【IWJブックレビュー】『イラン・パペ、パレスチナを語る〜「民族浄化」から「橋渡しのナラティブへ」』(つげ書房新社)

 昨年行われた、イスラエルによるガザ地区への攻撃が記憶に新しい、パレスチナ情勢。本書は、第2次大戦後、現在に至るまで激しい対立が続くイスラエルとパレスチナとの間に、歴史学の観点から「共生」の橋を架けることを試みます。

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【IWJブックレビュー】原発立地県の地元紙は原発をどのように報道してきたのか 本間龍著『原発広告と地方紙』(亜紀書房)

 亜紀書房様から『原発広告と地方紙』をご恵贈いただきました。

 本作は、大手広告代理店での勤務経験もある著者本間龍氏が、3.11以降メディアの姿勢に疑問を抱き、全国紙と雑誌メディアの原発広告の歴史を綴った『原発広告』の続編にあたります。この続編では、原発立地県の地方新聞に掲載された原発広告や社説・記事を原発建設当時から2010年まで最大約40年間を遡って収集しています。その膨大な資料をもとに、著者は地方紙ごとに異なる原発に対するスタンスを紹介しています。掲載資料は広告・記事が多かった福島、北海道、青森、新潟、福井が中心となっています。

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【IWJブックレビュー】複眼的に考察する安保政策 柳澤協二・半田滋・屋良朝博共著『改憲と国防 混迷する安全保障のゆくえ』(旬報社)

 IWJではお馴染み、元内閣官房副長官補の柳澤協二氏が共著者に名を連ねる新刊『改憲と国防~混迷する安全保障のゆくえ』を、ご恵贈いただきました。

 憲法改正、集団的自衛権の行使容認、国防軍の創設を推進する安倍政権の外交・安全保障政策について、柳澤氏、東京新聞編集委員の半田滋氏、元沖縄タイムスの記者で現在はフリージャーナリストの屋良朝博氏による鼎談を収録。

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【IWJブックレビュー】直木賞作家がたどる知られざる東北の歴史 高橋克彦著『東北・蝦夷の魂』(現代書館)

 『緋い記憶』で第106回直木賞を受賞した作家の高橋克彦氏の新著『東北・蝦夷の魂』を、ご恵贈いただきました。

 阿弖流為、安倍貞任、藤原泰衡、九戸政実、奥羽越列藩同盟など、中央政権に蹂躙され続けてきた東北、蝦夷の歴史を、岩手県釜石市出身の著者が綴っています。

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【IWJブックレビュー】改革派元官僚が明かす、「あきらめない」秘訣 古賀茂明著『信念をつらぬく』(幻冬舎新書)

 元経産官僚の古賀茂明氏の新著『信念をつらぬく』を、ご恵贈いただきました。

 古賀氏は大阪府市統合本部特別顧問を務め、大阪府エネルギー戦略会議では橋下徹大阪市長と関西電力大飯原発再稼動をめぐり、白熱の議論を繰り広げるなど「改革派官僚」として知られています。

 古賀氏の半生がコンパクトにまとめられた一冊。時の権力者とどう闘うのか。その原動力とは何か。古賀氏の信念と哲学が、読みやすい軽快なタッチで綴られています。(2013/06/26発行【IWJウィークリー第8号】より転載)

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【IWJブックレビュー】最愛の母との日々をつづった自叙伝 町亞聖著『十年介護』 (小学館文庫)

 TOKYO・MX「ニッポン・ダンディ」に出演中の岩上安身の共演者である、フリーアナウンサーの町亞聖さんご本人から、著書『十年介護』をご恵贈いただきました。

 町さんは高校3年生の時から、くも膜下出血で倒れたお母様の介護を続けてこられました。本書では、介護を続けながら、学業と仕事に奮闘してこられた町さんの半生が綴られています。(2013/06/26発行【IWJウィークリー第8号】より転載)

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【IWJブックレビュー】郷土史家が丹念に掘り起こす閉ざされた史実 水谷英志著『薩摩義士という軛 宝暦治水顕彰運動の虚実』(ブイツーソリューション)

 郷土史家(歴史社会学)である著者の水谷英志(みずたに・ひでし)氏より、新著『薩摩義士という軛 宝暦治水顕彰運動の虚実』をご恵贈いただきました。

 「宝暦治水(ほうれきちすい)」とは、1754(宝暦四)年から1755(宝暦五)年にかけ木曽三川(木曽川、長良川、揖斐川)流域で行われた治水工事であり、江戸幕府の命で工事を担当した薩摩藩は、四十万両にわたる多額の経費と、千人近い藩関係者を派遣し、80人を超える犠牲者を出したとされています。

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【IWJブックレビュー】実践者が説く、仕事中心思考からの脱却術 日野瑛太郎著『脱社畜の働き方~会社に人生を支配されない34の思考法』 (技術評論社)

 著者の日野瑛太郎様から『脱社畜の働き方~会社に人生を支配されない34の思考法』をご恵贈いただきました。

 第1章『日本の職場は理不尽なことばかり』、第2章『社畜にならないための考え方』のあたりは日本に蔓延する、長時間労働を美徳とする考え方や有給取得をめぐる問題に関して非常に真っ当な指摘が続きます。

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【IWJブックレビュー】各界著名人たちによるTPPへの提言 日本農業新聞取材班『TPP いのちの瀬戸際~壊国協定のベールをはぐ〜』(創森社)

 日本農業新聞論説委員長の緒方大造様から『TPP いのちの瀬戸際〜壊国協定のベールを剥ぐ〜』をご恵贈いただきました。

 2012年4月に発売された『まだ知らされていない壊国TPP 〜主権侵害の正体を暴く〜』の続編となる今回の新作は、前作発売から2013年7月までに日本農業新聞に掲載された記事が収録されています。交渉参加国との事前協議、政権交代、安倍晋三総理による交渉参加表明、日米合意、交渉への正式参加など、一連の動きを取材し、TPPの本質に迫り続けた取材班の記録が記されています。

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【IWJブックレビュー】農業経済学者からの警鐘「TPP、遺伝子組み換え、狂牛病…。安さの追求は命を削ること」 鈴木宣弘著『食の戦争~米国の罠に落ちる日本』(文春新書)

 東京大学大学院教授の鈴木宣弘様から『食の戦争 米国の罠に落ちる日本』をご恵贈いただきました。

 「食の安全とは何か」。改めて考えさせられる一冊です。

 第1章『戦略物資としての食料』では、安さを求める消費者の性質や、経済学的視点からみる食の将来性など、「食料」を中心とした我々が抱える問題点を提示。第3章、第4章では、『食の戦争』をテーマに、遺伝子組み換え作物からTPPまで、「世界をとりまく食の政治問題」が論点ごとに紹介されています。

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