日刊IWJガイド 「『26年間の消費税が、法人税の減税のための財源になっている』怒れる元大蔵官僚・富岡幸雄名誉教授が『饗宴VI』に登壇!~さらに高額療養費制度見直し、もんじゅ訴訟、TPPによる農業破壊などIWJ記者の取材報告をお届け!そんな今日は、田中正造が明治天皇に直訴した日!」2015.12.10日号~No.1184号~


■■■ 日刊IWJガイド 「『26年間の消費税が、法人税の減税のための財源になっている』怒れる元大蔵官僚・富岡幸雄名誉教授が『饗宴VI』に登壇!~さらに高額療養費制度見直し、もんじゅ訴訟、TPPによる農業破壊などIWJ記者の取材報告をお届け!そんな今日は、田中正造が明治天皇に直訴した日!」2015.12.10日号~No.1184号~ ■■■
(2015.12.10 8時00分)

 おはようございます!IWJで記者をしている佐々木隼也と申します。

 12月20日の日曜日に品川で行われる、IWJの特大年末イベント「饗宴VI」まで、あと10日!他所では絶対に見ることのできない、14名の豪華ゲストたちと岩上さん、そして会場にお越しいただくみなさまとの、熱いコラボレーションを、今年もお送りします!

【饗宴VI特設ページ(お申し込み)はこちら!】
http://iwj.co.jp/feature/symposion6/

 今日、僕がイチオシしたい登壇者は、元大蔵官僚で、『税金を払わない巨大企業』(文春新書:2014年9月)の著者、富岡幸雄・中央大学名誉教授です!

 岩上さんが富岡先生にインタビューしたのは、昨年の12月1日。衆院選を2週間後に控えていました。富岡先生は、「国際競争力の強化という大義を唱え、法人減税を続け、お手盛りの大企業優遇政策を活用し、一部の大企業は『税逃れ』まがいの手法で負担を回避する」--そんな安倍政権の経済政策を、徹底批判しました。

 「26年間の消費税が、法人税の減税のための財源になっている」--19歳で学徒動員され、戦地に赴いた経験から、戦後は大蔵官僚として活躍し、「お国のために」という思いを、よりよい税制のあり方へと結実させることに奔走したという富岡先生は、インタビューで、安倍政権で歪められてきた税制を厳しく指摘しています。

 そんな「歪んだ経済政策」、それがもたらず貧困と格差の拡大、その果ての経済徴兵制、そして軍事国家化。この1年、経済と軍事の最悪な結びつきを、ここまで実感した年はなかったのではないでしょうか?

 戦争と経済、この2つを身をもって体験してきた富岡先生は今、何を僕らに語ってくれるのでしょうか。今年の饗宴、必見です。ぜひ、会場にお越しいただき、生で見て、聞いていただければと思います!!

【饗宴VIのお申し込みはこちら!】
http://iwj.co.jp/feature/symposion6/apply.html

 ちなみに、この昨年末の富岡先生へのインタビューの模様は、以下の動画記事でご覧になれます。サポート会員であれば、全編を、いつでも視聴できますので、ぜひこの機会に会員に登録し、IWJのこうした取材活動をお支えいただければと思います。

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・2014/12/01 「所得税と法人税の欠陥を直せば、消費税はなくてもよい」――『税金を払わない巨大企業』著者、富岡幸雄・中央大学名誉教授に岩上安身が聞く
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/210287
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【会員登録はこちらです!】
https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

 またこのインタビュー、本日18時にCh1から再配信します!!

 サポート会員でない方は、ぜひお見逃しなく!!こうした貴重なインタビューの蔵出し無料再配信は、今後も続けていきます。どうぞ、多くの方に「今日はこんなインタビューを無料で配信するよー!」とお伝えいただければ幸いです。そして、こうしたIWJの活動に共感し、応援いただける方は、ぜひ、カンパ・ご寄付でIWJをお支えいただければと思います!

※ご寄付・カンパはこちらから!
http://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html

 また、 昨日は「ロックの会 IWJ Night」を開催しました! ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました!
おかげさまで盛況のうちに無事、終えることができました!

