【IWJすこやかブログ】「みなさまにお伝えしたい『景色』があります~長野県伊那市高遠桜ロケ紀行記」(前編)

 皆さんこんにちは。IWJスタッフの芹沢あんずです。

 いわゆる「戦争法案」などの悪法をめぐって、国会は連日大騒ぎ。こちらもなかなか心休まる暇もありません。皆さんも毎日怒りや不安をお感じになっているかと思います。そんなときだからこそ、今回は、少し時間が経ってしまいましたが、皆さんにお届けしたい「景色」があります。

 東京では、今年も気がつけば桜が散っていました。

 振り返れば年が明けてすぐ、仏パリでは「シャルリー・エブド襲撃事件」が発生し、直後にはシリアで「IS(イスラム国)」による邦人人質事件が発生。日本中に激震が走りました。翌2月にはウクライナ危機をめぐり、あわや第3次世界大戦勃発というところまで世界の緊張が高まりました。

 IWJはこうした大事件や世界情勢の変化に振り落とされないよう、すばやく反応し、連日、大手メディアが伝えない真実を報じ続けてきました。その結果が、IWJ代表・岩上安身の、冠動脈の攣縮性の狭心症です。

 さらに遡れば、昨年末には沖縄県知事選、突然の衆院解散総選挙、毎年恒例のIWJ主催シンポジウム「饗宴V」…すべてが地続きで一息つく間もなく、気がつけば秋が終わり、冬が終わり、そして春のピークも過ぎ去っていました。毎年、例外なくこの調子です。

 心臓発作後も、気がつけばまた「1ヶ月に15本」という超ハイペースでインタビューを続けていました。しかし、心臓に「爆弾」を抱えたことは常に念頭にあります。「少しブレイクタイムを挟まなければならない」という意識があったのでしょう。

 明日、思い切って長野の「高遠桜」を見にいこう――。

 岩上さんが突如、こんな計画をIWJスタッフに打ち出したのは、出発前日の4月15日のこと。東京ではとっくに散った桜も、信越や東北地方ではピークを迎えつつありました。

 私たちスタッフも普段、桜をゆっくり見る機会を持つことは、なかなか難しく、そんな中で、あの有名な「高遠桜」を見に行くチャンスに恵まれたことは、とてもラッキーなことでした。私たちは大急ぎで、Googleマップで調べるなどして翌日の計画を立てました。

 帰宅後に遠出用の荷物の準備をしているとき、小学校の頃、遠足の前日にワクワクして、とっても幸せな気分になった時の感覚を思い出しました。

「天下第一の桜」を求め、IWJは「高遠城址公園」を目指す

 4月16日、岩上さんとIWJスタッフは「天下第一の桜」とも称される高遠城址公園の桜を見るため、長野県伊那市へ向かいました。前夜には、興奮を抑え切れない岩上さんが、その喜びをツイートしています。

 「10年越しの野望が、ついに実る! なんと明日(4月16日)、長野県の高遠桜の満開中継に! 日本三大桜名所として知られる高遠。ここはソメイヨシノではなく、高遠桜が咲き誇る。新宿御苑で一本だけ咲いている高遠桜を見て見惚れて、『とくダネ!』時代のレポーターに、「高遠桜が日本一」と言われ、いつか見に行かねばと。

 ネットで見ると、ちょうど明日、高遠桜が満開、しかも晴天! 明日は、新番組のリハーサルの予定だったが、それ以外にアポなどはなく、ちょうどインタビューなどの谷間だったので、では高遠でリハーサルやろう! とスタッフごと高遠へ繰り出すことに。10年越しの大野望、実ります!」

 岩上さんも書いているように、今回のお花見の目的は新番組のリハーサルを兼ねたロケの意味もありました。現にこうして原稿にして、読者の皆さんにお伝えしていますが、半分は仕事、半分は花見。食事代や宿泊費など、スタッフは状況に応じて自腹で支払っていますので、そこはご承知おきくださいませ。

 出発の朝、睡眠障害も抱えている岩上さんは午前8時、ついに一睡もできずにIWJスタッフと合流。ちなみに今回参加したIWJスタッフは、事務の芹沢あんず、同じく事務でプロカメラマンでもある谷口直哉、日々の中継の段取りなどを担当している須原拓磨、記者の原佑介の4人です。

