日刊IWJガイド「年明け5日間で年金積立金5兆円がパァ!? 安倍総理の国会答弁『33兆円プラス』の不都合な真実~升永英俊弁護士『緊急事態条項は憲法9条改正とは比べものにならないほど怖い』」2016.1.12日号~No.1216号~


■■■日刊IWJガイド「年明け5日間で年金積立金5兆円がパァ!?
安倍総理の国会答弁『33兆円プラス』の不都合な真実~升永英俊弁護士『緊急事態条項は憲法9条改正とは比べものにならないほど怖い』」2016.1.12日号~No.1216号~■■■
(2016.1.12 8時00分)

 おはようございます。IWJのぎぎまきです。

 東京は暖かい日が続いています。事務所に向かう坂道では、すでに梅の木に可愛らしいピンクの花々が咲き、見るたびにほっこりしています。近くに植えられた桜の木を見ても、今にも枝からつぼみが芽吹きそうな気配で、一足早い桜の季節が楽しみです。

 私にとっては「暖冬」はとってもありがたいものですが、今、あちこちのスキー場では雪不足が深刻なんですよね。客数も3~5割減といい、人工降雪機をフル稼働させるなど苦戦を強いられているようです。農業にも影響が出ていて、農作物の品質や価格にも大きな打撃とか。冬がハイシーズンの経営者はこの暖かさに泣いているのか。。。と思うと、梅や桜の早すぎる開花も素直に喜べない気もします。

 さて、今日は株価の下落で5兆円の年金が消えた!?という、驚愕のニュースから。その前に、経理スタッフの緊急募集のお知らせです。

■経理の柱になってくださる方、緊急大募集!

 IWJのお財布をしっかりと管理してくれる経理担当者を募集中です!年明け早々、これまで担当をしていたベテランの経理担当者が、体調不良で急遽IWJを離れることになりました。今、会社の心臓部・経理担当者がいない!という瀕死状態に陥っています。

 IWJの報道をガシっと支える柱になってくださる経理スタッフを大募集します!

 経理・総務としての実務経験をお持ちの方、簿記などの資格をお持ちの方、できれば決算まで手がけたことのあるベテランの方に、IWJの経理責任者をぜひ、お引き受けいただきたく、大募集中です!よろしくお願いいたします!

◆応募条件

※「経理・総務スタッフ」を御覧下さい。
http://bit.ly/1ALJypQ

■安倍総理の勝手な博打政策で、いったい、幾らの年金が消えているのか!?

 唐突ですが、私は「株」には200%疎い人間です。正直、全く興味がありません。「大人なら少しは株をやりなさい、世界が見えてくるよ」と、勧められたこともありますが、心が全く動きませんでした。ですが、もう「興味がない」とも言ってられないよなぁと最近、思っています。株価下落で年金が損失した、というニュースが多くありませんか?私たちが納めている国民年金や厚生年金の積立金、それが「兆」の単位で消えていっている!と聞けば、興味がないとも言ってられませんよね。。。!

 すでに詳しい方にとっては言わずもがな、年金の株式運用について簡単に触れたいと思います。

 昨年2015年11月末、公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、2015年7月~9月期の運用損益が7兆8899億円の赤字に転落したと発表。約7.9兆円の年金が消滅したというとんでもないニュースが舞い込みました。それに加え、今度は2016年の年明け5日間で、5兆円以上の積立金が新たに消えたとか!?一体、どうなっているのでしょうか。

※公的年金に関する空虚な国会質疑 ~ 年明け5日間で5兆円以上が消えた?
http://blogos.com/article/154070/

※年金4兆円損失か 国会追及に安倍首相の見苦しい責任逃れ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/173122

 年金の市場運用が始まったのは2001年。以来、私たちの年金の一部は株で運用され、黒字と赤字を繰り返してきました。そして、2014年、安倍総理がそれまでの運用比率を大幅に変更してから、年金の損失額が大きくなっているのです。

 年金は長らく、「債券中心」で運用されてきました。リスクを考えてのことです。しかし、2014年末に、安倍総理は大きなギャンブルに打って出て、積立金の50%を株につぎ込む方針を決めたのです。積立金約130兆円の50%、「65兆円を株に注ぎ込め~!」という司令です。