 第1部では岩上さんと梓澤和幸弁護士、澤藤統一郎弁護士が自民党改憲草案「緊急事態条項」の恐ろしさに警鐘を鳴らしました。二部では日体大・清水雅彦先生とIWJの城石愛麻(えま)記者がマイナンバーの危険性を指摘。第三部では、山田正彦元農水相がTPPの現状を報告しました。

 特に「緊急事態条項」については、その内容が段違いに危なっかしい代物であることからも話はヒートアップ。少し時間をオーバーし、駆け足になってしまったコーナーもありましたが、穴埋めはしますので、今後もご注目ください!
「緊急事態条項」のコーナーは急ぎ、詳細を記事化しますので、会場に来られなかった方も、そちらは是非ご覧ください!
昨日、会場で先行発売された『前夜・増補改訂版』にも緊急事態条項の危険性はたっぷり書き記されていますので、是非ご購入ください!

【前夜ご購入はこちら!】
http://goo.gl/forms/K1GiAd3VHN

…(後半へ続く)

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◆中継番組表◆
本日のIWJの中継番組表をお送りします。
あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

**2015.12.10 Thu.**

【録画配信・Ch4】14:00~「高速増殖炉もんじゅに関する新たな訴訟についての記者会見」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=4
※2015年12月8日収録の記者会見を録画配信します。出席者は、河合弘之弁護士、海渡雄一弁護士、宮下正一氏(原子力原発に反対する福井県民会議事務局長)、アイリーン・美緒子・スミス氏、ほか。

【IWJ_OSAKA1】15:00~「沖縄ジュゴンの海の写真展 とわの海へ~辺野古・大浦湾」
視聴URL: http://www.ustream.tv/channel/iwj-osaka1
※「ジュゴン保護キャンペーンセンター」主催の沖縄ジュゴンの海の写真展を中継予定。

【録画配信・Ch5】16:00~「ワタミ過労死裁判の和解成立に関する記者会見」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=5
※2015年12月8日収録の記者会見を録画配信します。出席者は、ご遺族で原告の森豪氏と森祐子氏、弁護団、組合役員ら。

【Ch2】17:30~「東京電力 定例会見」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=2
※東京電力による定例会見を中継します。

【録画配信・Ch4】17:30~「第3回 民主党による安保法制反対諸団体との意見交換会」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=4
※2015年12月9日に行われた「第3回 民主党による安保法制反対諸団体との意見交換会」を録画配信します。

【饗宴VI・ゲストシリーズ特集4・Ch1】18:00~「『所得税と法人税の欠陥を直せば、消費税はなくてもよい』――『税金を払わない巨大企業』著者、富岡幸雄・中央大学名誉教授に岩上安身が聞く」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=1
記事URL: http://iwj.co.jp/wj/open/archives/210287
※2014年12月1日に行われた、『税金を払わない巨大企業』著者、富岡幸雄・中央大学名誉教授インタビューを再配信します。富岡氏はこのインタビューで、「タックスヘイブンを使えば、企業は無国籍化します。私が20代の頃、『節税は合法的な手段で、国民の権利だ』、と言うと批判を受けました。安倍首相は企業性善説を前提に考えています」と述べました。

【シリーズ特集29 標的は9条だけじゃない!自民党トンデモ改憲草案の正体!・Ch9】20:30~「『ナチス台頭を許さないために 立憲主義の意味を問う市民集会』 ~立憲主義を破壊し、憲法改悪を容易にする96条改憲に反対する5・21院内集会」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=9
記事URL: http://iwj.co.jp/wj/open/archives/80226
※2013年5月21日に、「2013年5・3憲法集会実行委員会」主催で行われた院内集会を再配信します。ゲストは憲法学者で日本体育大学准教授の清水雅彦氏。出席者は、糸数慶子議員(無所属)、福島みずほ議員(社民党)、井上哲士議員(共産党)、山内徳信議員(社民党)、笠井亮議員(共産党)、近藤昭一議員(民主党)、辻元清美議員(民主党)、吉田忠智議員(社民党)ら。