 岩上さんはとても眠そうな顔で登場し、「車の中で寝る」と言いながらも、いざ出発し、実際に中央自動車道を走りだすと、仮眠をとるどころかむしろ一層元気になり、車内で桜にまつわる俳句を詠み、コブクロ、森山直太朗、キャンディーズなど、桜にまつわる歌を現場に着くまで、立て続けに熱唱し、やはり一睡もしませんでした。

▲https://twitter.com/iwakamiyasumi/status/588503823901073408/photo/1

 上のツイートの写真は中央自動車道、山梨県上野原市にある談合坂サービスエリアで撮ったものです。天気予報通り、この日の空は文句のつけどころがないほど、青く晴れ渡っていました。お天気に恵まれ最高のお花見日和となり、岩上さんとスタッフは、高遠の桜に思いを馳せ、会話をする際にも笑顔がこぼれていました。

 平日の午前中、しかも下りの高速道路だったためか、信越地方が桜のシーズンといえど渋滞に巻き込まれず車を走らせることができました。談合坂から山を抜けて甲府、南アルプス、そして八ヶ岳の麓を通り抜け、長野県に入りました。東京に比べると、やはり気温も少し肌寒く感じました。

 八ヶ岳手前くらいから花づいた桜の木も徐々に見かけるようになります。東京では既に桜は散っていたので、再度満開の桜を見ることができ、嬉しさで心が踊りました。車内では桜を見つけては、「桜だ! あそこにも桜が咲いている! 」と、歓喜の声が上がりました。

▲https://twitter.com/iwakamiyasumi/status/588523685234876416/photo/1

 雪と桜のワンショットなど、首都圏に住んでいるとなかなか見られない貴重な景色です。長野に近づくに連れて桜の花も豊かなものになっていきました。諏訪湖サービスエリアではちょっと小休止。諏訪湖を一望できる広々とした景色と清々しい空気に、なんとも言えない開放感を感じました。

▲諏訪湖SAから一望できる諏訪湖

▲写真を撮る谷口スタッフ

 サービスエリアでは、岩上さんとスタッフがサービスエリアの方からもらった地図を囲む形で円になって座り、伊那付近の地理を確認して、今後の動き方についてミーティングしました。

南アルプスと中央アルプスに囲まれた、自然豊かな長野県・伊那市

 小休止後、諏訪湖からさらに中央自動車道で30分ほど南下すると、「天下第一の桜」を堪能できる「高遠城址公園」の最寄りインターチェンジ、伊那I.Cに到着します。

 伊那市は06年3月31日に旧・伊那市と高遠町、長谷村が合併し、現在の伊那市になりました。南アルプスと中央アルプスに囲まれた自然豊かな土地で、広大な土地のどこを見渡しても山、山、山。電気、精密、機械、食品など製造業が盛んで、アルプスから流れる水を利用したスイートコーンやりんごなどの野菜や果物も名産品として知られています。

 高遠城址公園へ行くには、伊那インターで高速道路を降り、国道361号で市街地を抜け、東に30分ほど車を進めます。

 町のいたるところに立派な桜の木々が林立し、国道361号にも桜のトンネルのような場所もありました。この一帯は江戸時代に高遠城の城下町として栄えたといいますが、今も市街地は下町情緒豊かで、当時の面影を感じさせます。

 そんな伊那市でも、観光客がもっとも目当てとするのはやはり高遠城址公園でしょう。この時期には「さくら祭り」が開かれ、毎年、花見の時期には30万人を超える来場者が訪れています。紅葉が見頃となる10月からは「秋まつり」も開催されます。

 公園内には、長野県の天然記念物にも指定されている、「タカトオコヒガンザクラ」が1500本も植えられており、その規模の大きさと、小ぶりで赤みを帯びた可憐な花が「天下第一の桜」と呼ばれる所以だそうです。古いものは明治時代に植えられており、すでに樹齢100年を超える木もあるといいます。

 高遠城址公園は、小さな山の上に位置していて、駐車場までの山道はひどく渋滞していましたが、窓から見える桜やかつての城下町の見晴らしが素晴らしく、まるで苦痛には感じませんでした。

 車を運転していた原スタッフからの提案で、早く取材を始めた方が良いだろうということで、岩上さんとスタッフ数名は山道の途中で車を降り、城址公園へ続く階段を登りました。階段を登りながら、もうすぐ見るであろう光景に気持と鼓動が高まります。自然と階段を登る足取りも軽く、ここまでくると、岩上さんもスタッフも、始終笑顔になっていました。

圧巻! そこはまるで別世界、「桜の国」!