 この事実をどれだけの国民が知っているのでしょうか。

 国民に説明することなく、運用比率を勝手に変更したことに怒って当然ですが、2015年12月、岩上さんが「ミスター年金」こと、民主党の長妻昭代表代行にインタビューをした際、長妻議員は、政府は年金受給者のことは考えず、株価を上げるための成長戦略の一環として、年金積立金を株に注ぎ込んだと批判しました。

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・2015/12/09 岩上安身による民主党 長妻昭代表代行インタビュー(動画)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/278021

・2015/01/29 「リーマン並の株価下落で年金資金26兆円消失」の衝撃 民主・長妻代表代行がGPIFリスク問題で政府を追及 ~損失のツケは国民へ!?
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/228600
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 年明けの年金損失の事態を受けて、1月8日、民主党の山井和則議員が国会で、安倍総理を問いただしました。しかし、安倍総理は勝ち誇ったように、「マイナスをもってしても、33兆円プラスになっている」と反論したそうです。答弁の中で2度も。つまり、株価というのは変動するものだから長い目で見なければいけない。第二次安倍政権が誕生してから、年金の株式運用で33兆円の収益を上げているんだぞ!という言い分のようです。

■巨額の損失額が出たことは、他ならぬ安倍総理の失策!

 しかし、皆さん、だまされてはいけませんよ!
ここでポイントなのは、安倍総理のその主張をうのみにしてはいけない、ということです。「33兆円」というこの数字は、2014年12月までの収益。つまり、安倍総理が株での運用比率を50%に上げる前の話。ギャンブルに打って出てからは、収益額はマイナス続き。巨額の損失額が出たことは世界情勢による株価変動が原因ではなく、読み誤った安倍総理の失策だということが指摘されなければいけません。

 とんでもない話ですよね。私に言わせれば、この事実だけをもってしても、来年夏の参院選で自民党を支持することなどありえない。それだけ重大な失策だと思うのですが、やはり、こうした事実が十分に知れ渡っていないのは問題です。

 私たち普通の国民が、日々、一生懸命働き、納めてきた年金が失われても、危機感や反省を見せない。真摯に応えようとしない安倍政権のこうした姿勢を、どんどん明らかにしなければいけませんね。年金問題はこれからも注視していきたいと思います。

 では、ここからは、仕事中は良く枕を抱いてパソコンに向かっている、お茶目な平山茂樹記者にバトンタッチです。昨日の岩上さんによる、升永英俊弁護士のインタビューを振り返ってもらいます!

■このままでは「独裁」への道まっしぐら!~升永英俊弁護士が安倍政権が狙う「緊急事態条項」創設に強い警鐘を鳴らす!

 おはようございます。IWJで主としてテキスト関連の業務を担当している平山と申します。

 昨日は14時から2時間弱、「饗宴VI」にもご登壇いただいた升永英俊弁護士に岩上さんがインタビューを行いました。テーマはずばり、安倍総理が憲法改正によって創設を目指す「緊急事態条項」の危険性についてでした。

 升永氏は、自民党憲法改正草案第98、99条に規定がある「緊急事態条項」を、「憲法9条改正とは比べものにならないほど怖い」ものだ、と断言します。

 その理由として升永氏が挙げるのが、ナチス・ドイツの事例です。1933年2月27日にドイツ国会議事堂放火事件が発生した際、当時のヒトラー内閣は、翌28日に「緊急事態宣言」を発令。プロイセン州だけで、約5000人が数日のうちに司法手続きなしで逮捕・予防拘禁され、さらに、言論の自由、報道の自由、通信の秘密等の人権が停止されることになりました。

 そして、ヒトラー率いる政府に、ワイマール憲法に拘束されない無制限の立法権を授権した「全権委任法」が成立するのが、この「緊急事態宣言」発令からわずか1ヶ月弱後の1933年3月23日。11月12日に行われた総選挙ではナチスが92.2%の得票率を獲得し、ヒトラーによる独裁体制が確立します。

 「緊急事態宣言」の発令から「全権委任法」の成立まで、1ヶ月も経っていないということがポイントです。つまり、「緊急事態宣言」が発令された時点で、「勝負はついてしまっていた」のです。升永氏は、「緊急事態宣言」下、ナチスに反対する人々の間で、「恐怖心と無力感と諦観」が支配し、もはや抗えない状況に追い詰められたのではないか、と語りました。

