですから余るっちゅうことですよ。予算がそこから捻出できるっちゅうことですよ。財源が。地方に落ちるカネは、表面上は減りますけれども、 実質的には増えるっちゅうことです。そして私は、たとえば高速道路も都道府県で作れるようにしようというのをこのメモで提案をいたしております。中央でもって全部やれば、結局大手の企業が全部受注して、そのお金は全部中央に集まります。ですから、地方では全然お金が回らないんですよ。だからそれを都道府県で、私は高速道路もつくらせる仕組みをやったらどうかと。そして、それを国が支援すると。私は無利子国債で補填するという気持ちで、考えでいますけど、そうすれば地方に実質的に回るお金っちゅうのは非常に増えるんですよ。ですから…」

質問者「東京の会社に入るんじゃなくて、地方の会社に売り上げがたつということをおっしゃっているんですね」

小沢「地方の会社であり、地方の人たちであり。はい」
(消費税)

質問者「次におうかがいしたいのは消費税の議論なんですけれども、小沢さんは消費税の議論を凍結するか、あるいはこの議論については衆院議員の任期満了までの間に議論はしなければいけないとお考えなのか。これはどちらですか」

小沢「消費税を含む、私は所得税、住民税の大幅な減税も、また、簡素化、減税ということも頭の中に考えておりますけれども、その税制全般の議論、消費税を含む議論は、それはそれでしていることは構わないと思います。ただ、鳩山(前)総理も言ったように、この4年間は上げないと。まず行政の無駄を省くと。そこから財源を捻出するということで国民のみなさんに訴えたわけだから、私はその作業を積極的に進めるべきだと思います」

質問者「菅さんに伺います。この間の参議院選挙のこの場でですね、社会保障と税制の一体的な議論について野党に呼び掛けてですね、超党派で議論したいとおっしゃっていましたけれど、これは具体的にいつからどのようにやろうと、また党内・政府内の議論はどういうスケジュールでやろうと思っているんですか」

菅「この参議院(選挙)が終わった中で、消費税を含む税制について与党、まあ民主党の中に政調を復活させましたので、そこで合わせて政府税調と並んで、 党の政調の中でも議論をいただくということで今、進めております。今、代表選の真っ最中ですが、今後、少しそういった問題が落ち着いてきたらですね、与党の、失礼、野党の方のみなさんも、いろいろ円卓会議をあるいは提案されるという話も聞いております。そういったことも、民主党の税調の議論との関係の中で、そうした、まさに社会保障と税制全般を一体的に議論するような場が、与党・野党の間でできることは望ましいことではないかと思っております。まだ、具体的にいつの時期というのは、わが党も今、代表選挙中ですし、野党のみなさんもまだいろんな執行部の体制が完全には固まっていませんので、次の臨時国会が始まる中で、そうした機運が進んでいくことが望ましいというふうに私は思っております」

(普天間移設問題)

質問者「続いて、外交安全保障の質問を進めたいとおもいます。小沢さんは昨日もですね、日米合意は白紙というわけではないんだということを言われましたが、さらにちょっと詰めさせていただきますと、そうするとこの日米合意はですね、これを踏まえて米国、沖縄と話をするのか。それとも日米合意の見直しはあり得るのか、その辺はいかがでしょうか」
小沢「鳩山前総理が非常にご苦労されて、そして、本当に国外、少なくとも県外という気持ちでもってご苦労されたわけですが、なかなかそれがうまくいかなくて、あの日米合意となったわけです。ですから、その鳩山前首相のご努力と、それから日米間という国同士の約束ということは尊重しなけりゃいけないと思っております。ただ、沖縄の県民のみなさんがどうしても反対だということになりますと、進まないわけですね。合意は合意であっても。これ、強制的にやるなんてことは不可能ですから。

ですから、そうすると、やはり沖縄の県民みなさんとも話ししなきゃいけないし、県民のみなさんの意向を踏まえて、またアメリカ政府とも話しなきゃいけないし、その中でお互いに両方が納得できる良い知恵が出るように、もう1度努力するということは、決して悪いことじゃないじゃないでしょうか」