 実際に目にした高遠城址公園の桜は圧巻でした。

 話には聞いていましたが、実際に行ってみると360度どこをみても桜のピンクに包まれており、「桜の国」とでも呼べばいいのでしょうか、公園内だけがまるで隔離された別世界のようで、「浮世離れしている」という表現がしっくりくるかと思います。

 圧巻の光景に目を奪われ、感嘆の声をあげることもできずに、思わず口をぽかんとあけてしまうほどです。人は本当に驚くと、声をあげることも忘れてしまうのかもしれません。普段の生活とはまるで違う、別世界の美し過ぎる風景に慣れるまでには、少々時間もかかりました。

 段々と、その光景に慣れてくると、360度桜に囲まれているという状況に、夢見心地な気分になり、幸せな気持に包まれました。これはあくまで私の感想ですが、ご機会がありましたら、是非とも高遠桜を実際に一見していただくこと、おすすめいたします。

 公園内に入るなりどこまでも桜です。おそらくこの時は圧巻の光景を目にして、口をぽかんと開けている頃です。

▲高遠桜の美しさを前にして、顔がほころぶ岩上さん

 この日、岩上さんは初めてツイキャスに臨みました。Ustream黎明期からストリーミングを実践してきただけあって、素人とは思えない使いこなしようです。タイムラインに書き込んでくださった視聴者の皆さんと、高遠桜の素晴らしさを語りました。鮮やかなパーカーとチェックシャツが桜に馴染んでいますね。

▲案内図が書かれた大きな看板の前で中継開始です

▲高遠城址公園案内図

 入場者に配布された地図。桜でもこもこしていてよく分かりませんが、誇張ではなく、実際に公園の中は桜で埋め尽くされています。「桜まつり」期間中の入園観覧料は大人が500円、中学生以下の子どもで250円です。

 辺り一面が桜です。岩上さんは圧巻の光景をツイキャスで、皆さんに紹介し続けていました。

 「タカトオコヒガンザクラ」。普通のソメイヨシノより、少し赤みがかっているのがわかりますか?

 岩上さんは高遠桜の美しさを「少女の初々しい可愛らしさ」と表現しました。

 「ソメイヨシノの美しさは、大人の女性の色気。赤みをおびた可憐な高遠桜は少女の初々しい可愛らしさ」

 実際に高遠桜を見た私も、岩上さんの表現に納得いたしました。可愛らしい可憐な高遠桜を見ていると、ウキウキとした楽しい気持ちになります。

 綺麗ですね。写真撮影は須原スタッフです。彼はスチール撮影の素人ですが、美しい桜はカメラマンの腕を問いません。

 公園内は大盛況。よくみると枝は若干、緑がかってきてもいるので、本当のピークは4~5日前だったのかもしれません。でも、この頃は全国的に連日、雨が続いていたので、この日に来たことは結果的にベストな判断だったと思います。それにしても綺麗です。

 桜を撮影する谷口カメラマンと岩上さん、そして岩上さんにツイキャス用のiPhoneを託された私です。谷口カメラマンはスペースシャワーTVなどで下積み時代を過ごしたプロのカメラマンで、この日は花見をしながら、しっかりと野外ロケも行いました。岩上さんは桜の美しさ、公園内の様子をカメラに向けて伝え続けています。

 足下にも桜の花びらが。文字通り360度、どこを見回しても桜です。

 伊那谷名物「ローメンまん」のノボリ。聞き慣れない言葉ですが、「ローメン」とは、炒肉麺(チャーローメン)とも呼ばれ、主に羊などの肉と野菜を炒めて蒸し、そこに太めの中華麺を加えた、焼きそばに似た伊那地方特有の麺料理です。私たちもこの時、初めて知りました。それを中華まんのようにしたものが「ローメンまん」なのでしょう。

 原スタッフは「ローメンまん」を早速購入し、食べていました。

▲「自腹で買ったので、つい取材の原形を資料として撮っておく、いわゆる『ブツ撮り』をし忘れ、すぐにかじりついてしまいました(原スタッフ)」

 原スタッフは「ローメンまん」について、「ここで使われているお肉は豚だったということで、本格的なローメンを食べたとは決して言えないとは思いますが、悪くはない味」と感想を述べていました。公園内には色々な出店がありましたが、「桜の国」で食べるものは、大抵、美味しく感じることでしょう。