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◆明日の中継番組表◆

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

**2015.12.11 Fri.**

【饗宴VI・ゲストシリーズ特集5・Ch1】18:00~「『沈みゆくアメリカにしがみつくのは最悪の選択』──中国研究者の矢吹晋氏が岩上安身のインタビューで警告 『アメリカは中国とうまくやっていく』前編」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=1
記事URL: http://iwj.co.jp/wj/open/archives/262787
※『チャイメリカ―米中結託と日本の進路』『尖閣問題の核心~日中関係はどうなる』などの著書があり、前回の岩上安身によるインタビューでは、「中国を仮想敵国にする安保法制は、とんでもない時代錯誤」と一刀両断にした、横浜市立大学名誉教授の矢吹晋氏が、2015年9月9日、再度、岩上安身のインタビューに応じて、中国とアメリカを取り巻く現実を、さらに詳細に説明しました。

【IWJ_KYOTO1】18:30~「立憲主義を考えるシンポジウム―日本国憲法70周年に向けて―」
視聴URL: http://www.ustream.tv/channel/iwj-kyoto1
※主催は高山佳奈子氏(学者の会・京大有志の会)。登壇者は、志位和夫氏(共産党委員長)、君島東彦氏(学者の会呼びかけ人、立命館大学教授)、曽我部真裕氏(京都大学教授)、岡野八代氏(学者の会呼びかけ人、同志社大学教授)ら。

【Ch未定】18:30~「立憲デモクラシー講座 ―講師 山口二郎氏(法政大学教授、政治学)」視聴URL:
※「立憲デモクラシーの会」主催の「立憲デモクラシー講座」を中継します。講師は法政大学教授の山口二郎氏。

▲▽▲▽官邸前抗議関連 ▽▲▽▲

【Ch5】18:30~「再稼働反対!首相官邸前抗議(首相官邸前/国会正門前)」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=5

【IWJ_IBARAKI1】19:00~「第163回原電いばらき抗議アクション」
視聴URL: http://www.ustream.tv/channel/iwj-ibaraki1

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(前半の続き)…

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■14人の猛者が集う!今年の饗宴は要注目です!

 …と、気になる「饗宴VI」の詳細情報を、書き忘れていました。

 今年の饗宴は三部構成でお送りします。

 第一部の「グローバル経済・TPP」では、岩月浩二弁護士、政治経済学者の植草一秀氏、PARC事務局長の内田聖子氏、国際情報解説者の田中宇氏、そして先ほど紹介した中央大学名誉教授の富岡幸雄氏、横浜市立大学名誉教授の矢吹晋氏にご登壇いただきます。TPPの問題にとどまらず、AIIB(アジア・インフラ投資銀行)の動きや、ロシアや中東、南シナ海で今、何が起きているのか、その裏にある米国の戦略と、それに抗おうとする世界の「非ドル化」の動きについて、議論します!

 第二部は「立憲主義と改憲」をテーマに、安倍政権の政策の裏に潜む自衛隊制服組(いわゆる軍人)と、米軍幹部の共謀を暴いた学習院大学教授の青井未帆氏、「オール沖縄」「野党統一候補」としていち早く来年夏の参院選に立候補を表明した元宜野湾市長の伊波洋一氏、安保法制の国会議論の欺瞞を糾弾した水上貴央弁護士、そして、国会前から国民に向けて「民主主義って何だ?」と問いかけ続けたSEALDsの奥田愛基氏にご登壇いただきます。

 最後の第三部、「戦争の過去・現在・未来のリアル」には、元陸上自衛隊レンジャー部隊所属の井筒高雄氏、ジャーナリストの志葉玲氏、元内閣官房副長官補の柳澤協二氏、元外務省国際情報局長の孫崎享氏にご登壇いただきます。自衛隊を知り尽くし、戦争の現場を報じ、戦争を決定して自衛隊を派遣する立場に身を置き、戦争に至る諜報・インテリジェンスの世界を見聞きしてきた、4人の専門家に、戦争の「リアル」を語っていただきます。

 ぜひ、会場にお越しいただき、登壇者、IWJスタッフ、そしてみなさまと共に、充満する熱気を体験していただければと思います!!