質問者「そうすると、この日米合意の軸は辺野古に移すということになっているわけですが、この辺野古に移すという方向で沖縄を説得するというわけではないんですね。」

小沢「いや、説得とか何とかっていうことじゃなくて、現に鳩山内閣で日米合意がなされたと。この合意は重く受け止め尊重しなきゃいけないと。その合意を前提として、じゃあどうしたらお互いが納得できるのか、ということを話し合わないと、合意、合意と言ってもそれが前進しなきゃ何の意味もないわけでして、だからその意味でアメリカ政府もそりゃよく分かっていると思います、沖縄の県民の感情っていうのは。だから、その意味で、県民みなさんとも、アメリカ政府のみなさんとも、何か知恵ないかな、ということで話し合う余地はあるのではないかと思っております」

質問者「ちょっと分からないのはですね、沖縄県民が納得するというのは沖縄県以外のところじゃないと絶対納得しないのでしょう。そうやって考えたとき、昨日の小沢さんの「自分なりの案がある」ということをおっしゃったことは、明らかに県外だとみんな受け止めてますよ」

小沢「案があるとは言っていませんですよ。僕は。今、説明した通りです」

質問者「「知恵」というのは」

小沢「いや、何か方々が納得する、知恵というのは、もうみんなで考えりゃあ、3人集まれば文殊の知恵、ということがあるじゃないですか」

質問者「具体的なものがなくて、ただ話し合いをしなければいけないということだけだったんですか」

小沢「いや、だからそうしなければ進展しないでしょ」

質問者「それは分かるが、そういうことだったのか」

小沢「そうです。今、具体的にこうするとか、ああするとか、という案を私、持っているわけではありません」

質問者「あぁ、案はないんですね」

この質問の仕方、フェアネスというには、ほど遠い。全文起こしをしてみると、実によくわかる。
これは代表選のための会見である。両候補に均等、公平に、バランスよく質問しなければならないはず。「政治とカネ」で一項目たてて、小沢氏に連々とかみつ いたあと、別人のようなトーンで経済政策を菅氏中心に聞き、小沢氏にはつけ足しのような質問だけ。普天間の項でも、小沢氏に対しては上記のようにからみ続 け、菅氏に対しては、ほとんど追及をしない。こうしたアンバランスさは、どうであろうか。記者クラブメディアの不公正さ、程度の低さを如実にあらわしてい る。

質問者「菅総理にうかがいます。菅総理の場合は日米合意に沿って沖縄の説得を進め、一方でそれ以外の基地負担の軽減を図るという、そういう考え方でよろしいでしょうか」

菅「はい、あの冒頭発言でも申し上げたように、この経緯は約1年間、鳩山(前)総理が苦労に苦労を重ねられた結果、改めて辺野古を中心とした地域への普天間の移転ということで合意されたわけであります。そのことが沖縄の県民のみなさんにとって、決してまだまだ了解されるにはほど遠い状況にあることはよく分かっておりますけれども、ただ、このことを何も決めないで混迷をするということはもう許されない状況だということで、鳩山さんも合意をされて、ある意味でその責任も含めて辞任をされたんだと思うんです。ですから、私としては、そこから、それを原点としてその中で日米間のいくつかプロセスが固まっておりますが、8月末には実務者会議で一定の案を実務者レベルでのある種の幅のある合意でありますが、合意されましたが、ただ、それができて、合意があったからといって、すぐに何か工事が始まるとか、そういうことではないということも合わせて申し上げました。

こういう、ある意味沖縄との間での信頼関係もかなり難しい状況になっていましたので、まずは仲井眞(弘多沖縄県)知事と話ができる環境をつくり、それはまあ、何とかできましたけれども、そして沖縄のこの辺野古以外のですね、負担をできれば先行して軽減できる道はないかと。北部の演習場の移転問題、あるいは辺野古と関係、普天間と今は関係しておりますが、嘉手納以南の基地の問題、またグアムの問題も、これはいろんな報道が出ておりますけれども、当初の移転の計画、非常に大きな移転でありますので、沖縄にとってはそれが進展することは、沖縄在住の海兵隊の兵員や家族が非常に減ります。半分近くに減るわけですから。そういうものは予定通りですね、進行すると。そうすれば、沖縄の負担軽減は普天間のもの以外でもかなり進むのでですね、そういう中で信頼感を積み重ねていく中でですね、いろいろな理解を得られないだろうかと。こんなことで努力を進めているところです」