 このナチスの事例が日本において他人事でないのは、日本における権力者のうちの一人である麻生太郎副総理が、2013年8月に「ナチスの手口を学んだらどうか」と実際に発言しているからです。安倍総理が、憲法を改正するにあたって「緊急事態条項」の創設から着手しようとしているのは、まさに「ナチスの手口」に学び、独裁体制を確立しようとしているからであると言うことができるでしょう。

 升永氏は、このような「安倍政権の暴走」にストップをかけるため、「野党統一候補の擁立が不可欠だ」と述べます。しかし現状は、SEALDsのデモで何回もスピーチした民主党の福山哲郎議員が、京都市長選をめぐって、「共産党と徹底的に戦う」と発言する始末。民主党の岡田克也代表も共産党とは距離を置く発言を繰り返しており、野党共闘への道のりは遠いかのように見えます。

 野党候補の統一が進まない最大の理由が、民主党およびその最大の支持母体である連合の共産党アレルギーのせいであることは、もはや誰の目にも明らかです。

 参院選において自民党を筆頭とした改憲勢力が圧勝し、その結果、改憲による緊急事態条項の創設の発議が行われて、実際に独裁権力が樹立されたら、目先のちっぽけな利害にとらわれて野党共闘を実現できなかった、あるいはさせなかった者達は、いったいどういう責任をとるのでしょうか!?
その時点で懺悔されても、何の値打ちもありません!

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・2015/09/25 「SEALDsの誠実さと感覚的な新しさをどう国民に広げるか、これは僕らの役割だ」――民主・福山哲郎議員に岩上安身が訊く!
共産党「国民連合」提案には「まずは話を聞くこと」
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/266903

・2015/12/25 岩上安身による民主党・岡田克也代表インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/280184
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 このまま、今年夏の野党共闘は実現されず、自民・公明が圧勝することになってしまうのでしょうか?そして、日本はナチス・ドイツと同じ「独裁」への道をたどることになってしまうのでしょうか?

 升永氏は「絶対に阻止しなければならない」と強い気迫で語りました。升永氏の気迫溢れるインタビューは、早速、動画をホームページにアップしましたので、こちらをご覧ください!なお、インタビューの完全版は会員限定です。この機会にぜひ、会員にご登録いただき、IWJをご支援ください!
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・2016/01/11 岩上安身による升永英俊・弁護士インタビュー ~緊急事態条項について(動画)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/281877
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…(後半へ続く)

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◆中継番組表◆
本日のIWJの中継番組表をお送りします。
あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

**2016.1.12 Tue.**

【シリーズ特集43 標的は9条だけじゃない!自民党トンデモ改憲草案の正体!・Ch9】15:00~「『思考しないということは、現在の危機を助けるということ』 憲法研究の泰斗・奥平康弘東大名誉教授が講演~96条の会 シンポジウム『国際社会のなかの憲法』」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=9
記事URL: http://iwj.co.jp/wj/open/archives/104020
※2013年9月28日、自民党・安倍政権が主張した憲法96条先行改正論に反対する「96条の会」発起人で、憲法研究者の奥平康弘東大名誉教授が講演を行い、改憲論議が盛んな現在の日本社会に対して警鐘を鳴らしました。

【Ch2】17:30~「東京電力 定例会見」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=2
※東京電力による定例会見を中継します。

【IWJ_HYOGO1】18:30~「市民社会フォーラム第169回学習会・本田宏医師が語る『どうなる?どうする?日本の医療と政治』」
視聴URL: http://www.ustream.tv/channel/iwj-hyogo1
※「市民社会フォーラム第169回学習会」の模様を中継予定です。講師はNPO法人医療制度研究会副理事長で医師の本田宏氏、ゲストは「保険で良い歯科医療を」全国連絡会代表世話人で歯科技工士の雨松真希人氏。

【Ch4】18:30~「講演&対談『武力で紛争は解決できないという事実から考える ──自衛隊隊員とNGOがおかれている現実』」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=4
※「集団的自衛権について考える会」主催の講演と対談。講師は、日本国際ボランティアセンター(JVC)代表理事の谷山博史氏、ジャーナリストの布施祐仁氏ら。対談にはSEALDsの元山仁士郎氏も参加。