【饗宴の入場料金はこちらです!】

・ 非会員様
第1部シンポジウム7000円
第2部パーティー 3000円

・一般会員様
第1部シンポジウム6000円
第2部パーティー 3000円

・サポート会員様
第1部シンポジウム5000円
第2部パーティー 3000円

※「饗宴VI」特設サイト
http://iwj.co.jp/feature/symposion6/

※参加申し込みフォームはこちら!!
http://iwj.co.jp/feature/symposion6/apply.html

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 続いてはここ最近、連日本ガイドに登場している、新人の太田美智子記者からの、取材報告です!

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■安倍政権の次なるセーフティネット破壊「高額療養費制度見直し」で米国並の医療破産大国に!

 おはようございます。太田美智子です。皆さんは民間の医療保険に入っていますか?私は入っていません。なぜなら、日本には超スグレモノの「高額療養費制度」があるからです。

 子供のころから家族そろって医療とは縁がなく、ナニソレ?と思われる方のために、厚労省の説明を引用します。

 「家計に対する医療費の自己負担が過重なものとならないよう、一定の歯止めを設ける仕組みです」。

 そうなんです!つまり、年齢や所得に応じて、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費の月額負担に上限が設けられているのです。たとえば、70歳未満で収入370万円以下の人の上限額は57,600円、370~770万円では80,100円、770~1,160万円では167,400円となっています。繰り返し上限額を超える場合は、さらに減額されます。

 安いとは言えません。でも、この金額なら、いざ入院しても民間保険に月々保険料を支払っているのと変わらないか、むしろ安くつきそうではないですか?

 これぞまさにセーフティネット!市場原理には左右されない、国民のための公(おおやけ)の制度だと思います。

 ところが、経済財政諮問会議の有識者会議で、この素晴しい高額療養費制度の見直しについて検討し、来年末までに結論を出すことが提案されました。塩崎恭久・厚生労働大臣は一昨日の会見で、読売新聞記者の質問に答えて、「骨太の方針の中で『世代間・世代内での負担の公平を図り、負担能力に応じた負担を求める観点から検討する』となっているもの。いろいろ報道はなされていますけれども、まだそういう段階ではない」と、言葉を濁しました。

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【塩崎大臣会見の模様はこちら!】
・2015/12/08 子宮頸がんワクチン副反応被害の声に背を向ける製薬会社に、塩崎厚労大臣が苦言「国民とのコミュニケーションが基本」
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/277887
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 高額療養費の上限額が徐々に引き上げられ、さらには撤廃ということになれば、米国ですでに起きているように、日本でも高額な治療費が支払えず破産する、「医療破産」が日常になる日が来るかもしれません。そうなれば、高額な民間医療保険が幅を利かすのでしょう。

 「公平」を謳ってセーフティネットを破壊し、結局は米国や一部の多国籍企業・投資家の利益のために、より大きな「不公平」を国民に強いる。TPPや消費税増税、国家戦略特区など…安倍政権の政策は、一貫してこの「手口」で貫かれていますね。

 日本がTPP交渉に参加する条件として、米国と行った日米並行協議では、保険について話し合われ、交換文書が交わされています。交換文書の詳細は不明ですが、ますます私たちの命と生活を脅かす問題だということが明らかになってきました。IWJはこれからもこの問題を追いかけていきますので、どうぞご注目ください。

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・2015/11/11 【敗戦・TPP】「攻める」はずの自動車分野で「関税が永遠に撤廃されない可能性」も!?
日米並行協議での驚くべき譲歩内容が民主党による官僚ヒアリングで明らかに!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/274515

・2015/10/08 米国の狙いは最初から日本の富の収奪だった!「TPPは目くらましで日米並行協議が問題」
~TPPアトランタ閣僚会合出張報告で専門家、国会議員らが警告!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/269513
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 結局は、米国のように一部の大企業が、大多数の国民の富を搾取する、というシステムを、日本にも敷こうというのが、米国の戦略であり、安倍政権の戦略なのですね…。

 その戦略は、日本の食、農業にも及んでいます。続いては、四季にあわせて日本中の農家をめぐり、その時々の旬の作物を収穫するという「年中農家」戦法を編み出し、IWJに来る直前まで実践していた新人の山本愛穂記者から、お知らせです!

