「ブラック企業は日本社会の構造問題。このままだと日本は沈むしかない」 ~ブラック企業被害対策弁護団発足記念シンポジウム 2013.9.5

記事公開日:2013.9.5 テキスト動画
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(IWJ・芹沢あんず)

 「現在の日本社会はブラック企業と、その被害者を生み出す構造になっている。社会問題としてとらえ、ブラック企業の根絶を目指す」──。

 7月31日に結成された、「ブラック企業被害対策弁護団」の発足を記念したシンポジウムが、9月5日に開催された。この弁護団は、ブラック企業の根絶と、被害者の法的救済を行うことを目的として結成された。

■ハイライト

  • 「ブラック企業被害対策弁護団設立のご挨拶」 佐々木亮代表
  • 「弁護団の今後の取り組みと課題」 新里宏二副代表
  • 「ブラック企業被害告発リレートーク」 和民過労自死遺族ほか
  • 「パネルディスカッション ブラック企業と社会運動のこれから」
    • 今野晴貴さん(NPO法人POSSE代表)
    • 藤田孝典さん(NPO法人ほっとプラス代表)
    • 戸舘圭之(ブラック企業被害対策弁護団弁護士)

 ブラック企業被害対策弁護団代表の佐々木亮氏は、弁護団の人数が、約1ヶ月で50名から130名以上になったと報告。人数はこれからも増員するだろうと予測し、その理由として「ブラック企業について問題意識を持っていた人が多いということだろう」と述べた。

 ブラック企業とは「狭義の意味で、成長産業での若い人の使い捨てであり、広義の意味では労働者の人格を侵害する」と説明。現在の日本の就職状況の冷え込みが理由となり、企業が労働法規に違反した営業をしていても、辞めることができない状況である。ブラック企業は、それを利用して、違法な労働形態をとるという。

 また、このような状況は「労働者を人間として扱う企業は、ブラック企業に勝てないという問題」があり、これは現代の日本社会の構造の問題であるとした。

 副代表の新里宏二氏は、現代の日本は「労働法が全く守られていない社会」であるとして、少しずつ変えていくと報告。働く側が、何が違法か分からないことも問題であると指摘した。違法な労働業務がまかり通っている日本社会は、「労働者の働く意欲の低下」を生むとし、また、そのような状態では「日本は沈むしかない」と述べた。

 シンポジウムでは、ブラック企業の被害にあった人々が、被害状況を話す、リレートークが行われ、和民に勤めて過労により自死をした被害者の遺族の方などが登壇した。

 また、後半は、今野晴貴氏(NPO法人POSSE代表)、藤田孝典氏(NPO法人ほっとプラス代表)、ブラック企業被害対策弁護団の一人である戸舘圭之弁護士の3名による、「ブラック企業と社会運動のこれから」と題したパネルディスカッションが行われた。労働運動の分野、福祉の分野、法律分野の3つが連携し、ブラック企業が存在する日本の社会構造を変えていくことが目標であると述べた。

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