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◆明日の中継番組表◆

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

**2016.1.13 Wed.**

【Ch3】14:30~「原子力規制委員会 田中俊一委員長 定例会見」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=3
※原子力規制委員会 田中俊一委員長による定例会見を中継します。

【録画配信・Ch4】18:00~「公開シンポジウム『自衛隊って「戦場」に行くの? ~問われる国民合意と報道~』」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=4
※2016年1月11日に行われた「毎日新聞労働組合」主催のシンポジウムを録画配信します。パネリストは、元陸上幕僚長の冨澤暉(ひかる)氏、前海上自衛隊呉地方総監の伊藤俊幸氏、東京外国語大大学院教授の伊勢崎賢治氏、東京大大学院教授の井上達夫氏ら。コーディネーターは毎日新聞東京社会部編集委員の滝野隆浩氏。

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(前半の続き)…

■次々と声を上げる芸能人 ロンブー淳「都合の悪い歴史こそ残そう」

 再び、ぎぎまきです。

 私は「インスタグラム」という写真を投稿するSNSアプリを愛用しているのですが、気になる芸能人やアーティストのアカウントも幾つかフォローしています。家族で旅行に出かけ、友達とご飯を食べ、時には風邪をひき寝込む、といった日常が切り取られた芸能人の写真を見ていると、好き、嫌い、楽しい、疲れたといった感覚は一般人と同じなんだなぁということが改めて分かります。当然のことなんですけどね。やはり、どこかで「芸能人」というバーチャルな世界に勝手に押し込んでいたように思います。

 「芸能人なのに社会問題に興味があるんだ」という類のコメントは、藤原紀香さんがブログで「特定秘密保護法」に触れていた時に多く見たことがありますが、インスタグラムを見ていると、選挙期間中に投票に行く芸能人の姿や原発問題に関心を示す写真やコメントを確認することができます。

 坂本龍一さんや石田純一さんが国会前でスピーチしたり、元タレントである山本太郎議員がニュースで取り沙汰されたりすることはありますが、もっと多くの芸能人が、表立っての発言には至らないだけで、社会意識を持っているんだな、ということが分かります。

 最近、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんが、原発事故について、思いの丈をぶつけた記事が話題を呼びましたね。

※ロンブー淳 原発問題。都合の悪い歴史こそ残そう
http://www.nikkansports.com/entertainment/column/tamura-atsushi/news/1589454.html

 田村さんは福島県の被災地を車で走り、線量計が鳴り続ける現実に直面。枯れた草がそのまま生え茂り、汚染土が入ったフレコンバックが山積みになった景色を見て、復興に向かっていると言うよりも、むしろ被害が広がっていると感じたと綴っています。

 また、過去に北茨城を訪ねた際には、布団が鼻血まみれになった経験もあったといい、「美味しんぼ」で問題提起された被曝と鼻血のエピソードも、あながちなくはないだろう、と感じていたと言います。

 双葉町にあった「原子力明るい未来のエネルギー」という看板が、最近、撤去された事実についても、「マイナス面を消し去るってことは、絶対しちゃいけないと思っている」と持論を展開し、「戦国大名みたいに、“勝ったら都合が悪い歴史を塗り替えていく”みたいなことをしだしたら、これから先の人が見て学ぶ術や、情報を減らすことになってしまう」と安倍政権批判とも取れるコメントを残しています。

 原発事故のニュースは、事故から5年近く経ったこともあり、風化が進んでいるのは否めません。しかし、汚染水や廃炉、再稼働、何よりも故郷に帰れない原発被災者の実情は、時間が経つほどに問題が山積していくのが実態です。12月25日、「放射能汚染の心配のない社会を実現する」ため、市民106人が福井県敦賀市の「もんじゅ」の廃炉を求め、提訴しました。もんじゅをめぐっては、1985年に地元住民が設置許可の無効確認を求めてから、30年以上続いている法廷闘争です。

 提訴後の記者会見に出席した河合弘之弁護士は、「もんじゅには引導を渡さなければいけない」と意気込みました。会見の様子はこちらの記事にまとめ掲載していますので、ぜひご覧ください。

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・2015/12/25 市民106人が再度もんじゅ訴訟「廃炉にしなければ日本は笑いもの」~河合弁護士、原子力規制委の勧告に「運転主体交替はあり得ず」
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/280185
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 なお、まだ日取りは確定していないのですが、『美味しんぼ』原作者の雁屋哲さんに岩上さんがインタビューを行います!
日頃は海外でお暮らしの雁屋さん、なかなかインタビューの実現は難しかったのですが、今回は話がまとまりそうです。鼻血問題だけでなく、元祖ヘイトスピーカー・福沢諭吉についての著書も出す予定で、明治維新以来続いてきた対外侵略とそうした明治国家のあり方を肯定し、平和憲法を否定する安倍総理の姿勢について、お話をうかがうことになると思います。ぜひ、ご注目ください!

