「あなたたちの外交方針は、常にアメリカの顔色をうかがって右往左往している!」 ~原発輸出、TPP、シリア問題で抗議。外務省抗議行動 2013.9.5

記事公開日:2013.9.5取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・阿部玲/奥松)

特集 TPP問題

 「シリア戦争でも、シリア侵攻でもない。シリア大虐殺だ」──。

 2013年9月5日(木)18時から、東京都千代田区の外務省前で、原発輸出、TPP交渉、シリアへの軍事介入などに反対する抗議行動が、市民有志により行われた。参加者たちは外務省から出てくる職員に対して、スピーチやシュプレヒコールで、シリアへの軍事介入を止めるよう呼びかけをした。

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 この日の外務省前には、抗議行動の呼びかけ人である火炎瓶テツ氏を中心に、3.11以降、反原発デモ、反TPPデモ、経産省前対話集会、時には選挙応援など、さまざまな場面で行動を共にして来た仲間たちが、ドラムなどを持って応援に駆けつけた。彼らは一定の組織ではない。主にツイッターでの呼びかけを合図に、自発的に、ゆるやかに集まっている。日中はごく普通の仕事をこなし、抗議活動の際には予定を調整し、自らの生活を削って参加しているという。「われわれのことを『プロ市民』などと揶揄する向きもあるが、そうではない。義憤に燃えた、あくまで一般の市民だ」とテツ氏は強調する。

 アメリカの上院外交委員会は、前日の4日、シリアへの限定的な軍事行動を認める決議案を10対7で可決した。参加者らは、外務省前に抗議に駆けつけた理由を、「またしても、日本の戦争参加が近づいており、どうしても言いたいことがあったため」と語る。それは、ちょうど10年前、アメリカによる大義なきイラク戦争に、日本が参加した前例から来る懸念であり、テツ氏は「まるで、デジャヴを見ているかのようだ」と表現。「あなたたちの外交方針は、常にアメリカ合衆国の顔色をうかがって、右に行ったり、左に行ったり、まさに右往左往している」と、対米追従路線と言われる外務省の姿勢を批判した。

 周知の通り、イラク戦争で、アメリカが開戦の理由として掲げた大量破壊兵器は、結局見つからなかった。テツ氏は「単純に、民主主義を多数決と捉えても、イギリス、フランスをはじめ、世界各国はシリアへの軍事介入には慎重だ。アメリカに賛成しているのは、我が日本国だけ。諸外国は、10年前のイラク攻撃から教訓を得ている」とし、「保守派の人たちは『日本は敗戦国だからしょうがない』などと言うが、同じ敗戦国のドイツとイタリアは、道理なき戦争に対する反対の声を、アメリカにしっかり届けている」と、わかりやすいロジックを展開した。「アメリカに、いかに強大な力があるとしても、所詮たったの1ヵ国。その1ヵ国のために、日本が戦争参加を決断することは、国際的な評判を落とすだけでなく、中東に混乱をもたらす。今回ばかりは、『やっぱり間違っていた』ではすまされない」。

 抗議の矛先を外務省に向けるのは、原発やTPP問題への含みもある。「外交で原発輸出に加担するということは、原発マフィアの一員になること。日米原子力協定しかり、TPPしかり、ごり押しのアメリカのひと声に、ただ従っているだけ。国民の命、財産を危うくする行動をとりながら、何が外務省だ。交渉も何もできない岸田外務大臣はじめ、『国益、国益』と言いながら、国益を損なっているのは、あなたたちだ!」と、テツ氏は厳しい口調で断じた。

 「シリア戦争でも、シリア侵攻でもない。シリア大虐殺だ」。直前の発言者の言葉を受け、テツ氏を中心として「虐殺やめろ」「対米追従、今すぐやめろ」などの激しいシュプレヒコールが続いた。「戦争を、できるだけしない努力をするのが外交。日本とアメリカ以外の国は、当たり前の判断をしている。大量殺人という行為を、諸手を上げて支持することの意味を、もう一度考えてほしい」。参加した人々は、通り過ぎていく外務省職員たちに粘り強く訴えかけた。

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