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■TPPによって破壊される農家の雇用と食の安全の「リアル」

 おはようございます。

 山本愛穂です。本日も引き続き、12月11日(金)収録、金子信博(カネコノブヒロ)・横浜国立大学大学院環境情報研究院土壌生態学研究室教授への代打インタビューについて告知させていただきます。

 前回のガイドでは、金子教授が研究されている不耕起農法の概要について簡単にお伝えいたしました。

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【前回のガイドはこちら!】
・日刊IWJガイド「子供の貧困対策は「慈善事業」じゃありませんよ、安倍総理!!!
税金を取る限り、国家の責任です!!!経済損失2.9兆円と政府発案の「子ども貧困基金」に大口寄付集まらず~今日はジョン・レノンの命日 “WAR
IS OVER!IF YOU WANT IT”」2015.12.8日号
http://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/23449
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 告知2回目の今回は、岩上さんが「体調が悪化しなければ、是非これを聞きたかった!」と話している点である、TPPに関わる日本の農業の未来と、”不耕起農法”の関係性や可能性、その展望について、お話しさせていただきます。

 さて、前回お話ししたように、”不耕起農法”=”耕さない”土壌で作物をつくる農法には、たくさんの可能性があると考えられます。特に、除草の手間やコストが省ける点は大きいと思います。

 除草は、本当に大変な農作業のひとつです。炎天下のもと、200m四方の畑をかがんで歩いていくと…全身筋肉痛です。時間も人件費もかかります。除草剤をまけば、一度の散布で除去できることがほとんどで、現実的に無農薬で農業を行うのは大規模であればあるほど、難しくなります。

 さて、農業に実際にたずさわっているということもあり、私の視線はこのようなより生活に密着した”ミクロなもの”に向かっていきます。

 岩上さんいわく、「農業に限らず、そうしたミクロな視点から遠ざかることなく、同時に、政治や社会情勢など、常により”マクロ”なものについても考えていく必要がある!」とのこと。

 岩上さんが今回、金子教授にぜひ聞きたかった!と話す”マクロ”なものとは、まさに、TPP=環太平洋パートナーシップ協定です。

 参加国は、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、米国及びベトナム、および日本。今年10月5日にアトランタで開かれたTPP閣僚会合において大筋合意が取られたこの経済連携協定により、日本の農業を取り巻く環境も変化を余儀なくされると考えられます。

 ただでさえ、40%代の日本の食糧自給率、安価な農作物が関税なしで大量に輸入されるようになれば、どうなるのでしょうか。日本の農村出身の方や地方農村で仕事をしたことがある方はイメージしやすいと思いますが、日本の農産業界は常に人不足です。基本的に重労働であり、非常に離職率の高い職場です。後継者がおらず、全国で耕作放棄地が増え続けています。

 農業協同組合新聞は、TPPが導入されれば、農にかかわる雇用機会の喪失は340万人ともしています。

 さらに、食の安全性の問題があります。

 皆さんも食べ物を選ぶときは、できれば低農薬や有機栽培のものを選ぶのではないでしょうか。自ら進んで農薬が大量にかけられた野菜を食べたい人はいないと思います。しかし現実に、常に無農薬などの野菜を選べないのは、価格の問題が大きいと思います。(有機野菜、おいしくても手間がかかる分、やっぱり高いです)

 農家の方々も、農薬や除草剤が好きでどんどん使いたい!という人はいないはずです。ただ、現実的に無農薬・有機栽培では、効率をあげ、利益を出すのが非常に難しいという現実があります。

 そこに重ねてTPPによる関税が撤廃され、安価な輸入品との競争が激化すれば、ますます無農薬・有機栽培に参入したり、継続することは難しくなるかもしれません。

 さらにアメリカの業界は、残留農薬基準の認証手続きの簡素化や、発がん性の疑われる防かび剤の認可手続き簡素化を要求しており、今後、遺伝子組み換え食品の表示を形骸化する要求をしてくる可能性もあります。

 しかし、?不耕起農法”が可能であれば?