 山の上なので見晴らしもいいです。桜の奥に、伊那市が一望できます。

 頭上もこの通りです。沢山の桜に囲まれた電灯、趣があります。

 小さな池の水面には、散った桜の花が浮いています。実際に池の近くまで足を運びました。そこに広がる光景も、また素晴らしかったです。空を仰ぐと桜が広がり、風が吹くと、桜がひらひら散ります。散っている桜に目線をやると、この池の上にふわりと散り、池がピンク色に染まるのです。

 もともとお城があった場所なので、橋や石垣もあり、風情豊かです。

 高遠城は戦国時代、武田信玄の家臣であった山本勘助が改修した城で、別名兜山城とも言われていました。武田方の仁科五郎盛信と織田信忠の攻防を最後に、戦乱の時代に幕を閉じたといいます。その後、明治5年に高遠城の建物は民間に払い下げられ、明治8年(1875年)城址公園となったようです。

 先ほどの写真の、案内図の看板があった北ゲート入り口には、登録有形文化財「高遠閣」があり、高遠閣の2階では、外の桜を眺めながら「高遠蕎麦」を味わうことができます。

 運良く「残り5個で売り切れ」というタイミングで入店し、IWJ全員がお蕎麦をいただくことができました。

 こちらが高遠蕎麦です。ちゃんと高遠閣の中で、手打ちで作られている本格的なお蕎麦です。入り口を入ってすぐ左の部屋で、職人さんがお蕎麦を打っている光景を見ることができ、待っている間にも自然と期待が膨らみます。辛味大根おろし、焼き味噌、ねぎが添えられています。お蕎麦はしっかりと噛みごたえがあり、噛むほどに深みが出ます。これは本当に美味しかったです! そのまま汁につけて食べるだけでも十分に美味しいのですが、辛味大根と焼き味噌を入れると、大根の辛味と味噌のマイルドさが絶妙なのです。見てください、このツヤ。

 最後は蕎麦湯で。須原スタッフが勢いよく飲み干しています。

 「花より団子か!」と叱られそうですが、ここでは蕎麦と桜が両方とも堪能できます。2階なので、ちょうど目線の高さに桜の花がきて、ダイナミックな花見を楽しめます。なんて贅沢なシチュエーションなのでしょうか。なかなかない、貴重な経験です。

束の間のブレイクタイム――長く闘い続けるために

 いかがでしたか? 皆さんにも是非、一度は訪れていただきたい場所です。「たまにはブレイクタイムも入れなければ肉体的にも限界だ」と意識を強くした岩上さん。今回はロケでしたが、少しは身体を休めることができたようです。

 さて、唐突ですが、自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があって、いわば身体のスイッチのオン・オフをつかさどる神経であると言えます。岩上さんは常に「交感神経」が優位の状態で、これが安定した睡眠を妨げているのです。交感神経優位と睡眠不足は血圧の上昇にもつながり、確実に岩上さんの身体に悪影響を及ぼしています。

 「交感神経」は主に仕事中や運動中など、活発に活動しているとき、緊張しているとき、ストレスを感じているときなどに働きます。交感神経系が優位になる目的は「獲得と回避」といわれており、「獲得」は生命を維持するのに必要な食物を得るための行動で、古くは男が「狩り」をする際などに強く働いてきました。「回避」は、目前の敵から逃れることですから、「闘争と逃走の神経」と言われています。生きるための本能が強く働いている状態です。

 皆さんの中にも、「仕事明けでとても疲れているんだけど、なかなか眠れない」という経験があるかと思いますが、これは「交感神経」がまだ優位な状態にあるからです。

 一方で「副交感神経」が働くのは、リラックスしているとき、眠っているときなど、夜の睡眠中、入浴時、食事中などです。食後に眠くなるのは、自律神経が副交感神経に切り替わるからだというのも理由のひとつだそうです。

 岩上さんは、いくら身体が疲れ、悲鳴を上げ、休息を欲しても、なかなか自律神経が副交感神経優位に切り替わらず、睡眠をとれないということに悩まされ続けています。早く治さなければならないが、薬を飲んでもなかなか治らない。一見元気にみえても、闘病中の身なのです。

 今回は取材の合間を縫い、やや強引に高遠に足を運びましたが、これは功を奏したようです。桜を見ながら蕎麦を食べた高遠閣の2階には、畳敷きの大広間もありました。桜を堪能したおかげで副交感神経優位に切り替わり、前日に一睡もせずにいた疲れがどっと出たのでしょう。しばしの間、豪快に横になり、ウトウトしていました。

 後編では、伊那市の景色や産直市場の様子をお伝えします。

 
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