(第7艦隊発言)

質問者「日米関係の中期的な話に関わるんですが、昨年2月ですね、小沢さんが当時代表時代、非常に興味深い発言をされていまして、正確を期すために全文を同僚に起こしてもらったんですが、簡単に読みますと、「今の時代はアメリカも部隊を前線に置く意味があまりないと私は思う。軍事戦略的には第7艦隊がいます。それでアメリカの極東におけるプレゼンスは十分だ」と述べています。この発言の真意と考え方は今も変わっていらっしゃらないでしょうか」
小沢「はい。兵器の発達やら、軍事技術の発達によりまして、前線に大きな兵力をとどめておくという意味はないと。アメリカがそう考えたからこそ、沖縄の海兵隊もグアムに移転しているんじゃないですか。ですから、そういう意味で、緊急事態の時にすぐに展開するという態勢をアメリカは今、着々とつくっているわけですね。それで、できるだけ前線から兵力を引き上げるということは、そのことは私はアメリカとして当然だし、私も当然だと思います。ただ、この極東においては、アメリカの軍事的プレゼンスっていうのも大事であります。ですから、大きなその軍事力としては、海兵隊やその他がいなくなれば、第7艦隊っていうのが1番大きい存在になるわけでありまして、ですからこれは最低、アメリカの軍事的プレゼンスとしてこの極東に残るということが必要だし、それできちんとした、それに代わる機能ができあがれば十分じゃないかと。そういうふうな意味で申し上げました」

質問者「その中長期的スパンはどれぐらいで考えているのか」

小沢「私は、あの、そんな10年、20年という話では思っておりません。そんなに年数をかける必要はないだろうと思っております。それからもう1つ、政策メモにも書きましたけれども、奄美・沖縄、これは日本国の領土であり、日本国の領海であります。ですから、われわれがきちんとそこを守っていくというのは当然のことでございまして、アメリカはその他の地域もにらんでの戦略ではございますけども、そういったわれわれの領土、われわれの領海は、きちんと自分たちで守っていくという意味での役割をきちんと分担して果たしていけば、それだけ米軍の役割も軽減しますし、そういうことも含めて、先ほどの発言を申し上げました」

(代表選の勝算)

質問者「政局についてお聞きします。昨日の両陣営の集まりにはですね、120人の国会議員が集まったと報道されています。まさにですね、雌雄を決する関ヶ原の戦いが始まったと我々は認めています。この戦いの勝算は。後2週間、どういった戦略で戦い抜いていくか。まず菅さん」

菅「私は現職の総理大臣でありますので、総理大臣としてやらなければならないことは当然、一切手を抜かないでやっていくと。遅れてはならないことは、迅速に進めていくと。その中で、仲間のみなさんが非常に大きな力を発揮していただいているわけであります。また、全国からも激励をたくさんいただいております。そういった姿勢で貫いていきたいと。こう考えております」

小沢「負けると分かっていても、ここは戦わなきゃならないっていう場合も、それはありますれども、選挙戦、戦いという文字を使いますので、戦いとすれば、それは勝利を目指してやるっていうのが普通の場合じゃないでしょうか。ただ、勝算があるかないか、それはまた別問題でございまして、最初の方にも申し上げました通り、結果がどうあれ、お互いに挙党一致、力を合わせてがんばろうということでして、もうあまりみなさんが心配する必要はないんじゃないでしょうか。あの、オバマとクリントンの(米大統領選における民主党内の)戦いなんてのは、もう大変なもう、お互いに中傷非難合戦して、それでも済んだらちゃんと2人で仲良くやっているわけですから。そういった習慣っていうか、文化っていうか、それを日本人も持たなくちゃいけないと思っています」

(政権への意欲)