 農薬類を使わない安全な農作物が、コストをあまりかけずにつくれるようになるとすれば?

 もしかすると?不耕起農法”は、TPP導入後の日本で重要な役割を担うことができるかもしれません。

 ―本日はここまで。

 最終回の次回は、岩上さんの「続・聞きたかった!」を、農業の現場の声を交えながら紹介し、インタビューに出発してきます。

 皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。

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 僕もTPPをずっと追ってきましたが、確かに、農家・農業について、知らないことが多いな…と、山本記者のこのレポートを読んでいて実感します。

 日本の食、つまり命を支える根幹産業に、もっと多くの国民が理解していかなければなりませんね。気づいた時には失われていた…では済まされません。

 さて続いても、ここ最近、本ガイドによく登場する、葦澤美也子記者から、取材報告です!

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■ 「“看板の架け替え”だけでは許さない!」12月8日、高速増殖炉もんじゅに関する新たな訴訟についての記者会見が行われました!

 おはようございます。葦澤です。

 おととい12月8日は、わとはぷでもご紹介した通り、35年前にジョン・レノンが射殺された日でしたが、ほかにも、74年前の真珠湾攻撃の日、20年前には高速増殖炉もんじゅがナトリウム漏れ事故を起こした日でもあります。

 その12月8日を選び、東京・霞が関の司法記者クラブで、新もんじゅ訴訟弁護団と住民らによる「高速増殖炉もんじゅに関する新たな訴訟」についての記者会見が行われました。

 その会見の様子は、こちらでご覧いただけます。

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・2015/12/08 高速増殖炉もんじゅに関する新たな訴訟についての記者会見(動画)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/277897
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 この訴訟は、先月13日に原子力規制委員会から出された「半年を目途として、現在の(もんじゅの)運営主体を切り替えるか、安全上のリスクを明確に減少させるよう抜本的に見直せ」という勧告を受け、それを応援するために準備されたとのこと。求めるのは「もんじゅに対する設置許可取り消しの義務付け」、もんじゅの廃炉です。

 ご存知の通り、高速増殖炉であるもんじゅは、核燃料の主体がMOX燃料であることや、冷却材が金属ナトリウムであることなどから、一般的な原発である軽水炉より格段に危険性が高いと、かねてから指摘されています。原発銀座の福井でも、「もんじゅだけは絶対つくらせてはならない」と大きな反対運動が繰り広げられてきました。

  会見に臨んだ河合弁護士は、「今までの原子力ムラの強かさを振り返れば、(勧告が出ていても)決して安心できない。看板の架け替えのような『ズル』や『強硬』を許さず、衆人環視のもとにこの問題を引きずり出す」と強調されました。

 提訴は今月25日の予定とのこと。IWJでも引き続き、今後の成り行きを注意深く見守り、応援していきたいと思います!

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【関連記事】
・2015/10/16 父親の高木孝一元敦賀市長が「50年後、100年後に生まれた子どもが片輪になるかもしれない」が「原発は金になる」と言い放った約30年前、息子は女性宅に侵入して下着を盗んでいた!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/270810

・2015/09/30 もんじゅ、3年経っても保安規定違反を是正できず~原子力規制委員会 田中俊一委員長 定例会見
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/270810
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■温暖化キャンペーンを世界に振りまく「COP21」がまもなく閉幕!定説は本当に正しいのか!?その壮大な「嘘」を暴き続ける伊藤公紀教授の岩上安身によるインタビュー全5回を鋭意DVD化中!さらに、フリーライター・キリエさんの寄稿第二弾も近日アップします!!