 雁屋さんは、岩上さんが過去にインタビューした名古屋大学名誉教授の安川寿之輔さん、帯広畜産大学教授の杉田聡さんとともに、シンポジウムを行っています。インタビューの予習として、ぜひこちらもご覧ください!

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・2015/12/08 【愛知】2015.12.8 不戦のつどい 「福沢諭吉の正体 アジア蔑視と侵略戦争で果たした役割
~日本の近現代史を問い直そう~」講演・安川寿之輔氏、雁屋哲氏、杉田聡氏
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/277901
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 続いては、佐々木隼也記者に、自民党候補支援を表明した鈴木宗男氏の動向について、続報をレポートしてもらいます!

■鈴木宗男氏、北海道補選での与党候補支援の理由をブログで発信!「共産党は国益を損ねてきた」~一方「盟友」の松木謙公氏は共産党との共闘を容認!今考えるべきは未来の国益では!?

 おはようございます。IWJで記者をしている佐々木隼也と申します。

 昨日もお伝えしましたが、改めて、現実を直視して、お伝えし直したいと思います。

 町村信孝前衆院議長の死去に伴う4月の衆院北海道5区補欠選挙で、新党大地の鈴木宗男代表は1月9日、同党の勉強会で、自民党公認候補で町村氏の娘婿の新人・和田義明氏(44)を、党として支援すると明言しました。

・新党大地、自民候補支援へ 衆院北海道5区補選 共同 2016年1月9日
http://this.kiji.is/58495421397779962?s=t

 安保法制をめぐっては明確に安倍政権を批判していた鈴木氏。TPPについても、「日本人の魂がなくなる」と強く批判し、「北海道はもう独立するしかなくなる」などと訴えていました。現在の安倍政権とは、正反対の立場のはずです。それがなぜ…。

 鈴木氏のブログを見ると、自身が自民党候補を支援することにした理由について、以下のように書いています。

 「政党それぞれに立党の精神、理念がある。国家観・世界観が全く異なる政党が国政選挙で政策や政治信条のすり合せもなく『野党統一候補』というのはいかがだろうか。ただ闇雲に一緒になればよいと言うものではない」

・1月10日(日)ムネオ日記
http://ameblo.jp/muneo-suzuki/theme2-10069602641.html#main

 共産党とは政策や政治信条が違うのは分かりますが、だからこそ、それは「一旦脇に置き」、安倍政権が破壊した「立憲主義・民主主義を取り戻す」という大きな旗の下、まずは大同団結して、差し迫った自民党の改憲を阻止する、というのが「野党共闘」のはずですよね。もちろん、それでもなお共産党とは組めない、という立場もあるとは思います。しかし、だからといって、これまでさんざん批判していた自民党と手を結び、野党統一候補の反対陣営に回る理由にはなりません。

 鈴木氏は、さらに以下のようにも書いていました。

 「人権とかプライバシーに何かと敏感な共産党が平成14年、あのムネオバッシングの時、外務省から偽物の文書を送られ、それをいけしゃあしゃあと記者会見したのはどこのどなただっただろうか。あの時、『鈴木宗男は2島ポッキリの国賊、売国奴だ』と言われた」

 平成14年(2002年)のムネオバッシングとは、当時、自民党議員だった鈴木氏が、「ムネオハウス事件」や「国後島発電施設事件」「やまりん事件」「島田建設事件」「モザンビーク事件」など様々な嫌疑をかけられ、鈴木氏は無罪・身の潔白を主張し続けましたが、そのいくつかで、鈴木氏に有罪判決が下った一連の疑惑・事件のことです。