質問者「首相に指名された場合のその後の動きなんでありますが、先ほど小沢さんがおっしゃった首班分離はない、必ず首相をつとめます、と当然のことだと思うんですけれども、これが短期であればですね、万が一菅さんが、これから小沢さんってなったらね、菅さん3か月、小沢さんまた短くて、世の中どうなっているんだと見られると思うんですね。特に世界から。これは小沢さん代表選で勝利した場合、小沢氏は長期政権をつくっていく心構えを、ここで明らかにしていただけませんでしょうか」

自民党政権時代を含め、首相のクビを次から次へと取り替えさせるような「世論」を盛り上げ、煽動し続けてきたのは、他ならぬ大手マスコミ自身である。その自覚を欠いたこの言い草。実に愚劣である。

小沢「私は同僚、若い国会議員にも、『投票箱のふたが開くまで、選挙後のことは言っちゃいかん。最後まで1票でもと努力をしろ』ということを言ってきております。私自身も。ですから、例えば普通の私の選挙の時でも、マスコミのみなさんはすぐ『当確(当選確実)だから』、まだ票が開いてもいないのに『当確だからインタビューを』って言いますけれど、私は絶対応じておりません。やはりきちんと結果が出てからやるべきだと思ってます。それから、いろいろ、そのあまり日本人は短期的にこう心配しすぎるんじゃないでしょうかね。私はそう意味で、政治というものも、例えばドイツだってあれ、連立つくるのに2カ月か3カ月かかったですよね。イタリアなんかもしょっちゅうでしょ。日本だと、もうちょっと1週間も置いたらわんわん、わんわんの騒ぎになりますが、私はより良いものをつくるための協議であれば、それはじっくり話し合って時間かけるという、これまた日本の文化、意識改革をした方がいいと思います」

質問者「菅さんも、長期政権に対する意思表示をしてください」

菅「私自身ですか。まあ、私、今現職ですので、再選させていただければそのまま少なくとも首班指名はなくて、総理を続けることができます。まあ、この大きな、小沢さんという巨大な政治家との選挙ですので、これを勝ち抜くことができれば、私は大きな力をですね、国民のみなさんからいただくことができますので、その力を精一杯、いいかたちで使って強い指導性を持って内外の課題に積極果敢に取り組んでいきたいと。こう考えております」

(小沢氏の健康問題)

質問者「小沢さんについて、もう一つ気になる問題があるんですね。いわゆる、健康問題はどうなのか」

小沢「健康?身体?」

質問者「はい。小沢さんの口からあまり聞いたことがない。総理大臣が激務ということはわれわれ以上に小沢さんが一番わかっている。外交日程、国会、そのために多くの人たちが病気になったりもしている。それだけの政治をしていくにあたって、健康についてはどうか。国民が心配している。続くのかどうか。具体的な材料をいただきたい。どういう病気でどういう手当をしているのか。本当に昼寝は毎日2時間必要なのか。政治家の健康問題はタブーですね、それから説明責任との間にあるものですからね」

小沢「あのー、みなさんからいろいろと、厳しいご指摘いただいて、心臓がつまりそうでございますが、もともと心臓が弱いもんですから、その意味で十数年前、いや、もう20年近くなりますけども、心臓の病気をいたしました。しかしながらそれ以後、毎日節制を重ね、きちんとした日課でもって動いておりまして、今のところどのような職責についても、健康は大丈夫と思っております。ただ、年も年ですから、肉体労働はあまりできませんけれども、総理という職責は、みなさん以上に私十分知っておりますので、その意味で健康的には、脳ミソは別といたしまして、健康的には十分にやり抜けると思います」

(連立のあり方)

質問者「先ほどの二人のやり取りで気になる点がありましたのでお尋ねしますが、小沢さんが、参議院がこの状態では立ち行かなくなるとご指摘をされましたが、そうすると小沢さんの念頭には連立の組み替えは想定しているということでしょうか」

小沢「ですから、そのことは今、選挙が始まったばっかりで、選挙後のことについて言うのは、非常に不謹慎だと僕はそういう信念をもっておりますので、もし仮に当選させていただいた場合にはスカッと皆様に申し上げます」

質問者「菅氏ではねじれ国会を乗り切ることはできない。だから小沢さんなんだ、ということなんですね。それはどういう形で乗り切るろうとしているのかを、党員に国民に示し、そのことにおいてあぁやっぱり小沢さんなんだなと、こう思わせないといけませんよね、これ。それはやっぱりちゃんと説明する必要があるでしょう」