 同時多発テロに見舞われたフランス・パリで2015年11月30日より、国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(通称「COP21」)が開催中です。近年の気候変動を「温暖化によるもの」とし、その温暖化の原因を「二酸化炭素(CO2)の排出によるもの」と位置づけたうえで、各国が自主的な温暖化ガスの排出削減の目標を作成し、国連への提出を目指しています。

 温暖化ガス削減の長期目標については、すでに6月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)で「50年までに全世界で10年比40~70%削減」で一致しています。

 これまで排出削減に消極的だった米国や中国が、ここへ来て前のめりに、削減に取り組む意欲を見せていることもあり、今後も世界的に温暖化ガス削減に基づいた政策・経済システムがまわっていくのでしょう。

 しかし本当にこの「温暖化CO2要因説」、そしてその前提である「地球が全面的に温暖化している」という定説は正しいのでしょうか?

 テレビや報道で垂れ流される「温暖化」「CO2削減」というフレーズを、疑うことなく信じてしまっている方も多いのではないかと思います。

 この定説に、様々なデータを根拠に疑問を呈しているのが、横浜国立大学環境情報研究院・伊藤公紀教授です。伊藤教授は、「自然変動」の範囲内で部分的な温暖化を認めたうえで、「CO2だけが原因ではない」と明言しています。

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・2015/08/21 「技術には社会に適合した土着性がある。原発は米国向き。日本は石炭、天然ガス、地熱の有効利用を」
~岩上安身による横浜国立大学・伊藤公紀教授インタビュー第5弾!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/259008
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 …え!?温暖化キャンペーンが嘘!?!?

 もしこれが嘘だったとしたら、どれだけ大きく壮大な、世界的な嘘なんでしょう。にわかには信じられません。が、岩上さんが行った計5回にわたるインタビューで、伊藤教授は、これでもか!とそれが嘘である根拠を示しています。

 IWJではこの機会に、この伊藤教授へのインタビュー全5回の、一挙DVD化を進めています。

 近く販売開始いたしますので、ぜひぜひ、その内容に目を丸くしてみてください!!

 そして「温暖化キャンペーンの嘘」と言えば、IWJにも以前寄稿してくださった、フリーライターのキリエさんです。

 キリエさんは寄稿で、「沈みゆく島ツバル」「崩れ落ちる南極の氷河」「生きる場所を奪われるホッキョクグマ」といった、温暖化キャンペーンで僕らがよく見聞きするキーワードの裏にある、温暖化とは「まったく関係のない」事実を、分かりやすく提示してくだました。

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・【IWJブログ・特別寄稿】『ホッキョクグマが可哀想だなんて、もう泣いたりはしない』(フリーライター・キリエ @KiryeNet)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/236742
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 こちらは本当に分かりやすく、かつ目からウロコなので、ぜひぜひ、多くの方に読んでみていただきたいと思います。そしてIWJでは今、キリエさんの寄稿第二弾を、鋭意リライト中です!

 こちらも近日アップ予定ですので、ぜひ、ご覧になってみてください!!

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■IWJスタッフ募集のお知らせ!

 IWJでは現在、スタッフを大募集中です。特に、IWJのWebサイトを抜本的に改善し、利用しやすくするためのWebスタッフ、そして事務スタッフは大募集中です!
饗宴に向け、ますます忙しくなってきます!

 他にも経理・総務スタッフ、テキストスタッフ、中継・動画編集スタッフを募集しています!
IWJは常に忙しく、仕事量は山のようにありますが、やり甲斐はあります。ご応募をお待ちしています!

・スタッフ募集詳細はこちらです!
http://bit.ly/1ALJypQ

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■わとはぷ!のコーナーです!