 この時、メディアは「疑惑の総合商社」という辻元清美議員の鈴木氏への批判を大々的に取り上げ、鈴木氏は野党から総攻撃を食らいました。

 その攻撃の急先鋒だったのが共産党です。

 鈴木氏はブログで続けて以下のように書いています。

 「私は個人的な恨み辛みで話をしているのではない。私のライフワークである北方領土問題解決についても千島列島を含め、22島返還(原文ママ)を言い領土問題解決の足かせになり国益を損ねてきた」

 …この鈴木氏の思いについて「今はそんなことを言っている場合ではない」「いやむしろ北方領土問題でまとまりかける度に邪魔をしてきたのは自民党・清和会だろう」という市民の方も多いでしょう。ですが、鈴木氏は最後に「昨日の判断に対し色々な声があるが、ブレないでやって行く」とまで書いています。

 ここで思い出すのが、2015年4月の北海道知事選挙です。この時も、共産党も支援する野党統一候補・佐藤のりゆき氏陣営に、鈴木氏が反発。結果は自民・公明候補の現職知事が勝利しました。理屈はどうあれ、結果的には、自民党をアシストすることになったわけですね。

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※北海道知事選についてのIWJ記事はこちら!

・2015/03/26 【統一地方選挙・大注目の北海道知事選を考える】「原発再稼働」が争点に急浮上!TPPをめぐり異変も ~与野党一騎打ちの行方は
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/240695
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 しかし2009年の衆院選では、自民の町村信孝氏を、民主党候補(小林千代美氏)が3万票差で破りました(小林氏182,952票、町村氏151,448票)。この時は、共産党は候補を下げています。

 今、ネット上では鈴木氏に対する「共産党アレルギー」批判がある一方、共産党側も、野党陣営に対しても、「『統一候補』などというから大げさ過ぎるのだ。2009年の衆院選同様、共産党が候補を下げる、それだけで双方が丸く収まるのであれば、それで十分ではないか」という指摘もあがっています。

・(弁護士・猪野 亨ブログ)鈴木宗男さん 共産党が候補を下げるだけ、これならいいでしょう 5区は反自民候補で闘いませんか
http://blogos.com/article/152028/

 互いに頑として譲らないでは、強固な一枚岩である安倍政権には勝てません。こういう時こそ柔軟性が問われるのではないでしょうか。

 かつて新党大地から支援を受けて2009年に衆院選で当選し、後に新党大地にも加わった、鈴木氏の「盟友」松木謙公氏(現在は維新の党選対委員長)は、9日の会合で、民主党候補の池田真紀氏(43)の支援を表明しました。鈴木氏とは一線を画したわけです。

 共産党との共闘についても、「私は(共産党が)入ってもいいと思う」と容認する考えを示しました。

・衆院道5区補選 大地、自民・和田氏支援へ 維新は池田氏(北海道新聞1月10日)
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/politics/politics/1-0221451.html

 松木氏には、岩上さんは過去に2度、インタビューを行っています。岩上さんは今回の松木氏の支援表明を受けて、「松木さんは筋を通している」とコメントしていました。

 この鈴木氏と松木氏の対照、明暗は、本当に気になるところです。松木氏にはぜひ、岩上さんも再度お話をうかがいたいと考えています。そしてもちろん、鈴木氏にもぜひ、今回の与党支援の胸の内を聞きたいと思います。

 松木氏への過去の岩上さんによるインタビューは、以下の動画記事からご覧になれます。

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・2015/10/22 「改革勢力の結集」という理念はどこへ カネと看板をめぐる前代未聞のゴタゴタ!
内紛勃発の維新の党で今、何が?~岩上安身が維新の党・松木謙公衆議院議員に緊急直撃インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/271577

・2011/10/28 松木謙公議員インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/7117
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■「饗宴VI」DVD、ただいま鋭意製作中です!

 皆さま、「饗宴VI」DVDはもう予約されましたか?昨年末12月20日に開催した「饗宴VI」はただいま鋭意製作中!発売は、1月15日頃を予定していますが、事前に予約をすれば特典も付いてきますよ!

 300人以上の方にお越しいただき盛会に終わった「饗宴VI」では、16人のパネラーの方々が、きたる参院選を見据え、さまざまな見地から激論を交わしました。特に、「緊急事態条項」の怖さを理解していただくには、とてもよくまとまっていますので、12月20日は会場に来られなかったという方、参加したけどもう一度観たいという方、まだその怖さを知らない周りの方に勧めたい!という方、ぜひ、お買い求めください!