何を聞いても歯が立たなくなると、今度はおもねりだす。「やっぱり小沢さんなんだな」などと、気色の悪いことこの上ない。

小沢「また説明責任ですか、ははは(笑)。はい、あのー、その点はそう思いますけどもやはり僕は本当に選挙の結果前に絶対インタビューに、今まで一度も応じたことはありませんし、選挙は有権者が最終的に選ぶことなので、結果が出てから言うべきだと思っております」

(解散・総選挙)

質問者「それに関連してですね、自民党時代に小泉さんの後にですね、安部、福田、麻生と続いた時にですね、民主党は一貫して政権のたらい回しを批判をし、衆議院の解散・総選挙を主張してきた。今まで民主党が主張してきたことが逆に民主党に跳ね返ってくると思います。解散・総選挙についてはどう思うか、菅さん、小沢さんそれぞれ」
小沢「うん、そういう意味の、私どもがたらい回しという言い方をしてきたことは事実だと思います。ただ、総選挙するのは、判断は内閣総理大臣ですから。 私はまだ一回のただのヒラ議員ですから、当選後にもし当選したらそのことも含めて明確に皆様にお答えしたいと思います」

菅「衆議院の任期、まだ3年あります。私は再選をさせていただいた中では、この3年間というものを大事に考えてしっかりと政権を担っていきたいと思います」

(国家戦略)

質問者「最後なんですけども、外国に行かれた方が一様に日本という国を非常に心配している。アジアも相手にしなくなっている。みんな日本を素通りだと。存在感がない。なぜなんだと。政治の安定というのも一つにありますね。そうした中で、これから総理大臣になる人は、大きな国家戦略。一体、5年後、10年後、15年後どうするのかと道筋を含めて示す必要がある。小沢さんの「国民の生活第一」は当たり前の話でね、生活第一にしないなんておかしい、、」

小沢「だから政権交代になったんですよ」
質問者「どういう具合に築いていくのか。大きなスケールのある戦略を、さわりの部分だけで結構なんですけども、それぞれからおうかがいしたい」

小沢「日本がアメリカを含め、外国からあまり相手にされない今のお話、それは日本自身の自己主張、戦略と言い換えてもいいですけども、それがないからだと私は思います。私はつたない経験ですが、2度3度と日米交渉に行かされました。結果的にうまくみな成功しましたけども、やっぱりそれは1週間、10日と、朝から晩までお互いの議論をし合って結論まとめると。そういう中で、私は貴重な経験をしたと思ってますが、やはり自分自身の、あるいは日本政府の考え方というものをきちんと言うべきではないかと思っております。

特に日米ということになりますと、みなさんの関心は経済もそうですけども、安全保障にも向けられるんじゃないかと思いますが、私は日米同盟ちゅうものを安全保障の面でも基軸としてやっていくというのは当然のことと思います。日本の安全に直接かかわり合いのないこと、紛争等についてはアメリカと集団的自衛権を認めて、どこへでもアメリカの応援に駆けつけるというのは憲法の理念に反すると。ですから、日本の安全にかかわること以外の、国際紛争については、私は国連を中心として日本は活動していくと。私はオバマ大統領もアメリカの今までの失敗にかんがみて、そういう考えになりつつあるんではないかと思っております。むしろ、アメリカは孤立主義が伝統的ですけれども、アメリカを孤立させないように日本自らがやっぱり国連中心としたみんなで平和を守るんだというのを日本が率先して役割を示していくということが必要だと思います」

菅「私はこの20年間の日本の停滞は、やはり政治に責任があると思います。ひとつは行政です。冒頭申し上げましたように、役所のための行政になっている。これを根本から変えなければなりません。私は、政治もある意味では 政党とか、権力を得るための政治になっていて、本当の意味でですね、国民をしっかりと信用して、政策で説得していくという政治になっていない。それがカネと数合わせというですね。政治でやってもやっても、どの党がやってもうまくいかなかった。そういう意味では、そういった古い行政、古い政治を変えるところから日本を立て直していきたいと思っております」

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