 本日12月10日は、1901年に明治の偉大な政治家・田中正造が足尾銅山の鉱毒事件について明治天皇に直訴した日です。

 19世紀後半の明治時代初期に起きた、日本最初の公害事件、「足尾銅山の鉱毒事件」。これは、栃木にある足尾銅山の開発による排煙、鉱毒ガス、鉱毒水などの有害物質が周辺環境に著しい影響をもたらしたものです。鉱毒による死者・死産は推計で1064人と言われ、その何倍もの人が、眼病や栄養失調など、様々な疾患に悩まされました。

 その惨状をどうにかしようと、国に訴えたのが、栃木の政治家であった田中正造です。

 田中正造は国会で何度も鉱毒被害について訴えましたが、当時の政府は総じて相手にしませんでした。そんななか田中は1901年10月23日に議員を辞職。12月10日、東京市日比谷で、帝国議会開院式から帰る途中の明治天皇に足尾鉱毒事件について直訴を行いました。

 途中で警備の警官に取り押さえられて直訴そのものには失敗しましたが、東京市中は大騒ぎになり、号外も配られ、直訴状の内容は広く知れ渡ったといいます。

 田中はこの時、死を覚悟しており、釈放後、妻カツ宛に自分は(12月)10日に死ぬはずだったという意味の遺書を書いています。また直訴直前に迷惑がかからないようにとカツに離縁状を送ってもいました。まさに、命を賭しての直訴です。

 しかし結局は、問題となった精錬所は1980年代まで稼働し続け、2011年に発生した東日本大震災の影響で渡良瀬川下流から基準値を超える鉛が検出されるなど、21世紀となった現在でも影響が残っています。

 田中の直訴は、時の政府を動かすことはできませんでした。しかし、原発事故による放射能汚染という「日本における21世紀最大の公害事件」に見舞われている今、田中の意志を継ぐ多くの人々が、田中と同じように命を賭けて、この問題を訴えています。

 2013年10月31日、山本太郎・参議院議員が秋の園遊会で天皇陛下に、福島第一原発事故によって子どもたちの健康被害が拡大している現状を伝える手紙を手渡しました。

 この山本議員の行動は、大きな波紋を呼んだので、記憶に新しいと思います。その直後、岩上さんは山本議員に独占インタビューを敢行。胸の内、その覚悟を聞きました。

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・2013/11/05 山本太郎議員 猛烈なバッシングに「萎縮はしない、これからも訴え続ける」 ~岩上安身独占インタビューで決意新たに胸中を明かす
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/110043
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 そんななか、天皇、皇后両陛下は2014年5月21、22日の二日間にわたって、私的旅行で群馬県、栃木県を訪れ、田中正造ゆかりの地を見て回りました。両陛下は佐野市郷土博物館で田中正造の「直訴状」を閲覧し、多くのメディアが「113年の時を経て、田中正造の直訴状が天皇陛下に届いた」として感動的に取り上げました。

 さらに両陛下は「公害の原点」の舞台となった足尾銅山、渡良瀬遊水地にも足を運び、現在にも残る被害の爪痕を見て回ったのです。

 今も、多くの人々の胸に生きる、田中正造という人物。

 IWJでは原記者が、その田中正造の軌跡、そして天皇陛下のこの旅行の足跡を辿り、天皇、皇后両陛下が2日間の旅で何を見て、何に触れたのかを追いました。

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・【IWJ検証レポート(その1)】113年の時を超えて届いた田中正造の「直訴状」 ~「足尾鉱毒事件」の跡をたどった天皇陛下の胸中を探る旅(記者:原佑介)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/170196

・【IWJ検証レポート(その2)】113年の時を超えて届いた田中正造の「直訴状」 ~「足尾鉱毒事件」の跡をたどった天皇陛下の胸中を探る旅(記者:原佑介)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/170317

・【IWJ検証レポート〈その3〉】113年の時を超えて届いた田中正造の「直訴状」 ~「足尾鉱毒事件」の跡をたどった天皇陛下の胸中を探る旅(記者:原佑介)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/170323
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 この原記者のルポ取材は、まだ終わっていません。これからも、現代に蘇り続ける田中正造の姿を、IWJは取材・報道し続けます。

 明日11日には、日比谷コンベンションホールにて、足尾銅山事件の記録映画「鉱毒悲歌」の有料試写会が行われます。

 こちらの上映後のトークセッションは、現在IWJとして中継取材を打診中ですが、もし、中継が叶わなかったとしても、原記者がしっかり取材報告をアップしますので、どうぞお待ちください!

 それでは、本日もIWJをよろしくお願いいたします!!

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岩上安身サポーターズクラブ事務局
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