 価格は4,200円、「饗宴VI」シンポジウムの参加費が一般会員の方で6000円でしたので、1800円もお安く、自宅で自分のペースで観ながら参加気分を味わえてしまうDVDは大変お買い得です!

 事前に予約していただいた方には、特典もございます!事前予約は、下記のフォームで受け付けておりますので、皆さまふるってお申し込みください!

※【予約特典付き・岩上安身サイン入り】DVD「饗宴VI」
https://iwj.co.jp/ec/products/detail.php?product_id=187

※【予約特典付き】DVD「饗宴VI」
https://iwj.co.jp/ec/products/detail.php?product_id=188

◆饗宴VI~国民非常事態宣言! 露わになった「ナチスの手口」/国家緊急権を阻止せよ!

●テーマ1:米国の経済覇権の終わり?~AIIBの衝撃とTPP「砲艦外交」の正体

岩月浩二氏(TPP阻止国民会議世話人/TPP交渉差止・違憲訴訟弁護団共同代表)
植草一秀氏(政治経済学者)
田中宇氏(国際情勢解説者)
富岡幸雄氏(中央大学名誉教授)
矢吹晋氏(横浜市立大学名誉教授)
内田聖子氏(特定非営利活動法人アジア太平洋資料センター事務局長)

●テーマ2:違憲の「戦争法」強行可決から「明文改憲」による緊急事態条項導入へ~属国のファシズムを阻み、立憲民主主義を救い出せるか

青井未帆氏(学習院大学大学院法務研究科教授)
伊波洋一氏(元宜野湾市長)
奥田愛基氏(大学生/「SEALDs」創設メンバー/「ReDEMOS」代表理事)
水上貴央氏(弁護士/青山学院大学法務研究科助教)
永井幸寿氏(弁護士)
升永英俊氏(弁護士/弁理士/「一人一票実現国民会議」発起人)

●テーマ3:「戦争」の過去・現在・未来~安倍政権の目指す「戦争遂行国家化」その帰結は!?

井筒高雄氏(元陸上自衛隊レンジャー隊員)
志葉玲氏(ジャーナリスト)
柳澤協二氏(元内閣官房副長官補/NPO法人国際地政学研究所理事長)
孫崎享氏(元外務省国際情報局長)

■経理だけではありません!他のセクションのスタッフ募集中です!!

 IWJでみなさんも一緒に働きませんか?冒頭で経理スタッフの募集をさせていただきましたが、募集する職種は、経理・総務スタッフにはじまり、Webスタッフ、テキストスタッフ、中継・動画編集スタッフ、一般事務です。

 IWJの仕事スタイルは、一人のスタッフが部署を超えて業務を担う、「トータルフットボールシステム」。自分はこれだけをやっていれば良い、という「タテワリ官僚組織」とは異なります。

 岩上さんの強い方針でもあるこのシステムは、事務所内に浸透し、人手が足りなければ、積極的に他の部署にヘルプに入るという、見事なチームワークでIWJは成り立っています。

 ぜひ、激動の毎日を乗り切るIWJで一緒に仕事をする仲間になって下さい!

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■わとはぷ!のコーナー

 今日、1月12日は「スキー記念日」なんですね。

 なんでも、1911年1月12日、日露戦争でロシア帝国に勝利した日本陸軍の研究のため、交換将校として来日した、オーストリア陸軍のレルヒ少佐が、陸軍高田歩兵第58連隊の青年将校に、スキー指導を行なったのが由縁だとか。レルヒ少佐はその後、長野と北海道でもスキーを伝えた偉人として知られ、まさに、日本のスキーの生みの親ですね。

 新潟には、過去に、ゆるキャラグランプリで10位を取ったこともあるレルヒ少佐のゆるキャラも存在するとか!身長は3メートル近くもあるらしく、暖冬で積雪も少ない今年、ゆるキャラ、レルヒ少佐は今ごろ何をしているのでしょうね。

 と、「スキー記念日」については、これ以上掘り下げることもできそうにないので、最後に、私がこの時期になると毎年見返す、とっても素敵なスキーの映像を紹介して終わります。

※Signatures: A Backcountry Skiing, Snowboarding, and Telemark Film
https://www.youtube.com/watch?v=AFJNuR1TsTY

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